セラヴィ~乳がんになって~

乳がん発覚から始まった治療生活。しかしそれもまた私の人生。
泣いて笑って時に間抜けな日々の記録を綴ります。

髪は抜けても落ち武者となるなかれ

2011-05-05 10:32:33 | 脱毛・ウィッグ・帽子
脱毛はまだ始まっていない

でも実は退院した日にそのまま病院内にある理容室で
ボブくらいだった髪をばっさりバリカンで刈ってもらったので
今は丸刈りです。

もうマルコメ味噌の小坊主くらい ←あ、こんな感じ!

驚いたのは病院内にあるから理容室の人も慣れてて
抗がん剤治療のため、と言えばすぐにゾリゾリ剃ってくれるかと思いきや

「まだ脱毛が始まるまで時間ありますよね。今すぐ剃ってしまって大丈夫ですか?
私からはおすすめしませんので、少しでも迷われているなら考え直してからでも…」


と最初からえらくなだめられたこと。

なぜかというと切り始めた途端、
やっぱり耐え切れなくて泣き出してしまう人もいるそうで、
「バリカンで剃っちゃうともう戻せませんよ?大丈夫ですか?」
とその兄ちゃんは眉を寄せながら困惑気味に何度も言う。

いちいち病気の事を聴かれたり、話す必要もないから便利だろうと
駆け込んだ病院内の理容室でしたが、
そこで色んな患者さんの髪を切っているこの兄ちゃんも
その辛さを間近で見て接して大変な思いをしているのかもしれないなー、ふむ

いや、でも私は構わん。バッサリいってくれたまえ

脱毛が始まって、長い髪がまだらに抜けていくのを
鏡で見ないといけないほうが辛い。
それってちょっと怪談じゃない?
あと、落ち武者みたいになるのは勘弁してエエエ!!

そう思っていたのになんと、無理やり兄ちゃんを説得して
椅子に座ってバリカン当てだしたら予約の電話が入って兄ちゃん中座。
結局落ち武者状態でしばらくじっと鏡を見つめることになったんですけど…

入院中のおじいさんがひとり入り口脇の待合椅子に座って
ぼんやりとこのやり取りを眺めていたようですが、
まあ、最後まで黙っていてくれました。
あえて空気を読んでなのか、ただぼーっとしてただけかは知らないものの、
一応感謝

さてそんなわけで、脱毛前から実はウィッグや帽子を買い揃え
日々使い心地を試しているところ。

今日も調子はよく、まーこんなブログなんで包み隠さず書きますが
便であります



大事なことは何か

2011-05-04 16:31:20 | 本、映画、演劇
さて、抗がん剤投与から一週間以上

副作用はどうかというとこれがあまりなくて今のところ体調は悪くない
若干の胸やけがあったり、昨日からは口内の唾液の減少を感じるようになってはいるが、
取り立ててそれで吐いたり寝込んだりすることもなく、
ちょっと拍子抜けするくらい元気です(笑)

旦那の仕事が休みで家にいたので、
思い立って一緒に「皮から作る餃子」に始まり、
昨日は「カレー&ナン」、そして今日のランチは「生パスタ&ピザ」
と怒涛の粉ものレシピに挑戦。

しかし一番大成功だったのは「カレー&ナン」。
これはもうインド人レベル
お店開いちゃおうかっというくらいにおいしくて悶絶したが、
後の餃子とパスタ&ピザに関しては微妙…。
餃子の皮は分厚すぎたし、パスタはうどんっぽかったし、
ピザは冷凍の安ピザと同じ味がするという体たらく。
まだまだ粉もの道は遠く険しいのだった

でも食欲もあってこうして楽しく家で過ごせるのは本当に幸せ


で、料理以外は、DVDを借りて二夜続けて観た。
(長くなったので映画に興味のある方はどうぞ。
あ、ネタばれもありますのでご注意ください。)

--------------------------------------------------------

一本目は「クリスマスキャロル」
ドケチで偏屈で嫌われ者の老人・スクルージが、
クリスマスの日に精霊に過去、現在、未来の自分の姿を見せられて改心する
というディケンズ作の物語を映画化したもの。
ファンタジックな映像もすばらしいが、人が生きている間に何をすべきかを
考えさせてくれる素敵な一本だった。

