建築への思い

素人から見た建築への思いを、雑誌や本で見聞きしたものを中心に、とりとめなく書き綴っていこうと思います。

The Carlisle House

2005-04-27 | This Old House
今回は、TOHのクルーが1849年に建てられたニューイングランド地方の農場を買い取り、約12ヶ月かけてショーハウスにリノベしたというはなしです。

この住宅、大変素敵に仕上がっています。

そして、この経験を元に、以下の21箇条の教訓が列挙されていました。

1. A sound skeleton come before flashy finishes
2. Low ceilings create cozy spaces
3. Structure can be beautiful
4. There's a place for art in the everyday
5. Sometimes starting over is the smartest way to go
6. Smart window design can provide both light and privacy
7. Bigger isn't always better
8. Drawings on paper only take you so far
9. Sometimes plan B is the better one
10. Small luxuries make daily life a pleasure
11. Great views belong in private spaces, too
12. Modern materials can speed up construction
13. Experts really do have expertise
14. Man-made can be better than real thing
15. It's worth the extra effort to save a bit of money
16. Ecery house could use a few surprises
17. Comfort and utility aren't mutually exclusive
18. The best imvestments are often hidden
19. Native materials marry a house to the land
20. entryways should signal what's coming
21. Houses need spaces for year-round entertaining

同感できる内容が盛り沢山ですが、私は特に、3番の「構造は美しくもある」というのと、19番の「地元の素材はその土地に建てられた家と調和する」というのが気に入りました。みなさんはどう思いますか?


Up on Roofs? (May 2005)

2005-04-25 | This Old House
今日は日本語で緑化屋上というのでしょうか?グリーンルーフについての話です。

英語では、eco-roof, garden roof, living roof, vegetated roofなどとも呼ばれている、グリーンルーフは、空気の浄化、降雨の吸収、屋上の気温を華氏10-20度下げる効果などがあります。どいつでは18世紀から盛んに取り入れられていた手法で、現在では1300万世帯が緑化屋上を持つといわれています。

アメリカでも、シカゴのシティホール(市庁舎)をはじめ、アトランタ、ポートランド(オレゴン州)に緑化屋上がみられるとのことです。企業では、ウォールマート、ターゲット、ギャップ、フォードなどが取り入れており、オレゴン、ワシントン、イリノイ、ニューヨーク、カリフォルニア、メリーランド州では、緑化屋上の建設に対し、補助金が出るようです。

この緑化屋上、以下の通り多数の層からできています。

1.屋根デッキ(ベニヤ板、スチールないしはコンクリート)
2.硬質フォーム断熱材(オプション)(屋上の温度を一定に保つ)
3.防水膜
4.ルートバリア(活発な根の活動を押さえる)
5.排水層(余分な水分を雨樋へ流す)
6.フィルター地(この上にある土壌の流出を押さえる)
7.培地
8.ウィンドブランケット(植物が落ちないようにする網)
9.植物

このように、緑化屋上は複雑そうに見えますが、きちんと設置すれば、ほとんどメンテもいらず、大変美しい屋根が得られるということで、最近人気が出てきているとのことです。

I Cannot Tell a Lie (May 2005)

2005-04-22 | This Old House
今日は、庭にある桜の木を切り倒して、階段や手すり、その他の装飾に姿を変えたという話です。

この住宅には4本の桜の木があり、そのうち2本は嵐で倒れ、残り2本も専門家の検診により、倒壊する可能性があるとの診断を受けたことから、4本とも切り倒した、というものです。

階段の写真を見た瞬間、大変美しく、つい目を惹かれてしまいました。

実際に木を切り倒してから階段ができあがるまで、なんと18ヶ月を要したそうです。そのうち、1年間は、エアドライ(空気乾燥)に当てられたとのこと。木の湿度が20%を切るところまで持っていかないと、まがったり、縮んだりする恐れがあるそうです。

