マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
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心太・天狗(岡本綺堂)

2022年03月08日 | 随筆・紀行文の朗読

 

1.心太  岡本綺堂

川越の喜多院に桜を観る。

ひとえはもう盛りを過ぎた。

紫衣の僧は

落花の雪を袖に払いつつ行く・・・(後略)

 

 

掛茶屋で心太をすする作者。

あたりは一面の花吹雪・・・

 

 

 

2.天狗

   

亥子(いのこ)の祭り

広島などで11月に行われる祭り。

これが書かれた明治の終わりごろは、

子供が天狗に扮したようである。

     

 

心太・天狗(岡本綺堂)

 

 

岡本綺堂(1872年~1939年)は東京生まれの

新歌舞伎の劇作家、小説家。

修善寺物語、番町皿屋敷、半七捕物帳

などが代表作。

 


形(菊池寛)

2022年03月04日 | 小説の朗読

 

形 (菊池寛)

 

侍大将の中村新兵衛は、

武勇で知られた士であった。

 

長さが三間もある大槍を持ち、

猩々緋(しょうじょうひ)服折(はおり)

唐冠(とうかん)の兜とを身に着け、

戦場では『槍中村』として

向かうところ敵なしであった。

 

そんな新兵衛はある日、

初陣に臨む主君の子に頼まれて

服折と兜とを貸す。

そして新兵衛は、いつもと違う装束で

敵陣に突っ込んでいくのだが・・・

 

 

 

形(菊池寛)

 

猩々緋 = 鮮やかな深紅色

服折  = 鎧の上に着る陣羽織

唐冠  = 唐の冠を模した兜

(おどし)の裏をかいて

    = 鎧の胴の裏まで突き通って

 

 

菊池寛(1888年~1948年)は、

香川県松山市生まれの

小説家、劇作家、出版社の経営者。

文芸家協会を設立し、

芥川賞、直木賞の設立者でもある。

著作は「父帰る」「恩讐の彼方に」「真珠夫人」

など多数。