特に胸に残ったのは、スクルージの死んだ共同経営者が霊となって現れ
金ばかりに執着していた自分の罪ゆえに陥った、
恐ろしい死後の世界の苦痛を話した時の会話。

スクルージ「でも君は仕事ができたじゃないか」
霊「仕事!?(余りにも馬鹿馬鹿しいと顎が外れるほど笑う)
それがなんだ、博愛、寛容、慈善、それこそが俺がなすべき仕事だったのだ!」

スクルージが窓から外を見れば無数の亡霊たちが呻き声を上げ彷徨っている。
貧困や病にあえぐ子供たちの周囲で
「すまん許してくれ!
生きている間にどうして君を助けてあげられなかったのだろう!」
とそう狂ったように叫んで。

人は誰しも最初からドケチで陰険なわけではない。
スクルージも幸せになるために懸命に働き金を求めた結果、
いつしか大事だったはずの恋人ともすれ違い別れて
自ら孤独な人生を選ぶことになってしまった。
目的が失われ手段だけがスクルージの手元に残った。
だが、金の亡者となって一切の寄付をも拒み、
甥からのクリスマスパーティーへの招待も頑なに断って
一人聖夜に事務所から屋敷へ戻る彼を幸せだとは誰も思わない。

もう一本は「ドリームガールズ」
ミュージカル映画は好きなので以前から観たかったのだが
なぜかうっかり機会を逃していた。
もう初っ端の三人娘の登場シーンから渡辺直美を思い出してしまうのだが
それはさておき(笑)

60年代、それまでアンダーグラウンドだったアメリカの黒人歌手達が
白人社会のヒットチャートへ躍り出る華やかな栄光と影を描いた作品。
ストーリーの面白さに文句なしに惹き込まれ、
パワフルな歌声に感動させられた。
「ワンナイト・オンリー」がいい。すごくいい!
個人的にはエディ・マーフィーがあんなに歌える人とは知らなかった。
ほんと器用な人だな。

前半の大きな見せ場。
バックコーラスだった三人娘がようやく念願のデビューを果たすチャンスを掴む。
しかしそれは一番歌がうまいエフィをリードボーカルから外し、
美人のディーナをメインに据えて、だった。
やり手マネージャーのカーティス達はエフィを説得する。
「これは売れるために仕方がないことなんだ、我慢してくれ、自分を殺すんだ。
俺達は仲間だ。協力し合って売れていくしかないだろう?分かってくれ」

しかしエフィは激しく抵抗する。
「なぜ?納得できない。私に犠牲になれというの。私が一番歌が上手いのに!」

ともすれば空気を読まない我侭女と取られそうな叫び。
でもエフィは自分の歌に誇りを持っていただけだ。
例え「売れた」としても、それはエフィの望むものではなく、
今まで手を取り合ってがんばってきた三人の夢の形とも違うものになる。

それは次第に辣腕マネージャーであるカーティスが
邪魔になったエフィをクビにした後、新しいメンバーを迎えて
ヒットを飛ばしていけばいくほど明確になっていく。

売れるために歌いたい歌が歌えず、
売れるために出たくもない映画に出るディーナ。

「売れる」ことにこだわるカーティスにもまた
白人に虐げられてきた黒人ならではの強い反撥心があったからこそとはいえ、
やがて積もりに積もった彼の周囲の人々のストレスは、
彼の作ったレーベルの輝く栄光から光を奪っていく…。




お金を稼ぐこと、地位や名声を得ること、成功者と呼ばれること、
それはもちろん容易なことではないから一生懸命になる余り
いつのまにか目的に摩り替わってしまうのだろう。

本当に大事なものは何かってことを
いつも忘れないでいることは実はとっても難しい。
でもそれをきちんと見つめていかない限り
本当に幸せにもなれないし満足することもできないのだ。

