手賀沼日記

貿易ワンポイント講座ーその5   L/C 決済における B/L直送のリスク

L/C 決済における B/L直送のリスク

近年L/C取引においてB/L原本のうち1通を他の船積書類と一緒に銀行経由送るのでなく、L/C開設者に直送してくれという要求が増えています。これは比較的近距離の貿易においてみられ、わが国貿易業者はわりと簡単にこの要求を受け入れている場合が多いようですが、リスク管理上は大いに問題があります。本件について考えて見ましょう。


1) B/L直送の背景
① 高速コンテナ船の一般化により、銀行経由船積書類が到着する前に、本船が到着します。
② 輸入業者は貨物をできるだけ早く受取り、販売や消費にまわしたいのです。又陸揚げ港での保管  料を節約し、貨物引取のための銀行保証料などもなしですませたいのです。
③ 外国間貿易で決済切替 Payment switchを行う場合スウィッチャーSwitcherは買取のため B/Lを  すみやかに入手したい場合もあるでしょう。彼等は通常同条件の L/Cを客先から入手しており処  理を急ぐ必要があるからです。

2)  輸出業者のリスク
貨物が、銀行経由の決済終了以前に、輸入業者に引取られる恐れがあります。もし決済がデスクレ等を理由に拒否されるか、あるいはL/C開設銀行の倒産により最終的になされないと、輸出業者はすでに貨物が引取られているので深刻なトラブルに巻き込まれます。貨物が引取られていなくても、既にB/L原本が相手先にあるので、残りの原本で貨物の所有権を主張することも事実上難しくなります。 すなわちL/C取引の本来的な意味が失われ、掛け売りと事実上同じ事になってしまいます。

3)  どのように対処するか
① 輸出業者は原則として B/L の直送を受けてはならないでしょう。もし受ける場合は輸入業者
  の要求の背景、資金状態、信頼性などを十分に検討すべきでしょう。
② 輸入業者に対し一流銀行から L/C を開設するよう交渉します。
③ L/Cをできるだけ早く入手、内容を注意深くチェックします。アメンドすべき点があれ
  ばすぐにアメンドさせましょう。
④ 輸出業者は B/Lをすみやかに入手、銀行ネゴを急ぎましょう。これにより輸入業者は早くB/L
  原本を銀行経由入手できる事になります。

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