2009年に発表された論文によると、内発的動機付けは対象の能力や自律性を重んじる環境下で活性化し、また行動や態度にも強く表れることが分かった。
自分から行動しようとする意志、いわゆる自尊心や自制心はそれを尊重する環境がその育成に大きくかかわっている。
環境と言われると小難しく聞こえるが、「むやみやたらに他人を貶さない」「感情的に否定しない」「結果/過程のみで一方的に判断しない」「成功はしっかりと評価し体験として根強く記憶させる」などの、バイアスや思い込みを認知し対処する行いが満たされている場所であれば問題ない。
……まぁ、言うは易し、というものだ。
そしてその環境を損なえば、自尊心や自制心は育たないと言い切ってもいい。
尊重しなければ、与えなければ、満たされないまま、知らないまま生きていくこととなる。四則演算を教えなければ『1+1=2』であることを理解できないように、自尊心も自制心も何もしなくても生えてくるわけではない。
そして自制心や自尊心が育たなかった人の一部は、世俗的には『非行少年』と呼ばれるようになる。これらはその遠因だがね。
「それ以外の大半はどうなるんだ?」?
言わせるな。
何度も言うが、自尊心や自制心は勝手には生えてこない。それらを重んじる環境があって初めて育まれるものだ。
「○○すれば成功する、幸福になれる」なんて定番のフレーズは、その大半が『重んじる環境』が頭からすっぽ抜けている。
うつ病は運動すれば解決する→体起こすのもつらいのに、どうすれば運動できるんですか? といった具合にね。
育める余裕があるのなら、是非。
遠慮はいらない。私が望もう。
参考文献
Nikos Ntoumanis,Martyn Standage (2009) Morality in Sport: A Self-Determination Theory Perspective.