明日は明日の風が吹く

2011-05-01 16:18:07 | 体調・近況
毎日、今日は気分悪くなくても明日は大丈夫かなーと
ちょっと不安になったりする
なにせ抗がん剤が自分の体にどう作用するか
まだよく分からないので。

そして早速昨夜遅くからちょっと胸焼けのように気分が悪くなってきた…。
やばいぞ、これは
そう思って病院からもらっていた吐き気止めの薬
「とんぷく」(なんかこの名前間抜け…笑)
を一錠飲んで寝たら、今朝は割りとすっきり

調べてみるとこういう吐き気って
本当に吐きたくなくても「そろそろ吐き気がくるかも…」と
心配することによって起こる場合もあるそう。

なのでしばらくは、「明日の体調はどうかな」とか
あんまり考えすぎず、食べるときに食べ、
飲めるときに飲んで(お酒は元々飲めないのでお水とかお茶だけど 笑)
好きなことして楽しく過ごそうと思う

で、今日は母と近くの洋食屋さんへ行ってきました
昭和の洋食レストランを思わせるクラシックでレトロな店内。
実は二日前、旦那とこちらで食べたオムライスがとてもおいしくて
母親を連れてきたかったので。


西宮・洋食レストラン「トルー・ド・ポー」

シンプルなこれぞオムライスという感じの一皿。
丁寧な作りで綺麗に巻かれた卵なのにふわふわ…。
中のケチャップライスも優しい味で食べあきない

母はビーフカツを食べていたのでそれもちょこちょこ貰っていたら
けっこうお腹いっぱいに…(笑)

普通に食べすぎかも…

そういえば明日は旦那がお仕事休みなので、
前から作りたかった「皮から作る餃子」を作ってみたいと思います

結局今日は食べ物の話ばかり

ウィッグの事、友達の事、書きたいことはたくさんあるけど
なかなか追いつかない。
ゆっくりゆっくり書いていきます。



初めての抗がん剤

2011-04-30 19:40:10 | 治療状況
まずは4月26日から28日まで入院して
抗がん剤を投与するとのこと。

しかし抗がん剤って実際どんな風に投与されるの??
痛いの、辛いの、苦しいの??

何せ人生初のことゆえに想像もつかず。
先生に聞いてみたりネットで調べたりしても
なにやら分かったような分からないような

昔、初めてパソコンを買った時に言われた言葉を思い出す。

「どんなパソコンを買ったらいいですかー?」
「それはその…お客様がどうお使いになるかであって…ごにょごにょ」
「え?それが分からないから聞いてるんでしょー!?でどれ、どれなのっ!!」

結局人それぞれらしいです
しかもその人の体に合わせて副作用の時期や激しさも違うそう。
つまりやってみなければ分からんと。
そうですか、じゃあやってみようじゃないのっ←開き直り

そんなわけでやってきました!
第一回抗がん剤投与デー!
 in 県立病院 二泊三日

ドンドンパフパフー

まず10時ごろ会場(病院)へと到着して参加(入院)手続き。
スムーズに持ち場(病室・四人部屋)へと通されるも
いざスタートを切るまではベッドの上でもそもそしたり、
付き添いしてくれた旦那と話をしていたりすること一時間少々。

看護士さんがやってきて私の手の甲へ針を、ズブリ ニャー

いやこれは手の甲と決まっているわけではなくて
私は腕の血管がなかなか出にくいからそこにされたわけですが
うわーちょっとこれ微妙…

あんまり肉がない場所だからか、違和感あり。

しかしこれも大事の前の小事。
気にしてはいかんとまずはアレルギーを緩和させるようなお薬
(名前とか分からなかった)を点滴で30分間流される。

で、いよいよ次が抗がん剤のお出まし

私が投与されるのは三種類の抗がん剤。
頭文字をとってCEFと言われるもの。

その内塩酸エピルビシンというのが真っ赤な色をした液体で
(投与後トイレに行ったら尿がまっかっかになって面白かった)
それを15分間かけてゆっくり管から手の甲、そして体中へと流し込んでいく。
次に二種類の薬を合わせたものを(これは透明)
30分かけて同じく点滴をしていった。

