建築への思い

素人から見た建築への思いを、雑誌や本で見聞きしたものを中心に、とりとめなく書き綴っていこうと思います。

Tod'd Omotesando Bldg

2005-06-15 | Architecture Record
ずいぶん前に新建築に取り上げられている伊東豊雄さんのこのTOD's Bldgを取り上げましたが、今回は今月のArchitecture Recordの表紙になっていたので、購入してみました。

この雑誌では、いろいろなアングルからの写真が掲載されていて、また違った印象を受けました。

これまでは、表参道からビル正面を撮影した写真しか拝見したことがなかったので、添付写真のように、斜上上空からLの字が見えるような写真を見たのは初めてで、こういう味方をすると、なんだかおとなりのShu Uemuraのビルが可哀想に見えてしまって。。。有名な絵本"The Little House"にでてくる小さな家みたいに思えてしまいました。

それから、表参道側のファサードの写真ではわからなかったのですが、お隣のビルを囲んでいるファサードには、プライバシー保持のために、ガラスだけでなくアルミも挿入されているのですね。これがかえってちょっとしたアクセントになっていて、面白いと思いました。

インテリアの写真も多数掲載されていますが、これらは、以前私が思ったジュエリーボックスのイメージがそのままに出ています。おそらく、私の頭のなかに建築=四角い箱という方式が潜在的に存在しているのでしょう。だからこそ、このダイヤモンドのように様々な角度を切り取ってできあがっている空間に新鮮味を覚え、宝石箱思い起こすのだと思います。

建築は、その空間を体験しない限り、本当の味わいはわからない部分が多数あります。でも、写真のアングルがかわるだけでその印象もがらりとかわる、建築写真の訴える力に改めて気付かされました。

International Contemporary Furniture Fair

2005-05-17 | New York Times
今日までJacob Javit's Convention Centerで行われているICFF(International Contemporary Furniture Fair)は今回で17回目を迎えますが、先日このページで御紹介したFlatpakシステムも紹介されています。

NY Timesのビデオクリップのコーナーで、このフェアーの全体像と詳細(ソファー、照明、ラグ、プレハブ住宅、学生による作品)を紹介していますので、興味のある方は是非見てみて下さい。

http://nytimes.com/





Freedom Tower back to drawing board

2005-05-06 | その他
またまたローカルネタになってしまって恐縮ですが、今日はWTC跡地に建設予定のFreedom Towerのデザイン案がNYPD(ニューヨーク警察)から安全上懸念があるとの意見を受け、再考することになったという記事です。

マンハッタンでは、am New Yorkやmetro等、フリーペーパーが毎朝配られているのですが、今朝の見出しはどれもこのFreedom Towerの話がトップに来ていました。

どうやら、建設予定地がウェストストリートという、ちょうど西側を走る道路に近すぎて、トラック爆弾の標的となる可能性があるから、という理由のようです。

ちょうど先週、このFreedom Towerを含む、ダウンタウン一帯の再開発を担うLMDCのプレジデントKevin Rampe氏が退任するという記事を目にし、どうしてだろう?と思っていたのですが、こういった一連のドタバタが原因なのかもしれません。

なお、関連記事がニューヨークタイムズにも掲載されていましたので、参考までにリンクはっておきます。

Brooklyn Waterfront Makeover

2005-05-03 | New York Times
ゴールデンウィーク中は友人が滞在していたこともあり、全くこのサイトに手がつけられませんでした。なので、今日は気を取り直して、ニューヨークタイムズからの記事です。

タイトルは"City is Backing Makeover for Decaying Brooklyn Waterfront'というもので、ブルックリンのウィリアムズバーグ地域のrezoningの話です。

もともとこの地域は、軽工業が中心となっていた地域で、未だにとっても暗く、なんだかちょっと独り出歩くには恐いかな、というイメージを起こさせなくもない地域ですが、最近のマンハッタン島の地価高騰もあり、比較的お値ごろでアパートを探すアーティスト達が密集するようになり、今回ターゲットとなったとも言えます。

記事によると、ウィリアムズバーグ及びグリーンポイント地域の175ブロックを工業地域から住宅地域へとゾーニングを変更する法律が近々可決される見込みとのこと。これにより、デベロッパーは30~40階建てのマンションを建設することが可能となるようです。

これには、インクルージョナリーゾーニングといって、ゾーニング規制の範囲内で、複合的土地利用を実現する技法が利用され、建設されるアパートのうち、最低20%は低・中所得者ようでなくてはならないという規定が盛り込まれる見込みです。この、どの程度低・中所得者を盛り込むか、という数字の争いがしばらく続いていたようですが、NYTによると、建設見込みの10,500件のうち、33%近くが低・中所得者に向けられるようで、これは住民側の勝利と言っても過言ではないとの記載がなされていました。

さらに、この土地はウォーターフロント沿いなのですが、このウォーターフロント沿いにプロムナードを建設することがデベロッパーに義務付けられています。そして、このプロムナードは後に市の公園局の管理下に入ることになっています。

