山の名探偵、自信深めたユニバ・ハーフ「金」…1か月前に股関節痛「調子悪い中で勝てたのは収穫」
序盤からライバルたちを突き放し、学生世界一の座へ駆け上る。そんな爽快なストーリーを、早大の工藤慎作(3年)が演じきった。
集団から抜け出したのは5キロ手前。「前半からサバイバルレースにしよう」。思い切ってペースを上げると、1周5キロの周回ごとに後続を引き離し、15キロでは30秒以上のリードを築いた。
疲れの見えた最終盤にピッチが鈍ったが、前半の貯金が物を言う。猛スパートで追い上げてきた2位ラマザン・バスタグ(トルコ)に6秒差をつけ、1時間2分29秒の大会新記録で金メダルのゴールへ飛び込んだ。
今年1月の箱根駅伝では、山登りの5区で区間2位と快走。3人を抜いてチームの往路3位、総合4位に大きく貢献した。その自信を胸に、2月の香川丸亀国際ハーフマラソンで日本歴代4位タイの1時間0分6秒をマーク。5月の関東学生対校選手権でも日本人トップの2位と、ハーフでの自信を高めてきた。
その成果をユニバの舞台でも発揮し「調子の悪い中で勝てたのは収穫。これからもロードでケニアやエチオピア勢に負けない取り組みをしていきたい」と、世界との戦いを見据えた。
現地で観戦した早大の花田勝彦監督によると、6月末に股関節痛で1週間ほど走れなかった時期があったといい、「それでも、こうした国際舞台で勝てたことは素晴らしいこと。もっと強くなりたい思いが強くなったようなので、いい経験になった」と評価した。
今季のトラックシーズンでは早大勢の好調が目立った。その勢いを加速させる金メダルを手にした工藤は、「駅伝はトラックとは別ベクトルの強さを求められると思う。チームとして切り替えていければ」と、気を引き締めるように語った。