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BLOC PARTY 「A Weekend In The City」 の詞について

2008年03月08日 13時57分23秒 | 音楽(ゆず以外)
「A Weekend In The City」に収められてる歌はどれも本当に詞がいいですね。
この人たちのインテリ感と繊細感と「とは言えアートになりきれない程度には熱いし若い感」が好きです。

気分高揚脳髄シェイカーが1st「SILENT ALARM」で
魂揺さぶりエモーショナル系が2nd「A Weekend In The City」かな
エッジの効いた興奮が欲しい時は1stを、どっぶり浸りたい時は2ndでしょうか。
どっちも歌詞なしで楽しめる系なんですが、1stのほうがよりその傾向が強いです。
1stはぱっと聴いて「こいつらすげー!(特にドラムやべぇぇぇぇ)」みたいになるはずで超名盤だ
でも1stは「ナンセンスな抽象詞でおしゃれに決めてるつもりかい、四人そろって大学行ってるインテリバンドさんよぉ?」という批判もあったとかなかったとか

とにかくそのせいか2ndはぐぐっと思いっきり歌詞重視です。
もうあからさまに詞を中心に音楽作りしてる。
この徹底っぷりがまた素晴らしいですね。

「A Weekend In The City」は一言で言うと、BLOC PARTYが液体のように都市の奥深くまで浸透していくアルバムです。

ロンドンという街がテーマらしいですが、その視点は決して上から皮肉に見下ろしているだけじゃない。
むしろ街の住人一人一人の内側に深く入り込んでくる。

故にこのアルバムはあっちこっちで共感しまくれる。
BLOC PARTYがこちら(街の住人)に共感してくれている、と言うのが正確ですが。
この「共感力」とでも言うべきものは、繊細な人、感受性の強い人の特権ですね。
作詞担当のkeleは他人の心の声がよく聞こえるタイプなのでしょう。

「A Weekend In The City」の何がすごいって、ぐっとくるワンフレーズ、心臓揺さぶる一行ってのがどの歌にもあること。
まぁ「詞の解釈」が「合ってるかどうか」云々的なことは大した問題じゃないのさ!歌は聴いた時点でもはや私のものなのさ!

01.Song For Clay (Disappear Here)
how our parents
they suffered for nothing
Live the dream, live the dream, live the dream
Like the 80s never happened.
[僕らの親たちはどうでもいいことにひどく苦しんでいた
夢を生きなよ 80年代なんてなかったみたいに]

十代という最も多感な時期に世間はバブルという華々しい狂騒で
ようやく大人になり社会に出たその時には
全部ぶっ壊れていた。
私はそういう世代です。
「for nothing」ナッシング。それは私が社会に出た時に見た光景そのものだ。

02.Hunting For Witches
全体的に「ああ分かる分かる!」
マスコミやネット世論が怒涛の勢いであほみたいに一方向にゴオオオオオオオオオッって流れていくのを眺める、あの焦りと恐怖と孤独。
まわりみんなゾンビみたいになってって自分ひとり人間のままみたいなあの怖さ

03.Waiting For The 7:18
Just give me moments
Not hours or days
Just give me moments

疲労しきった全てのリーマン諸君やフリーター諸君に捧げたい
特にエモーショナルな美しいメロで繰り返される上のフレーズがたまりません。
もういい大人でしょ。ストレス溜る面白くもない毎日でしょ。
「ちょっと時間ちょうだい。ちょっとでいいんだ」
うん、そう思うよね。
これはおそらく単に休むための時間じゃなくて。
取り戻すための時間。
ちょっとだけ時間があれば、取り戻せる気がするんだなぁ、あの日を、あの日の夢を。

04.The Prayer
Is it so wrong to want rewarding?
To want more than is given to you?
Than is given to you
[報いを求めることはそんなにいけないことですか?
与えられた以上に望むことは?]