それにしても美しい階段。桜も喜んでいることでしょう。

Designer Detail an Urban Oasis 30 Feet Up

2005-04-19 | New York Times
今朝のNYTにHigh Line関連の記事が掲載されていました。

High Lineとは、マンハッタンの10th Avenueと11th Avenueの間、34th StreetからGansevoort streeetにわたり残っている、古い鉄道ラインです。この地域はミートパッキングエリアとよばれ、マンハッタンの中でも、ちょっと前まではあまり近付きたくない雰囲気がただよっていた地域です。最近になって、新しくホテルが建てられたり、しゃれたレストランができたりと、少しずつイメージがかわってきています。

そんな中、friends of the High Lineという非営利団体がずっとHigh Lineの解体に反対し、保存を訴え、これまでなんとか解体されずにきています。

そして今回、Field Operationsという建築、アーバンデザイン、エコロジカルでザインを手掛けるグループと、著名な建築家グループ、Diller, Scofidio & Renfro及びFriends of the High Lineのあいだで、このハイラインの第一次レベルのでザインが確定し、今年の末から工事に入る模様です。

この、デザインドローイングはMOMAで展示されるとのこと。是非いってみたいです。

この記事の中でもっとも印象に残った文章は、MOMAのアシスタントキュレーターのTina die Carloさんが述べた言葉で、

"Landscape architecture and Urban Design are completely integrated."

という言葉。これ、いうのは簡単ですが、実際にそうなるのは大変難しいと思います。

デザインチームも、

preserving "the Romance of the Ruin"と

creating a freash green corridor for pedestrians


の中で、かなり葛藤したと述べています。古きものを温存する力と、いつも、どの場面でも、新しく、使い勝手のよいものを取り入れる力の間で、葛藤がみられます。お互いに切磋琢磨しあって、よりよいものが生まれていくのだと思います。

Stone Barn Center

2005-04-17 | Architecture Record
今日はPocantico Hills(NY)というところにある、Stone Barns Centerの記事を紹介します。

このBarn Centerは、いまのところ、Stone Barn Center for Food and AgricultureとBlue HIll Restaurantからできています。もともとかの有名なロックフェラー家のbarnとして、1930年代に建てられたこの一角を、David Rochefellerと娘のPeggy Dulanyが再開発しようということで、このようなセンターができてきたということです。

なんでも、亡くなった奥様が、だんだん消え行く農場の保存に大変熱心だったことから、$30millionを投資して、4000エーカーあったロックフェラー家の土地のうち、80エーカーをこのセンター等に再開発したとのことです。

なぜ、この記事を取り上げたか、というと、先月でしょうか、Martha Stewart LivingにこのBlue Hillのレストランの記事が取り上げられていて、ああ、いってみたいなあ、とずっと思っていたら、今回Architecture Recordにも取り上げられていたので、興味を持ったわけです。

Blue Hill(レストラン)の建築家は、Asfour Guzy。このデザインチームは、マンハッタンにあるBlue Hillのデザインも手掛けた人達です。大変シンプルで、質のある空間を、上手く納屋の建物にフィットさせています。

一方、全体のマスタープランを手掛けたのは、ボストンの建築家グループ、Machado Silvetti Assotcitatesです。とても上手につくっていて、マンハッタンから喧噪を逃れてちょっと一息、という人達にとてもよい空間だと思います。是非いってみたいです。

ローワ-マンハッタン開発公社からのニュース

2005-04-15 | その他
今日、ローワ-マンハッタン開発公社(LMDC)からemailでニュースレターが届いたので、御参考までに紹介します。

この、LMDCというのは、御存じの方もいらっしゃると思いますが、9-11をへて、WTC跡地及び近隣地域(ローワ-マンハッタン)の活性化を目的として、確か2001年の11月に、ニューヨーク州及びニューヨーク市によって設立されました。

これまで多数のコミュニティミーティングを開催し、あらゆる手段(ウェブサイト、Eメール、郵便、等)で住民からの意見を取り入れ、今後のローワ-マンハッタン地域の開発の指針をつくってきた公社です。

今回は、どうやら、パタキ知事の要請を受け、今後、残存する資金(CDBG=コミュニティ開発一括補助金)の使途を明確にするために、あらたに"Guiding the Process: The Public Dialogue and Lower Manhattan Revitalization Initiatives"というレポートを発表しました。

