住宅総研Vivien研究員の業界REPORT

リクルート住宅総研の研究員が住宅業界の最新動向をレポート。
‘豊かな住生活’実現にむけ国内外の情報を取材発信します!

リクルート住まい研究所を離れて独立

2013年04月02日 | 住宅業界
この4月から、リクルートの仕事(リクルート住まい研究所)から離れてフリーランスとなります。
とは言っても、既に株式会社リクルートを退職し7年が経っており
業務委託でお世話になっていた、住まい研究所(旧、住宅総研)の研究員職を終えたという形。

今後は、フリーの住生活ジャーナリスト&コンサルタントとして活動の場を広げます!
つきましては、このBlogを2010年以前のBlogに吸収して残しておく形にします。
(ややこしい!2つのアカウントを一つにはできないらしい・・・)

引き続き、「VIVIEN住生活総研」と題したBlogにて情報共有をしていきたいと思います。
藤井繁子BLOG: 「VIVIEN住生活総研」  http://blog.goo.ne.jp/vivienfujii/

TOKYO DESIGNERS WEEK2011~インテリアトレンドショーJAPANTEX2011・インテリアフェスティバル2011

2011年11月09日 | 住宅業界
今年もTOKYO DESIGNERS WEEKは明治神宮外苑絵画館前を中心に、都内各所(約70カ所)で開催された。
(スポンサーCHINTAIのロゴ入りBagがくばられたが、あまりにもチャチ!すぐ潰れてBoo--)
 
デザインを音楽や食にまで枠を広げて展開し少々我々の域を超えたものも多いが、住宅業界からもデザインコンシャスな数社が参加。
積水ハウス×ACTUSの「小さな生活展3」。84㎡のスペースに10個の体験空間で、小さくても恋する空間を実現。
『野菜Love』『建築Love(何故か窓が卓球台に!)』など。(パネルは環境配慮素材のハーベストパネル)
  
TOTOの「minamo」はトラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏を起用しスマートにアートしたインスタレーション。
トイレと水栓のTOTO製品が置かれた空間で海の中のように揺れる光の水・・・
   
水回り商品のブランドTOTOの高い節水性能をイメージし「水でないもので水を表現してみた」と、反射光と音で幻想的かつ未来的な空間を創って見せた。
歩くと銀の床にシワができて壁や天井に揺らぐよう反射!ミラノでも見た「空気の器」をプレゼントしてくれた。

映像をインタラクティブな形で展示しているのは他にもDocomoなどが。 こちらは映像屏風、ありだよなぁ(「百年海図巻アニメーションのジオラマ」チームラボ)。 
スマホのプロモーション。  

スルメイカ照明・・・・鼻の穴コンセント・・・イチゴヘルメット、こういうPOP系も好きです。  こちらのオネエサンはブースで製作進行中(自身も展示物?)
   
会場デザインは建築家フロリアン・ブッシュ。屋外では学生の展示などを回遊して見れる。TV「TOKYO AWARD」のMC、茂木健一郎&シェリーが収録中。
 
お馴染みコンテナ展はレストランガイドのZAGAT協賛。フードやダイニングにまつわるインスタレーションが展開。こういう洒落も好きです・・・
   

DESIGNERS WEEK連動イベントの一つ、TOTOが運営する「GALERY間」の企画展にも足を運んでみた。
『311失われた街』展。記者発表会で監修者の建築家の内藤廣氏は「震災で失った街の全体像が見えないことには今後の復興も難しいと感じた。失った街を復元する過程が追悼でもある」と語り、
神戸大学の槻橋研究室などが中心になって全国各地の建築系大学生が参加するプロジェクトを実現。
  
1m×1mの模型は500m×500mの街、平屋の戸建てが「自分の家だ」と認識できる縮尺。併せて震災前後の空撮写真も展示され、立体的な模型と照らし合わせて津波の被害を理解することができた。
  
ネット上では放射能の量を日本だけでなく、世界の都市についても表記し変化を確認できるようなサイトをオープン。日本全体が汚染されているような風評被害を避けるアピールにも。
 
