日本では日付が変わった。既に野党系は過半数を制している。これは、野党の地滑り的勝利と言って問題ないだろう。
日本時間午前3時現在の結果は、
自民 37
民主 60
公明 8
共産 3
社民 2
国民 2
新党日本 1
無所属 7
残り 1
(NHK開票速報)
となっている。
自民党は辛うじて89年の36議席を下回ることは無かったが、橋本政権の44議席は大きく下回った。
年金問題、閣僚の失言が効いたということか。しかし、根底にはもう一つ要素があると思われる。というのは2年前の衆院選で自民党を勝たせすぎたという意識が有権者にあるのではないだろうか。これが、反動として、今回の選挙結果に出てきたということも考えられる。
今回の選挙で自分なりに注目した点は以下のとおりだ。
1.1人区で民主党が大勝した。
これは、昨年の衆院選も同様である。小選挙区が選挙の帰趨を決めた。こうした動きは今後も続くだろう。民主党の小沢党首が選挙は上流(地方)からと言ったわけがわかった。一つには地方の動きが象徴的であるのと同時に、効率の問題もある。比例代表や複数人区でどんなにがんばっても議席を独占するのは難しい。しかし、一人区はAll or Nothingであり、ここで勝利することは議席を伸ばす上で非常に重要だ。
2.公明党が弱かった。
自民党が大敗したこともさることながら、公明党も大きく議席を減らした。公明党はご存じのようにがっちりした組織型選挙である。今回、それほど投票率が上がらなかったにもかかわらず、公明党が敗れたのは特筆に値するだろう。特に神奈川などで議席を失ったのはかなりの痛手になるだろう。
3.大物或いは大物の選挙区で落選が目立った。
特に注目されているのは片山参院幹事長の落選と青木参院議員会長のお膝元島根で自民が議席を失ったことだ。他にも閣僚経験者も落ちているし、森総理のお膝元である石川でも議席を失っている。
4.東京での波乱
東京選挙区では、当初、メディアの報道では民主・鈴木、自民・保坂がリードし、残り三議席を自民・丸川、民主・大河原、公明・山口、共産・田村、無所属・川田が争うというものであったと記憶するが、結果は民主・大河原がダントツのトップで、議席を確保するとみられた保坂が落ち、逆に丸川が滑り込んだ。やはり選挙は蓋を開けてみなければわからないというものの典型だろう。
さて、選挙結果を踏まえ、今後何が起きるかという点であるが、既に自民党の青木参院議員会長と中川幹事長は辞任を表明した。まあ、これは当然だろう。
一方、安倍首相は続投を表明し、今のところ、党内でも安倍下ろしのようなものは見られないようだ。しかし、党内の動き次第では、どこかのタイミングで退陣ということにもなりかねないだろう。
今後、安倍首相にとってのリスクは国会や民主党ではなく、自民党内や公明党の動きではないだろうか。今回自民党と一蓮托生で敗れた公明党は、閣外協力などと言い出す可能性もあるのではないか。
民主党にも若干のリスクはある。今回の選挙で大勝し、緊張感が無くなることである。また、党内の意見対立は自民党以上のものがあり、選挙後、当面は良いが、何かあったときには、民主党内は容易に混乱する。更に、今回の選挙の立役者である小沢党首だが、体調がすぐれず、晴れの舞台には姿を現さなかったとのこと。小沢氏の健康不安も大きな問題だろう。今回の選挙で勝ったのは間違いなく小沢党首の戦略が成功したためである。
選挙期間中から年内の解散総選挙という声もあったようだが、さすがにこれは無いだろう。ただでさえ、安定多数を有しているわけだし、今選挙を行えば確実に与党は負ける。しかも、亥年現象という奴で、現場は疲弊しきっている。少なくとも来年か年度が明けてからということになろう。
しかし、短期間のうちに民主党政権が誕生する可能性はある。いよいよ本格的な二大政党時代がやってきたという感じだ。このこと自体は慶賀すべき状況だと思う。しかし、前にも書いたとおり、今回の選挙は政権選択、政策選択の選挙になっていない気がする。今後、二大政党制が更に成熟化するためには、これは政党側がきちんと日本の将来像を提示し、メディアでも単に議席だけでなく、こうした点に焦点を当てる必要がある。そして、有権者の側でも、ブームなどではなく、政党或いは候補者が何を言っているのかをしっかり踏まえて投票することが大事なのだろう。
20年前はイデオロギー的対立と消費税だけだったが、今や対立軸はいくらでもある。
大きな政府か小さな政府か
憲法を改正するか否か
市場優先か富の再配分の優先か
中央集中か地方分権か
日米重視かアジア重視か
移民はどうするか
成長重視か環境重視か
少子高齢化をどうするか
・・・
日本の国力も全てを実現できるほど強くなくなってきている。各党はメリハリをつけ、きちんと国民に説明する責任があるだろう。
いずれにせよ、結果は89年の再来となった。まさかここまで民主党が勝ち、自民党が負けるとは思わなかった。この感想は、2005年9月の衆院選と同じだ(自民党と民主党を逆にすれば、当時の感想になる。)。しばらくは衆参ねじれ現象が続くことになる。これも89年の選挙と同じだ。当時はその後に大きな政界再編があった。今回はどうなることか?