この、インクルージョナリーゾーニング、及びプロムナードの建設を今回制定される法律に従って遂行するデベロッパーは、様々な補助が受けられるようになっていると言う仕組みです。

マンハッタンの開発は、これでもか、これでもかと言うくらいあらゆる地域でプロジェクトが進行している状態ですが、今回のこのウォーターフロントはかなり大規模で、使用される技法も極めて独特で目が離せない状態です。

このプロジェクトの将来像、目標は、対岸に聳えたつバッテリーパークのような開発だとのこと。大胆な目標です。

個人的には、かなりポテンシャルのある地域なので、開発が進むと面白いかな、と思う一面、これまでの少し暗い面影が全くなくなってしまうのは、ウィリアムバーグらしさをなくしてしまうのではないか、という危惧もあります。また、このエリアは、ユダヤ系の人口が大変高い地域だと記憶していますので、このコミュニティが今回の提案にどう対応していくのか、この地域に存続できるのか、果てはアパート価格の高騰等に伴い、閉め出されてしまうのか、まだ予想がつきません。

それにしても、今回のプロジェクトといい、最近発表されたスタッテン島への予算増補といい、私にはブルームバーグ市長が今年の選挙をにらんでコミュニティに票集めにいっているように見えて仕方ないのですが、いかがでしょうか。。。

The Carlisle House

2005-04-27 | This Old House
今回は、TOHのクルーが1849年に建てられたニューイングランド地方の農場を買い取り、約12ヶ月かけてショーハウスにリノベしたというはなしです。

この住宅、大変素敵に仕上がっています。

そして、この経験を元に、以下の21箇条の教訓が列挙されていました。

1. A sound skeleton come before flashy finishes
2. Low ceilings create cozy spaces
3. Structure can be beautiful
4. There's a place for art in the everyday
5. Sometimes starting over is the smartest way to go
6. Smart window design can provide both light and privacy
7. Bigger isn't always better
8. Drawings on paper only take you so far
9. Sometimes plan B is the better one
10. Small luxuries make daily life a pleasure
11. Great views belong in private spaces, too
12. Modern materials can speed up construction
13. Experts really do have expertise
14. Man-made can be better than real thing
15. It's worth the extra effort to save a bit of money
16. Ecery house could use a few surprises
17. Comfort and utility aren't mutually exclusive
18. The best imvestments are often hidden
19. Native materials marry a house to the land
20. entryways should signal what's coming
21. Houses need spaces for year-round entertaining

同感できる内容が盛り沢山ですが、私は特に、3番の「構造は美しくもある」というのと、19番の「地元の素材はその土地に建てられた家と調和する」というのが気に入りました。みなさんはどう思いますか?


Up on Roofs? (May 2005)

2005-04-25 | This Old House
今日は日本語で緑化屋上というのでしょうか?グリーンルーフについての話です。

英語では、eco-roof, garden roof, living roof, vegetated roofなどとも呼ばれている、グリーンルーフは、空気の浄化、降雨の吸収、屋上の気温を華氏10-20度下げる効果などがあります。どいつでは18世紀から盛んに取り入れられていた手法で、現在では1300万世帯が緑化屋上を持つといわれています。

アメリカでも、シカゴのシティホール(市庁舎)をはじめ、アトランタ、ポートランド(オレゴン州)に緑化屋上がみられるとのことです。企業では、ウォールマート、ターゲット、ギャップ、フォードなどが取り入れており、オレゴン、ワシントン、イリノイ、ニューヨーク、カリフォルニア、メリーランド州では、緑化屋上の建設に対し、補助金が出るようです。

この緑化屋上、以下の通り多数の層からできています。

1.屋根デッキ(ベニヤ板、スチールないしはコンクリート)
2.硬質フォーム断熱材(オプション)(屋上の温度を一定に保つ)
3.防水膜
4.ルートバリア(活発な根の活動を押さえる)
5.排水層(余分な水分を雨樋へ流す)
6.フィルター地(この上にある土壌の流出を押さえる)
7.培地
8.ウィンドブランケット(植物が落ちないようにする網)
9.植物

このように、緑化屋上は複雑そうに見えますが、きちんと設置すれば、ほとんどメンテもいらず、大変美しい屋根が得られるということで、最近人気が出てきているとのことです。

I Cannot Tell a Lie (May 2005)

2005-04-22 | This Old House
今日は、庭にある桜の木を切り倒して、階段や手すり、その他の装飾に姿を変えたという話です。

この住宅には4本の桜の木があり、そのうち2本は嵐で倒れ、残り2本も専門家の検診により、倒壊する可能性があるとの診断を受けたことから、4本とも切り倒した、というものです。

階段の写真を見た瞬間、大変美しく、つい目を惹かれてしまいました。

実際に木を切り倒してから階段ができあがるまで、なんと18ヶ月を要したそうです。そのうち、1年間は、エアドライ(空気乾燥)に当てられたとのこと。木の湿度が20%を切るところまで持っていかないと、まがったり、縮んだりする恐れがあるそうです。

