住宅総研Vivien研究員の業界REPORT

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国宝犬山城・如庵からF.L.ライトの明治村へ/国宝&重文の旅

2011年10月15日 | 住宅業界
見学会翌日はゴルフ組と観光組に分かれて行動。観光組の私達はホテル隣の犬山(白帝)城へ散歩。
日本国宝の城4つ(他に彦根・姫路・松本城)の中で最も古い1537年に、織田信長の叔父・織田与次郎信康によって築城された。
    
小牧長久手合戦(1584年)では秀吉が12万の兵とこの城に入り、小牧の家康と戦った。
明治以降、成瀬家が代々所有し修理を重ねながら現在は犬山白帝文庫が所有。

次にもう一つの国宝、茶室「如庵」がある有楽苑(うらくえん)へ。
国宝茶席3名席の一つ「如庵」(左)は信長の実弟で大茶匠という織田有楽斎が晩年、京都建仁寺に隠棲し建てた茶室(1618年頃)。
長い歴史の中でその時々のパトロンによって、京都から関東など数度移築され故郷とも言える犬山に戻ったそう。
柿葺の端正な外観、二畳半台目。竹の有楽窓
 
有楽苑には「如庵」以外にも歴史の趣がある門なども配され、小雨の中を潜り抜けるとタイムワープしそう・・・
   

そして、楽しみにしていた明治村へ。建築に携わる者としては是非一度来たかった所。
今では60以上も建物が移築され保存。そのうち10棟の建物と2つの産業機械が国の重要文化財に指定されている。
  
西郷従道の別邸にお邪魔・・・・格調高い格天井、当時の金持ちは今の金持ちより豊かな住生活をおくっていたようだ。
   
 

夏目漱石邸の座敷には、猫も。

さて待ちに待った帝国ホテル中央玄関に到着!遠景で既に圧倒される・・・荘厳。
   
インカ?アステカ?帝国を彷彿させるモニュメントやディテールデザイン。光の取り込み方が魔術師的。
    
フランク・ロイド・ライトらしい照明、家具も配されている。
  
左が形板で、中が使われている金属内装パーツ。ライトの大谷石やテラコッタと共にオーガニック建築を構成する。何と、結婚式の披露宴が行われていた!
   

他にも興味深い建築が沢山あった。希少な木造3階建ての東松家住宅(明治34年1901年頃、名古屋市)。
江戸時代は武家以外に3階建ては建てられなかったらしく平屋であったものに、明治時代に3階を増築したのだそう。
 
1階が油屋の‘店舗併用住宅’。階段が収納引出になっている工夫も現代に受け継がれている。
    
中庭によって自然を取り込む。エジソンの竹フィラメント電球!2階に茶室があり客人を迎えるための仕掛けが色々。
    
   
こちらは兵庫県西宮市から移築された芝川又右衛門邸。こちらの天井も素晴らしい、マントルピースには花模様のタイル装飾。
  
窓辺のベンチや階段の造作が和洋折衷の趣。金箔の塗り壁。良き時代の豊かな暮らしを垣間見る。
   

この明治村、初代館長が谷口吉郎氏で鹿鳴館が取り壊された事に危機感をもって、明治建築の保存と活用を訴えられた事が始まりと知った。(昭和40年開村)
谷口の友人、土川元夫氏(後に名鉄社長会長)と二人の夢によって実現した建築の博物館。
現在、ドラマ「坂の上の雲」の撮影に使われたり、一般の方が気軽に結婚式があげられたりと
建築が使われてこそ意味があるという精神も受け継がれている。
尚、保存修理費用が莫大になっているようで寄付金も募られている「特定公益増進法人:財団法人明治村