何度聴いても泣きそうになります>Than is given to you
「神に与えられた」の意味、つまり「人は生まれ持ったもの以上に望んではいけないの」?
って意味だと私は思ってます
この歌声がまさに悲痛な祈りのような声でねぇ。>Than is given to you
これはプロモも素晴らしいよね。
光の下のダンスフロアにあこがれるけど、結局ダンスフロアの住人にはなりきれず、影の下の椅子に戻るんだ。
でもあのプロモ、たった一人で影に戻るわけじゃないところに救いがある。その暗い椅子に四人が揃ってるところに救いが。
叶わぬ祈り。
でも叶わない果てにも別の生き方があるんだって思わせてくれる。

05.Uniform
All the young people looked the same
[若い奴らみんな同じに見えた]

So entertain us, tell me a joke
Make it long, make it last
Make it cruel, just make me laugh
We can't be hurt, we can't be hurt
[僕達を楽しませてよ ジョークを言って 長く続けて 残酷なのをね 
ただ笑わせて 僕達は傷つかないから 僕たちは傷つかない]

All the young people looked the sameと言いながら、BLOC PARTY自体が若いバンドで、彼らもまたyoung peopleに属している。
彼らは自分の属する集団のまとう不気味なuniformに気付いてしまった
これはひとつ上の世代が「近頃のわかもんは」って他人事みたいに語るより、よほど重くてつらいことなんだ。
内部から気付いちゃうってしんどいよ。
だからこの歌の曲調はとても暗い。

06.ON
You make my tongue loose
I am hopeful and stutter-free

上のフレーズはとても美しく同時に悲しく、聴く度に心が震えます。
インタビューによるとドラッグに興じる若者をテーマにした歌らしい。
しかし道徳的に批判するんではなく、開き直ってドラッグ最高~!って快楽を歌い上げるんでもなく、
ここで描かれているのは、ドラッグに興じるに至ってしまう、若者のからっぽで寂しくて不安な内面なんだ。
BLOC PARTYの共感力は本当に素晴らしい。。。

07.Where Is Home
So I just sigh and I just sigh
And I pretend that there's nothing wrong
[ただ溜め息をついて なんにもなかったふりをする]

人種差別に限らず、差別の一番の問題は差別する側が差別される側の感情を理解できないこと。
伝えようとしても伝わらない。
たとえばカラードでない者にカラードの気持ちは分からない。なぜなら彼らは一生カラードである状態を経験することはないのだから。
相手は永遠にそれを知りえないということ。
これが差別の難しさなんだ。

08.Kreuzberg
I have decided
At twenty-five
Something must change
[25の時決めた 何かが変わらなきゃいけないって]

人生が大きく変わる何かを自分の中で決める瞬間ってまさにこの曲の雰囲気でしょう。
この静かで清涼で厳かな。
私の人生で次に決意の瞬間が訪れるとき、きっと頭の中ではこの曲が流れると思う。

さてこのなぞめいた歌を基点として、次の曲からこのアルバムはぐっと私的な領域に入ります。
このアルバムのこの構成が好きです。
ロンドン全てを俯瞰していた視点がこの曲を境に個人的な内容に落とし込まれる構成がダイナミックじゃない?

09.I Still Remember
You should have asked me for it
How could I say no?
[君は僕に求めるべきだった どうしてノーなんて言えたろう]

青春ソングv
曲調も詞も甘酸っぱいわ照れくさいわでたまりません。

10.Sunday
I love you in the morning ,
When you're still strung out
[朝の君が好き まだぼーっとしてる時の君が]

With you I am calm
A pearl in your oyster
Head on my chest a silent smile, a private kind of happiness
[君といると僕は穏やか 君は貝殻で僕は君の中の真珠
僕の胸に頭を寄せて君は静かに微笑んでる 僕だけの幸せ]

もう黙って詞を読んでにやけちゃって下さい的な
この曲何度聴いても鼻血出そうよ素敵すぎ
ところでprivateの訳ってなにげに難しいよね
(つーか対語がないからプライベートは日本語化したのだな)

11.SRXT
Being a man made me coarse
When I wanted to be delicate
[一人前の男になることで僕は粗雑になったんだ
デリケートでいたかったのに]

純文学ソングと名付けて良いでしょうか。
冷たく沈黙した真夏の光が目に浮かびました。
私の勝手なイメージですがこの歌の自殺する主人公はきっと二十歳前後の学生だ
二十歳前後の自殺はティーンや三十代の自殺とは違う
もっと入り組んで複雑で理解不能で純文学的なもの
っていう私の思い込みがあります。

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