日本時間午前3時現在の結果は、
自民 37
民主 60
公明 8
共産 3
社民 2
国民 2
新党日本 1
無所属 7
残り 1
(NHK開票速報)
となっている。
自民党は辛うじて89年の36議席を下回ることは無かったが、橋本政権の44議席は大きく下回った。
年金問題、閣僚の失言が効いたということか。しかし、根底にはもう一つ要素があると思われる。というのは2年前の衆院選で自民党を勝たせすぎたという意識が有権者にあるのではないだろうか。これが、反動として、今回の選挙結果に出てきたということも考えられる。
今回の選挙で自分なりに注目した点は以下のとおりだ。
1.1人区で民主党が大勝した。
これは、昨年の衆院選も同様である。小選挙区が選挙の帰趨を決めた。こうした動きは今後も続くだろう。民主党の小沢党首が選挙は上流(地方)からと言ったわけがわかった。一つには地方の動きが象徴的であるのと同時に、効率の問題もある。比例代表や複数人区でどんなにがんばっても議席を独占するのは難しい。しかし、一人区はAll or Nothingであり、ここで勝利することは議席を伸ばす上で非常に重要だ。
2.公明党が弱かった。
自民党が大敗したこともさることながら、公明党も大きく議席を減らした。公明党はご存じのようにがっちりした組織型選挙である。今回、それほど投票率が上がらなかったにもかかわらず、公明党が敗れたのは特筆に値するだろう。特に神奈川などで議席を失ったのはかなりの痛手になるだろう。
3.大物或いは大物の選挙区で落選が目立った。
特に注目されているのは片山参院幹事長の落選と青木参院議員会長のお膝元島根で自民が議席を失ったことだ。他にも閣僚経験者も落ちているし、森総理のお膝元である石川でも議席を失っている。
4.東京での波乱
東京選挙区では、当初、メディアの報道では民主・鈴木、自民・保坂がリードし、残り三議席を自民・丸川、民主・大河原、公明・山口、共産・田村、無所属・川田が争うというものであったと記憶するが、結果は民主・大河原がダントツのトップで、議席を確保するとみられた保坂が落ち、逆に丸川が滑り込んだ。やはり選挙は蓋を開けてみなければわからないというものの典型だろう。
さて、選挙結果を踏まえ、今後何が起きるかという点であるが、既に自民党の青木参院議員会長と中川幹事長は辞任を表明した。まあ、これは当然だろう。
一方、安倍首相は続投を表明し、今のところ、党内でも安倍下ろしのようなものは見られないようだ。しかし、党内の動き次第では、どこかのタイミングで退陣ということにもなりかねないだろう。
今後、安倍首相にとってのリスクは国会や民主党ではなく、自民党内や公明党の動きではないだろうか。今回自民党と一蓮托生で敗れた公明党は、閣外協力などと言い出す可能性もあるのではないか。
民主党にも若干のリスクはある。今回の選挙で大勝し、緊張感が無くなることである。また、党内の意見対立は自民党以上のものがあり、選挙後、当面は良いが、何かあったときには、民主党内は容易に混乱する。更に、今回の選挙の立役者である小沢党首だが、体調がすぐれず、晴れの舞台には姿を現さなかったとのこと。小沢氏の健康不安も大きな問題だろう。今回の選挙で勝ったのは間違いなく小沢党首の戦略が成功したためである。
選挙期間中から年内の解散総選挙という声もあったようだが、さすがにこれは無いだろう。ただでさえ、安定多数を有しているわけだし、今選挙を行えば確実に与党は負ける。しかも、亥年現象という奴で、現場は疲弊しきっている。少なくとも来年か年度が明けてからということになろう。
しかし、短期間のうちに民主党政権が誕生する可能性はある。いよいよ本格的な二大政党時代がやってきたという感じだ。このこと自体は慶賀すべき状況だと思う。しかし、前にも書いたとおり、今回の選挙は政権選択、政策選択の選挙になっていない気がする。今後、二大政党制が更に成熟化するためには、これは政党側がきちんと日本の将来像を提示し、メディアでも単に議席だけでなく、こうした点に焦点を当てる必要がある。そして、有権者の側でも、ブームなどではなく、政党或いは候補者が何を言っているのかをしっかり踏まえて投票することが大事なのだろう。
20年前はイデオロギー的対立と消費税だけだったが、今や対立軸はいくらでもある。
大きな政府か小さな政府か
憲法を改正するか否か
市場優先か富の再配分の優先か
中央集中か地方分権か
日米重視かアジア重視か
移民はどうするか
成長重視か環境重視か
少子高齢化をどうするか
・・・
日本の国力も全てを実現できるほど強くなくなってきている。各党はメリハリをつけ、きちんと国民に説明する責任があるだろう。
いずれにせよ、結果は89年の再来となった。まさかここまで民主党が勝ち、自民党が負けるとは思わなかった。この感想は、2005年9月の衆院選と同じだ(自民党と民主党を逆にすれば、当時の感想になる。)。しばらくは衆参ねじれ現象が続くことになる。これも89年の選挙と同じだ。当時はその後に大きな政界再編があった。今回はどうなることか?