人村です!

舞台と結婚したと公言する「人村朱美」が綴る舞台生活 毎週火曜日更新・・・したいなぁ

劇団伊勢

2009年02月10日 | 舞台
 金曜の夜から三日間、伊勢で今年二回目の集中稽古をした。
 本番は5月10日。昨年から「劇団伊勢」と改名した旧伊勢青年劇場は、
今回の公演が実に57回目。しかも今回初めて女性団員が台本を書いた。

 今までは主に、旗揚げメンバーの会長とそのご子息、そして学校の
先生N氏らが、ほぼ交互に台本を書いてきたようだが、ようやく書ける
団員が出てきたこと、しかも女性というのが嬉しい。

 第57回公演『河崎物語』は、河から直接荷揚げして商売していた
戦前の問屋街の話。塗り物問屋に嫁いだ女の一生ものである。春慶塗
に代表される手仕事の温もりをサブテーマにして演出しようと思っている。

 日本古来の職人芸こそが、不況打破の一つの突破口とも言われる今、
タイムリーで共感を誘う佳作である。
 何処まで描けるか心配したが、案ずるより生むがやすし。見事な処女作
となった。舞台化が大変な部分は多々あるが、何とか今までにない、重層的
で深い味わいの舞台に創り上げたいと思っている。

 1月の初稽古の日、久しぶりに逢う団員達は変わらぬ温かさで迎えてくれた。
とはいえ、私を筆頭に、皆出会った時から比べると年をとった。20年も経てば
当たり前か・・・。
 
 初めて演出を担当させて頂いた『油屋お紺』の時に、公募でヒロイン役を
射止めた団員が、今や劇団の要の一人となり、彼女の家の持ちビルが、稽古場に
なっている。知り合った頃の団長は会長になり、私と最も親しかった若者が
現団長となって久しい。

 この数年で老若男女が大勢増えて、現在30名を越える劇団員がかかわって
いるという。5~6歳の子役にも不自由しないところが凄い。
 今回も、親子で稽古に日参して下さる家族が二組もある。皆芝居にかかわる
事が楽しくて仕方ないようで、町のイベントには劇団として積極的に参加し、
宣伝活動も兼ねて、稽古場から扮装して出てゆくのである。

 舞台の質を第一目標に掲げる我が町の市民劇団とは、存在理由がハッキリ
違うが、町に浸透した劇団でありたいとの想いは共通している。
 もちろん伊勢でも常に質の向上は目指してきたが、彼等は何よりも創る過程
での交流と、楽しさを大切にする。そこから生まれる芝居もやはり、楽しく温かだ。
 研ぎ澄まされたシリアスさより、観る人をほころばせる型芝居や、コメディ演技を好む。

 そういう生き方を貫いて、豊かに実を実らせてきた昨今の劇団伊勢の在りようには
学ぶところが多い。同時に、違う在りようを追求する我が市民劇団の存在価値も大きい
と気付く。敦賀と伊勢の風土の違いとも言えようか・・・。

 いずれにせよ、伊勢の温暖さに培われた人情味と緩(ゆる)さが似合う「劇団伊勢」が、私は大好きだ。
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2 コメント

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初手術のブログ (plastic surgeon)
2009-02-13 18:49:51
初手術のブログ,拝見いたしました.お酒お好きなんですね.実は私も大好きです.ですから,お気持ちよくわかります.益々のご活躍をお祈り申し上げます.
返信する
ありがとうございました! (人村でっす)
2009-02-17 15:17:56
 先生の分かりやすい説明のおかげで、諸々得心して、無骨な我が手を眺められるようになりました。
 長く私の酷使に耐えてきた体を大切に致します。
 今後ともどうぞよろしく!
 ところで、K病院の隠し倉(?)には贈答された日本酒が眠っているとか・・・品質が落ちないうちに私が平らげましょう、と院長に進言しておりますが、梨のつぶてでであります。
 酒が可哀相であります。ねぇ・・・。
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