「失われた建築と人との信頼関係を修復できるか」という課題も背負っている建築に携わる人々、
建築家協会、建築士会連合会、建築学会などもこのプロジェクトを後援し、後日東大で原広司や隈研吾が参加したシンポジウム「311ゼロ地点から考える」が開催された。


同じデザイン・イベントでも東京ビックサイトで開催されるのはビジネスモードのインテリア見本市、JAPANTEX・インテリアフェスティバル。
会場では業界仲間達が活躍。インテリアデザイナーのトークショー(石川安江さん&宮地敦子さん)、照明ゾーンの仕掛け人(山中敏裕さん)、キッチンゾーンの仕掛け人(黒田秀雄さん、隣はツナシマ商事嶋専務)。
  
ハウスメーカーもインテリアフェスティバルに参加。積水ハウス・三井ホーム・トヨタホーム(右、トヨタらしからぬ!?斬新なインスタレーション)。
 
メガソフト井町社長はマイホームデザインのソフトをアピール。隣で展示していたのは町田ひろ子アカデミー、販売することになった「MATEUS」のテーブルウェアを前に町田瑞穂さん。
 

お馴染みの大手メーカー、東リ・TOSOなどのブースが並ぶ
  
サンゲツ・タチカワブラインド、新商品などをアピール
 
珍しく、YKK-APが窓事業を出展。リフォーム市場を見据えて強化。   住江織物をグループ化したLIXILが同グループの東洋エクステリアの「暖蘭物語」を共に展示。
  
目を引いたのは、和の伝統工芸。東京(江戸)エリアで残っている会社も多いようだ。新しいデザインの襖や屏風。
 
一方、輸入住宅産業協議会も洋の設えを出展。(橋本事務局長)
 

このようなビジネス系見本市と前述のDESIGNERS WEEKのようなエンドユーザー向けイベントによって
日本のインテリアデザインや住文化の底上げができるよう、上手く相乗効果を上げるような工夫が必要だ。
大阪でも9月に開催されたインテリアイベントも御堂筋まで広がりを持たせるなど、ミラノ・サローネを目指して各所で盛り上げを見せている。
衣・食に続いて日本人の住への関心・投資が、‘ハード’だけでなく‘ソフト’にまで浸透する時代はこれからである。

国宝犬山城・如庵からF.L.ライトの明治村へ/国宝&重文の旅

2011年10月15日 | 住宅業界
見学会翌日はゴルフ組と観光組に分かれて行動。観光組の私達はホテル隣の犬山(白帝)城へ散歩。
日本国宝の城4つ(他に彦根・姫路・松本城)の中で最も古い1537年に、織田信長の叔父・織田与次郎信康によって築城された。
    
小牧長久手合戦(1584年)では秀吉が12万の兵とこの城に入り、小牧の家康と戦った。
明治以降、成瀬家が代々所有し修理を重ねながら現在は犬山白帝文庫が所有。

次にもう一つの国宝、茶室「如庵」がある有楽苑(うらくえん)へ。
国宝茶席3名席の一つ「如庵」(左)は信長の実弟で大茶匠という織田有楽斎が晩年、京都建仁寺に隠棲し建てた茶室(1618年頃)。
長い歴史の中でその時々のパトロンによって、京都から関東など数度移築され故郷とも言える犬山に戻ったそう。
柿葺の端正な外観、二畳半台目。竹の有楽窓
 
有楽苑には「如庵」以外にも歴史の趣がある門なども配され、小雨の中を潜り抜けるとタイムワープしそう・・・
   

そして、楽しみにしていた明治村へ。建築に携わる者としては是非一度来たかった所。
今では60以上も建物が移築され保存。そのうち10棟の建物と2つの産業機械が国の重要文化財に指定されている。
  
西郷従道の別邸にお邪魔・・・・格調高い格天井、当時の金持ちは今の金持ちより豊かな住生活をおくっていたようだ。
   
 

夏目漱石邸の座敷には、猫も。

さて待ちに待った帝国ホテル中央玄関に到着!遠景で既に圧倒される・・・荘厳。
   
インカ?アステカ?帝国を彷彿させるモニュメントやディテールデザイン。光の取り込み方が魔術師的。
    
フランク・ロイド・ライトらしい照明、家具も配されている。
  
左が形板で、中が使われている金属内装パーツ。ライトの大谷石やテラコッタと共にオーガニック建築を構成する。何と、結婚式の披露宴が行われていた!
   

