未来予想図

20年ほど前は、我が家の車に大きい地図帳が常備してあり、家族旅行に行くときなどは助手席の母がその地図を見て、運転する父に道を教えていました。幼い私はその様子を後部座席から見て、自分も大人になればこんなことが出来るようになるのだろうと、微かに憧れていました。

そんな中、小学校で地図の見方を習う授業があり、勉強全般が不出来だった私ですがその時ばかりは多少の意欲を持って取り組んだものでした。

ですが地図の見方は思いの外難しく、出来の悪い生徒が気まぐれに多少頑張ったところでついていく事はできませんでした。私は子供ながらに自己嫌悪を抱き、自分は地図を読めないまま大人になってしまうのだ、一人で旅行なんて一生できないのだと思い悲しくなったのを覚えています。

果たして私は予測どおり、地図が読めないまま大人になりましたが、今日日はどんな車にもカーナビが付いていますので、地図など読めなくとも旅行に何一つ問題のない時代になりました。

ところが私は貧乏で無気力な大人になってしまったので、道に迷わなくなったところで旅行なんて行きません。幼い頃の私は悲しみ損です。

昔の教科書を開いてそんなことを思い出しました。