手賀沼日記

「貿易今昔物語」

「貿易今昔物語」

私が総合商社に入社した1960年代前半は貿易通信の手段はテレックスと一部電報でした。為替は1ドル360円時代で、今と違って相場変動にあまり気を使うことはありませんでした。輸送は在来船であり、運賃の計算など特別な経験や技能を要する面がありましたが、それはそれで面白い時代でした。しかしながら、現在は貿易通信にはE-メイルが導入され、輸送はコンテナ船中心となり、在来船時代の運賃計算ノーハウが無用となりました。一方為替は円高が進み、さらに大幅変動の時代となり大変気を使う時代になりました。

近年次のような目だった動きが見られます。
1 航空輸送・複合輸送の増加
かっては貿易といえば在来船、ついでコンテナ船ですが、航空輸送や複合輸送は一部の商品を除いて、それほど行われていませんでした。複合輸送ではシベリアランドブリッジによる欧州向け輸送が始まりましたが、輸送途次に貨物が行方不明になるなどの事件が頻発、当時は必ずしも定着はしなかったように思います。しかしながら、このところビジネス活動のスピードアップや輸送期間短縮による総合的なコスト削減を狙って、航空輸送や複合輸送が目に見えて増加しています。またサプライチェーンマネジメントの一環として積極的に利用されるようになりました。

2 水際の貿易から相手国内でのビジネスへ
輸出においては船積港でのデリバリー条件から、相手国内指定地域でのデリバリー条件へ、すなわち相手国内でのビジネスへ移りつつあります。つまり相手国において、国内の同業者と同じ条件で競争することを意味します。一般商取引慣習などその国の条件に合わせないと取引相手と認めてもらえないかもしれません。輸入においても相手国へ進出し、相手国の生産者から直接買付け、自社でわが国まで輸送するようになりつつあります。また仕入先の多様化により、外国間取引がますます増えています。

3 貿易と投資の一体化
上述のビジネス形態の変化に対応、従来の輸出市場での生産や、世界最適地生産をも考慮した海外生産が避けて通れない状況となっています。これには当然投資が伴うし、投資をしない場合でも、海外メーカーへの委託生産がよく行われるようになりました。
輸入においてもコストの安い地域で生産するのは当然で、そのためには従来の供給者とともに、あるいは独自に投資も行い自社で生産手段を持つ必要も出てきます。いわゆる開発輸入で、最近多くのプライベートブランド商品に例が見られます。つまり貿易と投資は紙の表裏の関係にあるといえます。

このような動きを考えれば、輸出入のみならず、国際ビジネス全般を視野に入れておくことが非常に重要になってくると思います。
以上


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Weblog」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事