「今すぐ来てください」
あれ?授乳に来てくださいじゃないな。
と、不安を覚えつつ急ぎ足で向かう。
新生児が並んでいる部屋に息子がいない。
と思ったら看護師さんに囲まれて奥のカプセルに。
え、なに、、、
小児科の先生が深刻な顔で言う。
「実は…分娩時に羊水を飲んでしまったようで。現在自分で酸素を吸えていない状態です。大丈夫だとは思いますが、念のためこれから救急車で大きな病院へ搬送します。」
え、、それってどうなんだろう。自分ではヤバイことなのかもよくわからない。
「お母さんは一度部屋で待機してください。ご主人にはそちらの病院に向かってもらうことは出来ますか?」
そか、私行けないんだ。たまたま店が定休の日で助かった。
部屋に戻り出来るだけ何事もないように旦那に電話する。
「なんかね、羊水飲んじゃって酸素吸えないから大きい病院に行くんだってー。そんなに大したことじゃないけど念のためって言うから付き添い宜しく頼むねっ。」
内心心臓ばくばくだった。
またナースコール。
「お母さんすぐ来てください」
痛みなんか気にならず走る。
もぅナースステーションは只事でない雰囲気。息子はみんなに囲まれ産婦人科の先生までいる。
「先生、良くあることなんですか?」
出来るだけ平静を保って言う。
「うん、産まれてすぐにはよくあるんだけどね…日が立ってるから…とにかく、僕が付き添っていってくるから。」
足元から崩れ落ちそうだった。
息子を囲んでいた看護師さんが、
「お母さん!こっちにきて手を握ってあげてください。声をかけてあげて!」
あー、もーそれ絶対ヤバイやつじゃん。
もはや涙を止められるはずがない。
小さい我が子。苦しいの?辛いの?
やっと今朝名前が決まったのに。
号泣しながら、旦那とふたりで決めたばかりの名前を呼び続ける。
がんばれ。がんばって。おねがい。いきて。
そのうちに救急隊が3人来てあっという間に我が子は連れていかれてしまった。
呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。
続く。