点滴の間はベッドに横になってぼんやり。
初めての投与時は念のため、
心電図を取りながら看護士さんもしょっちゅう様子を見に来る中での投与になるので
本を読んだり音楽を聴いたりというような余裕はなかったが、
二回目からの通院での投与の際は、点滴しながらそんなこともできるらしい。
トイレに行ったり、ジュース買って飲んだりも。
このあたりはまた身を持って試してみるので報告お待ちあれ

さて、結局抗がん剤の投与は苦しかったのかどうか

答え

点滴中は特に体調は変わらず、気分も悪くない
しかし投与後夕食前から夕食後にかけて胸がむかむかして食欲がなくなり、
翌日いっぱい食事はほとんど取れなくなった。
食べられたのはトマトやサラダ。ゼリーなど。
温かいご飯や肉の匂いに敏感になってしまって嗅いだだけで気分が…。

後になって看護士さんに聞くと、投与後すぐにそこまで匂いに敏感になる人は
珍しいのだとか。

へー、私ってそんなに敏感じゃあないはずなんだけど

薬の作用というものはよく分からない。

でももしかしたら看護士さんや周りの人たちが
「気分悪くなるかもー」「気分悪くなったらすぐ言ってー」と
何回も気を使ってくれたのが余計「そんな気分になっちゃった」のかも、なんて。

あまり気にせず普段どおりだと思ったほうが
「病は気から」ともいうので良いのかもしれない。


ともかく抗がん剤を打ったこの日(4月26日)から今日で4日目。
食欲は退院時の28日からすっかり戻り、
退院したその足で昼はトマトソースパスタを外食する始末。
食欲があるってすばらしい

今日4月30日現在は特に体調にこれといった変化はなく普段どおり。
入院時から便秘だったのも本日めでたく解消されすこぶる良好

しかし抗がん剤は悪いがん細胞だけでなく良い細胞も攻撃するため、
投与後1~2週間の間に白血球が減少して辛い時期がやってくるとか。

今後のスケジュールとして
3週間に一度の抗がん剤投与(今後は通院)を4回繰り返すとのことなので、
まずは現在の1ターン目。
自分の体がどう抗がん剤に反応するのか、よく観察する必要がある。

次の投与日は5月11日なので、まー一回そこまで様子見てみないとなー
と今はのんびり家にいるしかない

さてさて明日の私の体調はどうなってるかしらん。
ドキドキ


社長!次のスケジュールは…(秘書欲しい)

2011-04-30 14:12:25 | 治療状況
乳がんと分かってから、あれよあれよという間に決まっていくスケジュール

通っていたNクリニックから県立病院宛てに、
CTや骨シンチ(骨に転移がないかを見る検査らしい)の予定を取ってもらう。
この日にこれ受けて、その後もう一回クリニックに来て、時間は…と
その際、続けざまに先生の口から日程が…。

「えっと、すいません、先生。メモ取っていいですか><」


ただでさえ記憶力に自信のない私。
では書いてあげましょう、と少し笑いながら先生がメモに
日程と検査内容などを書いてくれてようやく一安心。

そのメモを見つつ後日(4月19日)CTと骨シンチを受けたところ
現状では転移している様子はない、とのことで、
今度は県立病院の先生と早速治療方針を話し合う。
こちらの希望は乳房温存療法。
つまりなるべく胸の形を残して手術がしたい、というものだったので
では手術の前に抗がん剤を使用してがん細胞の大きさをなるべく小さくしてから
手術しましょう、と先生も治療方針を提案してくれてそれに決定

そしてそして更にGWが引っかかると遅くなるから
来週には第一回目の抗がん剤投与、そして検査入院、
という予定も決まった(4月26~28日)。

いやはやもう怒涛です
あんまり落ち込んだり深刻になっている時間もない。
早速入院に向けて可愛い百均の店でスリッパやタオルなどの
買い物していたらなんだか旅行気分?

不謹慎といわれればそうですが、今のところどこが痛いとか苦しいとかもないので
はっきり言って自分が病気だとは思えない。

不思議な感じです。