世界旅行中のにいや(現在カトマンドゥ)と、すいか(もちろん大阪)で続けている、
リレー小説「「Run,PLASTICK,RUN!」。
「リレー小説で芥川賞を取る!」という目的でスタートし、
目標は200ページ。
1日交代で、ノルマ2ページずつなので、
100話でちょうど200ページとなる。
7月11日からスタートしたこの企画も、
今日(10月16日)に、にいやから60話めがアップされた。
残り話数 . . . 本文を読む
子猫は美奈が勝手に「小太郎」と名付け、相変わらず触ろうともしなかったが、銀蔵が庭で遊ばせていると、決まって顔を出すようになった。
楽しそうに笑う美奈の笑顔。だが銀蔵は、自分の体に起きている異変に気づいていた。
胸の痛みは日に日に増していく。きっと俺はもう長くないだろう。だが俺が死んだらこいつらはどうなる。
銀と小太郎は飽きもせず戯れ続ける。銀蔵の目が悲しみに染まった。こいつらを誰が面倒を見 . . . 本文を読む
おかみさんの許可が降りたので、銀蔵は庭で堂々と銀を遊ばせていた。そこに美奈がやって来て、銀蔵の隣りに腰を下ろした。銀蔵は黙ったまま、銀を美奈のほうにやろうとした。
「何すんの! 本当に猫アレルギーやから、じんましん出るで」
美奈は慌てて立ち上がり、後ろに飛び下がった。銀蔵はため息をついて銀を抱き上げると、
「…海行くか」
美奈は信じられないといった表情をして銀蔵を見た。嫌がっているわけで . . . 本文を読む
大型の台風が通り過ぎ、銀蔵の住む町に久しぶりの太陽が姿を覗かせた。閑静な住宅街。ベランダには、雨の間干すことのできなかった洗濯物が、これでもかというくらいに並んでいた。主婦たちの笑い声が、蒸し暑い八月の陽気と一緒に、風に乗って運ばれてくる。
幸せそうな声に包まれたアパートの一室で、銀蔵は自分の人生が終わりに近づいていることをなんとなく感じていた。
誰かが階段を駆け降りる音がする。古くなった . . . 本文を読む