他にも興味深い建築が沢山あった。希少な木造3階建ての東松家住宅(明治34年1901年頃、名古屋市)。
江戸時代は武家以外に3階建ては建てられなかったらしく平屋であったものに、明治時代に3階を増築したのだそう。
 
1階が油屋の‘店舗併用住宅’。階段が収納引出になっている工夫も現代に受け継がれている。
    
中庭によって自然を取り込む。エジソンの竹フィラメント電球!2階に茶室があり客人を迎えるための仕掛けが色々。
    
   
こちらは兵庫県西宮市から移築された芝川又右衛門邸。こちらの天井も素晴らしい、マントルピースには花模様のタイル装飾。
  
窓辺のベンチや階段の造作が和洋折衷の趣。金箔の塗り壁。良き時代の豊かな暮らしを垣間見る。
   

この明治村、初代館長が谷口吉郎氏で鹿鳴館が取り壊された事に危機感をもって、明治建築の保存と活用を訴えられた事が始まりと知った。(昭和40年開村)
谷口の友人、土川元夫氏(後に名鉄社長会長)と二人の夢によって実現した建築の博物館。
現在、ドラマ「坂の上の雲」の撮影に使われたり、一般の方が気軽に結婚式があげられたりと
建築が使われてこそ意味があるという精神も受け継がれている。
尚、保存修理費用が莫大になっているようで寄付金も募られている「特定公益増進法人:財団法人明治村

トヨタホーム社が丘&ミサワホーム工場見学/プレハブ建築協会

2011年10月14日 | 住宅業界
年に一度、プレハブ建築協会主催で会員会社とジャーナリストが合同で現場見学会・懇親会を行っている。
今年は名古屋方面にて、トヨタホームとミサワホームの見学会を企画してくれた。
最初に向かったのはトヨタホーム(トヨタすまいるライフ)が開発・建築(建物オーナー)した賃貸住宅「GreenCourt社が丘」。
   
専有面積66.26㎡~84.66㎡(賃料10.6万~14.2万円)が総戸数31戸というファミリータイプを
隣接する猪高緑地の景観にマッチするよう、丘の高低を活かし緑道を配置したゆとりあるランドプランで
[第23回すまいる愛知住宅賞]を受賞したもの。(全戸入居済)
6棟ある内の1棟(7戸)はペット可で、他住戸より1割高の家賃であるが全入居。
玄関にペット用シャワーも。入居者は多くが法人、関東からの転勤者のようで多摩ナンバーの車などが並んでいた。
 
建物オーナーであるトヨタホームとしては開発に5億円もかけてしまったので
10%ほどの利回りで「お恥ずかしい」という事だったが、特に人気エリアでもないようなので好調な滑り出しである。

次に、江南市にある「ミサワファクトリー名古屋」へ工場見学に。エンドユーザーが学び体感できるテーマ館を併設。
 
HYDRID住宅の工場だが、メインの木質住宅の実物大展示もあり
  
ミサワホームの技術と性能を他社比較もしながら紹介している。記者の皆さんも大地震の揺れを体験(何度もやってると思うのですが・・・)
 
ミサワのニューセラミック外壁は鉄筋入りのパネルになっているのが特徴。
型は彫刻家の手彫りによるデザインで陰影の美しさを作り出す。その型版で一枚一枚抜いて超巨大高炉で焼く。
(ここから、工場内は写真撮影禁止でお見せできないのが残念)
  

見学工程後、今夜は宿から木曽川の鵜飼に出かける(屋形舟で風流に川下り)。
ライトアップされた国宝の犬山城を川越しに眺める。
鵜飼は見事に披露されたが、皆さん「鵜はサラリーマンそのものだ・・・」とだんだん不憫になってくる。
 
 
『おもうしろうて やがてかなしき 鵜舟かな。芭蕉』と池上住宅産業新聞社長。