それにしても美しい階段。桜も喜んでいることでしょう。

Designer Detail an Urban Oasis 30 Feet Up

2005-04-19 | New York Times
今朝のNYTにHigh Line関連の記事が掲載されていました。

High Lineとは、マンハッタンの10th Avenueと11th Avenueの間、34th StreetからGansevoort streeetにわたり残っている、古い鉄道ラインです。この地域はミートパッキングエリアとよばれ、マンハッタンの中でも、ちょっと前まではあまり近付きたくない雰囲気がただよっていた地域です。最近になって、新しくホテルが建てられたり、しゃれたレストランができたりと、少しずつイメージがかわってきています。

そんな中、friends of the High Lineという非営利団体がずっとHigh Lineの解体に反対し、保存を訴え、これまでなんとか解体されずにきています。

そして今回、Field Operationsという建築、アーバンデザイン、エコロジカルでザインを手掛けるグループと、著名な建築家グループ、Diller, Scofidio & Renfro及びFriends of the High Lineのあいだで、このハイラインの第一次レベルのでザインが確定し、今年の末から工事に入る模様です。

この、デザインドローイングはMOMAで展示されるとのこと。是非いってみたいです。

この記事の中でもっとも印象に残った文章は、MOMAのアシスタントキュレーターのTina die Carloさんが述べた言葉で、

"Landscape architecture and Urban Design are completely integrated."

という言葉。これ、いうのは簡単ですが、実際にそうなるのは大変難しいと思います。

デザインチームも、

preserving "the Romance of the Ruin"と

creating a freash green corridor for pedestrians


の中で、かなり葛藤したと述べています。古きものを温存する力と、いつも、どの場面でも、新しく、使い勝手のよいものを取り入れる力の間で、葛藤がみられます。お互いに切磋琢磨しあって、よりよいものが生まれていくのだと思います。

Stone Barn Center

2005-04-17 | Architecture Record
今日はPocantico Hills(NY)というところにある、Stone Barns Centerの記事を紹介します。

このBarn Centerは、いまのところ、Stone Barn Center for Food and AgricultureとBlue HIll Restaurantからできています。もともとかの有名なロックフェラー家のbarnとして、1930年代に建てられたこの一角を、David Rochefellerと娘のPeggy Dulanyが再開発しようということで、このようなセンターができてきたということです。

なんでも、亡くなった奥様が、だんだん消え行く農場の保存に大変熱心だったことから、$30millionを投資して、4000エーカーあったロックフェラー家の土地のうち、80エーカーをこのセンター等に再開発したとのことです。

なぜ、この記事を取り上げたか、というと、先月でしょうか、Martha Stewart LivingにこのBlue Hillのレストランの記事が取り上げられていて、ああ、いってみたいなあ、とずっと思っていたら、今回Architecture Recordにも取り上げられていたので、興味を持ったわけです。

Blue Hill(レストラン)の建築家は、Asfour Guzy。このデザインチームは、マンハッタンにあるBlue Hillのデザインも手掛けた人達です。大変シンプルで、質のある空間を、上手く納屋の建物にフィットさせています。

一方、全体のマスタープランを手掛けたのは、ボストンの建築家グループ、Machado Silvetti Assotcitatesです。とても上手につくっていて、マンハッタンから喧噪を逃れてちょっと一息、という人達にとてもよい空間だと思います。是非いってみたいです。

ローワ-マンハッタン開発公社からのニュース

2005-04-15 | その他
今日、ローワ-マンハッタン開発公社(LMDC)からemailでニュースレターが届いたので、御参考までに紹介します。

この、LMDCというのは、御存じの方もいらっしゃると思いますが、9-11をへて、WTC跡地及び近隣地域(ローワ-マンハッタン)の活性化を目的として、確か2001年の11月に、ニューヨーク州及びニューヨーク市によって設立されました。

これまで多数のコミュニティミーティングを開催し、あらゆる手段(ウェブサイト、Eメール、郵便、等)で住民からの意見を取り入れ、今後のローワ-マンハッタン地域の開発の指針をつくってきた公社です。

今回は、どうやら、パタキ知事の要請を受け、今後、残存する資金(CDBG=コミュニティ開発一括補助金)の使途を明確にするために、あらたに"Guiding the Process: The Public Dialogue and Lower Manhattan Revitalization Initiatives"というレポートを発表しました。

これまでの市民の意見を反映してのプロジェクトの実績と、今後、どのようなプロジェクトを取り入れるべきか、が中心となっています。

このレポートに対する意見を5月1日まで受け付けるそうです。その後、最終案をまとめて、実際のプロジェクトを進めていく模様です。

このLMDCが行っている業務は、大変興味深いものがあります。パブリック・ダイアログといって、とにかく住民を巻き込もうとする姿勢には頭が下がります。

興味のある方は、ウェブサイトを御覧ください。

また、時間のある時にでも、LMDCの業績等について少しづつかきたしてみたいと思います。