これまでの市民の意見を反映してのプロジェクトの実績と、今後、どのようなプロジェクトを取り入れるべきか、が中心となっています。

このレポートに対する意見を5月1日まで受け付けるそうです。その後、最終案をまとめて、実際のプロジェクトを進めていく模様です。

このLMDCが行っている業務は、大変興味深いものがあります。パブリック・ダイアログといって、とにかく住民を巻き込もうとする姿勢には頭が下がります。

興味のある方は、ウェブサイトを御覧ください。

また、時間のある時にでも、LMDCの業績等について少しづつかきたしてみたいと思います。

Thinking Big (January 2005)

2005-04-13 | Living
今日はなんだか何をかこうかとちょっと迷ってしまい、少し昔の記事になりますが、大変印象に残っている住宅を紹介します。

このLivingというのは、日本でも出版されているマーサ・スチュワートの雑誌で、インテリアやガーデニング、クラフト、クッキングなどが中心となっており、建築については、折に触れていい感じの建物が登場するくらいで、なかなか建築自体の話にならないのですが、この号に、チーフエディターのマーガレット・ローチさんのゲストハウスが紹介されており、大変興味深い話だったので、取り上げてみることにしました。

ローチさんのお隣の住宅が売りに出されると、すかさず購入し、ゲストハウスに仕立てた、という話ですが、この住宅、700SFと比較的こじんまりしたサイズで、さらに予算5万ドルですべてを改装すると言う、かなり予算的にも厳しいはずの改装ですが、見事に美しく、安らぎのある空間に仕上がっています。

限られた予算で、となると、みんな頭をひねって考えるのでしょう。ありとあらゆるところに素敵なアイディアが盛り込まれています。例えば、この住宅の構造自体が大変弱く、基礎と暖炉しか残せなかったということで、かなりの部分を新しく作り上げたようですが、屋根構造を支えるためにスチールのアイビームトラスを張ってあります。が、このアイビームトラス、とってもかっこいい!(写真左上に少し見えているのですが。。。)これ自体がインテリアの一部となり、空間に新たな息吹を与えているような気がします。

ローチさんは、コーナーウィンドウ、ウィンドウシート、船の寝台のようなベッドルームにこだわったようで、限られた予算の中で、カスタムメードではなく、レディメイドの部品を上手に組み合わせて、素敵な空間を演出しています。

また、狭い空間だからこそ、色のコーディネートが大切と感じたローチさん(さすが!リビングの編集長だけありますよね)は、グレー系と明るめの木目、そしてオレンジよりの赤に色を絞って、さまざまな素材を使って、室内をデコレートしています。これはお見事。小さいながらも、大変調和のとれた空間が広がっています。

私もこんな空間に住めたらなあ、と思わずにはいられない空間です。

この住宅のデザインを手掛けた建築家、ポール・レワンドスキさんのウェブの中央にこの住宅のCADイメージが出ていますので、興味のある方はクリックしてみて下さい。

A Tale of 4 Cities - Pasadena, CA (April 2005)

2005-04-11 | This Old House
今日は歴史的建築物の保存に熱心な人々が集まるコミュニティの一つとして、カリフォルニアのパサデナの記事を取り上げます。

この記事は、以下の文章から始まります。

If you want to be inspired, visit these communities and see what homeowners with a sense of history can accomplish

そうです。homeowners with a sense of historyというのは、言ってみるのは簡単ですが、実際に実行するのはなかなか難しいことです。

このパサデナ地域では、Green & GreenやHeineman & Heinemanをはじめとするクラフトマンスタイルが色濃く残っている地域だそうです。クラフトマンスタイルの特徴として、むき出しの梁や垂る木、緩やかな勾配をもつ屋根板でできた屋根、聳え経つ石造の煙突、住宅と土地を結び付ける野石でできた基礎などが挙げられます。

面白いなと思ったのは、このクラフトマンスタイルを、スイスのシャレー(軒が突き出た住宅スタイル)、日本の寺院、英国のチューダー様式を一部取り込んだスタイルと表現しているところです。なるほど、確かに、私の目から見ても、少し馴染みのあるスタイルに見えますが、それはきっと、少しながら日本建築の影響を受けているからでしょうか。

