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性転換手術‐美容外科医のBlog

日本で唯一、開業医として永く本格的なMTFSRSに携わってきた医師が、GID(性同一性障害)治療について語ります。

新しい動き(2)

2006-05-24 | Weblog
こうしてJ&Bのニューハーフさんが次々と私を指名してSクリニックに美容整形に来るようになりました。いくら来ても私の収入が増えるわけではないので、一般の女性とは方向、内容、手技も大いに異なる美容整形をできるだけ極めたいと思いましたので、Sクリニックの事務長に相談し、手術料金をニューハーフがやりやすい金額に設定しました。一見無謀ともいえる果てしない美容整形のチャレンジ精神に応え、私もそれまでの自分の手術を大胆に進化させて行きました。おカマの口は光より速いというくらい私の噂が急速に広がり、今までの変わり映えしないか逆にわざとらしいゴンゴン整形と一味違う新しい感覚の整形を求めて次々と各地からニューハーフが集まってくるようになりました。当時ニューハーフがよく行っていたのは関西では京都のK先生、Y先生がいた頃の大阪のJSクリニック、東京では江崎先生の所でした。また東京と関西ではニューハーフの整形指向も違い、関西はより美しく派手めにという傾向が強く、整形してることも全く隠さずオープンでしたが、東京は意外に秘密主義な閉鎖的な傾向がありました。その意味で私のニューハーフ整形が大阪で始まり発展していったのは幸運でした。また京都のK先生の治療姿勢や手技も間接的に拝見する機会が多かったので、良い刺激を受けることができ、それも大変役立ったと思います。結果的に私は平成8年に大阪で開業することになりましたが、それまで関西の大半のニューハーフの整形手術や除睾術をしていたK先生の縄張りを荒らすようなことになり、嫌われてしまうのではと少し心配していたのですが、私の噂もK先生の耳に入りますから、私がK先生と似たようなスタンスで、結構まじめに良心的にやっているのを評価してくれたのか、全く摩擦は生じず、むしろ早い段階で協力的な関係を築くことができました。ですから本当に立派な先生だとずっと尊敬しています。なのに、もう10年が経つのにK先生とはいつも電話でお話しさせていただくだけで、まだ一度も実際に会ったことがありません。私の平成14年の性転換死亡事故の件でもたいそう心配してくれ、アドバイスもいただきました。いつもご挨拶に出向こうと私のロッカーにはちゃんとお酒が用意されているんですが、残念ながら忙しくて今まで実現していません。ニューハーフの整形、性転換治療で、私が大阪で順調に伸びていけたのは、良い意味で人格者のK先生が先達者として居たからだと痛感しています。