大学ニュース

某大学で職員をやってる中年おっちゃんです。少しでも若い受験生たちの役に立てばと思い綴っていきます。

キャンパス

2012年09月14日 | 日記
この前投稿した中央大学の例もそうですが、近年の法改正によって大学の都心部への回帰が盛んです。
まず先鞭をつけたのは東洋大学です。法改正は2002年だったのですが、東洋は多分かなり事前にこの動きを察知していたようです。改正以前に文京区の白山にあるメインキャンパスの隣接地を購入していました。そして法改正に合わせてキャンパスの再開発を実行し川越キャンパスとの学年割れを解消し文系学部の多方を都心部の白山キャンパスに集約したわけです。
これによって受験生が大幅に増加しましたが、それよりも大きなメリットは、同ランクの複数の大学を合格した場合東洋大学を入学先として選ぶ受験生も大幅に増えたということです。

この学年割れというものは、一般的には4年間の大学生活を前期2年間の教養中心の過程と後期2年間の専門中心の過程に分けた就学体制なのですが、そこにはメリットよりもずっと多くのデメリットがあります。学生生活全般では、例えば4年間という大学生活をざっくりと2年間にずつ分けてしまうわけですから先輩と後輩の交流が乏しくなる。授業の履修にあたっても、1,2年生でおとした科目を再履修するために3年生以降になっても教養キャンパスに行かねばならない場合がある。大学が学年割れをする主な理由は都心部のメインキャンパスが閉狭なためですから、当然教養のためのキャンパスは郊外にあるケースが多く、そのため丸1日をそのおとした科目のためだけにそのキャンパスに行かねばならない。だからその分履修できる時間割がタイトになり留年の可能性が増える。それとカリキュラムが固定的になること。キャンパスを分ければ1,2年生と3,4年生でそれぞれやるべき範囲が決まってしまいますから2年生が3,4年生の科目を先取りするということが難しくやる気のある学生のモチベーションが高まりにくいということでしょう。このことは例えば学生と教員との関係にも影響があります。つまり例を挙げれば、主だった専任教員の研究室は一般的にはメインキャンパスを中心に配置されていますから、1,2年生がその科目の教員の研究分野に興味があってもその教員は授業以外の日は大抵メインキャンパスの方にしかいないということです。
こういうこともあって、この前の投稿記事では中央大学がもし本当に学部を都心回帰させるとしても学年割れが精一杯でしょうから、それでは単にアクセスがよくなるだけで本質的な意味はあまりないと申し上げたわけです。

大学のすべての学部がひとつのキャンパスに揃っていればこれは最高です。ただし都心部の大学でこれができているのはごくわずかです。総合大学では例を挙げれば上智と学習院の2つくらいでしょうか。それ以外は何らかの形で学部割れもしくは学年割れをしています。なぜこの2つがそうしたことができるかというとそれは上智と学習院は総合大学の中でも学生数が少ないほうだからです。上智は約1万人、学習院は1万人未満です。まあ都心部にすべての学部を置くとなるとどうしてもこれくらいの規模が限界というわけです。

マーチ以上の大学だとあとはすべて何らかの形で割れています。
早稲田はメインキャンパス(社会科学系中心)と戸山キャンパス(文学部)、大久保キャンパス(理工学部)はいずれも新宿区内で近場ですが人間科学部とスポーツ系のある所沢キャンパスは相当離れています。
慶應は都心部の三田キャンパスと神奈川県横浜市の日吉キャンパスは主要学部の学年割れ、またこの他に医学部は新宿区内、ただし総合政策学部と環境情報学部のあるキャンパスはSFC(湘南藤沢キャンパス)といい神奈川のかなり奥地にあり交通は不便です。マーチでは明治は主要学部が千代田区と杉並区との学年割れ、理工学部は神奈川県川崎市の多摩丘陵にあります。またこの他に来年から国際日本学部と新設される総合数理学部は中野区に新しく作られる中野キャンパスで4年間を過ごします。それと2014年に設置予定のスポーツ科学部は多摩動物公園からさらに奥地に行った多摩テック跡地に建設中です。
青山学院大学は来年度から人文社会科学系7学部が都心の青山キャンパス、理系2学部が神奈川県相模原市のキャンパス。青学の場合は学部割れというよりもざっくり文理で分けていますね。立教は主要学部と理学部が都心の池袋キャンパスで観光、現代心理、福祉系が埼玉県の新座市にあるキャンパス。中央は現在は文理でざっくり分かれているので青学と似たパターンですが、ただし真逆で文系は郊外の多摩キャンパスに対し理工学部を都心部の後楽園キャンパスに置いています。法政は文系の主要学部を都心の市ヶ谷キャンパス、経済など3学部を郊外の多摩キャンパス、理工学部をやはり郊外の小金井に置いている3拠点体制です。

どこの大学を選ぶかは、まず第一に各大学の得意とする分野ですが今は学部レベルの研究分野や教員配置はどこの大学でも大きな違いはないので、キャンパスの環境というよりも就学体制も大きな選択条件とすべきところでしょう。

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