写真に出ているのは、Greene & Greeneの Duncan-Irwin Houseですが、この地域にはGreene & Greeneの作品の中でも大変有名な、Gamble Houseもあります。これらすべて、毎年行われるCraftsman Heritage Weekend中に見学することができるそうです。

そこで、なにげなくパサデナ観光局のウェブにいってみたところ、まち全体がアーツ・アンド・クラフツスタイルなのですね。突然行ってみたくなってしまいました。

Lumber lingo (April 2005)

2005-04-09 | This Old House
木材は、北米の住宅建設において、大変頻繁に利用されていますが、この木材を購入すると、たいてい品質表示ラベルがついています。今月のThis Old Houseには、このラベルの読み方を紹介する記事がありましたので、ここにまとめてみます。

Application(用途)
ground contact, above ground use, deckingなどの表示があり、どのような用途に適しているかが表示されている。
また、UCナンバー表示というのもあり、これは、水との接触の限界を表示するもの。UC4Aは、フェンスやデッキの支柱に最適で、UC4Bは常設の基礎やユティリティポールに、UC4Cはボートドックなど、たいていの水との接触には耐えうるというランク分けになっている。

Third-Party Inspector (第三者検査)
第三者による検査があったかどうかを示すもの。

Retention Level(保存レベル)
木材保護のため、どの程度薬品(例えば銅アゾ-ルなど)がかけられているかを示すもの。数字が高い程、保護されているという意味で、価格もこれに比例して高くなる。

Year(年度)
いつ、木材の加工がなされたかを示すもの。

Preservative Type(保存材の種類)
かけられた薬品がEPA(環境保護庁)から認可されているか、低毒性銅アゾール(CA-B)、アルカリ銅(ACQ)か、などを表示するもの。

Standards (基準)
American Wood Preservers Association(米国木材保存協会)の使用目的にかなった木材処理がなされていると、AWPAのマークがおされることになる。

Name of Wood Treater(木材加工業者の名前)
木材になんらかの問題が合った場合、問い合わせ等が可能となる。

と、おおよそ予想のつく範囲というか、最低必要事項は網羅されているという印象を受けました。
ただ、この薬品のレベルというのは難しいところだと思います。あまり少ないと、すぐに腐ってしまったり、シロアリにやられてしまったりしますが、あまり多いと、シックハウス症候群のように人体に影響が出てくるからです。

なんとなく、みんながこの木材を使っているから大丈夫だろう、という程度で流してしまうと、のちのち大変なことになる気がします。木材を選ぶ時には、慎重に、自分で改めて薬品等につき詳細を勉強しなくては、と思います。

How to Play FlatPak (April/May 2005)

2005-04-08 | Dwell
今日はDwellの表紙にも掲載されているFlatPakについてです。

この建築は、Charlie Lazorというミネアポリスにいる建築家が自邸として建てた、プレハブ住宅の原型です。プレハブながら、かなり優れたデザインに仕上がっているので、これからのプレハブ住宅産業がかわっていくかもしれない、というのが記事の主旨です。

極力単純な構造にするために、コーナーをあまりつくらないようにし、コンクリート壁パネル、木、メタル、あるいはセメントの羽目板のついた木造パネル、そして大きなガラスをはめ込んだ木造フレームの3種を巧みに使って、ほとんどの壁を作り上げています。

全体的にとても単純ですが、快適な空間を生み出した建築と言えるでしょう。私は特に、このパブリックな空間を取り囲む全面窓が大変気に入りました。特に、オフィススペースは両サイドとも全面窓で囲まれていて(写真参照)、窓の向こうに見える緑が借景となって、艶やかな空間を演出しています。

全体で2,600SFだそうですので、大きいことは大きいでしょう。私の近隣では、建てられないことはないけれども、この緑の借景をどこから持ってくるかで壁にぶつかり、実現するのは難しいかもしれません。この住宅は、借景なくしてはあり得ないような気がするからです。

彼のウェブサイトでも写真がたくさん見れますので、興味のある方は是非見てみて下さい。