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間葉系幹細胞 患者への負担軽く

2007-06-23 23:54:46 | 歯の病気
能性が注目される「間葉系幹細胞」だが、最近になって骨髄以外の組織にもあることがわかってきた。

 産業技術総合研究所や大阪大の研究グループは、あごの骨に埋まっていて、親知らずのもとになる「歯胚(しはい)」から取り出すことに成功した。骨や肝臓、神経の特徴を持つ細胞に変化させることもできたという。

 慶応大と国立成育医療センターのグループは、女性の月経血から分離。もとは子宮内膜に含まれていたとみられ、三好俊一郎・慶応大講師は「増殖能力が高く、心筋や軟骨、脂肪の細胞になることも確認した」と話す。このほか、新生児のへその緒や胎盤の血液である臍(さい)帯血からも採取できたと報告されている。

 共通しているのは、患者へ負担をかけず、簡単に入手できる点だ。

 現在の骨髄液から取り出す方法は、局所麻酔で済むとはいえ、腰の骨に針を刺す。体の弱った患者にとっては負担だ。

 歯胚は歯の矯正時に抜かれることが多い。ほかのものも〈医療ごみ〉として扱われており、患者からあらためて採取の必要はない。

 うまく利用できれば、必要な時に自分の幹細胞を作れるよう保管しておく“幹細胞バンク”が将来、実現するかもしれない。

 実際、臍帯血に含まれる造血幹細胞を、白血病患者らに移植するための「臍帯血バンク」が運営されている。将来の研究開発を見越して、子どもの臍帯血を凍結保存しておくビジネスも日米で行われている。

 研究が進むにつれ、異なる組織から取り出された間葉系幹細胞は、すべて同じとは限らないこともわかってきた。

 中村憲正・大阪大講師は、関節の骨の接合部分を包む「滑膜」から取り出した間葉系幹細胞を、スポーツ外傷などの関節軟骨治療に使う計画を進めている。内視鏡で患部を調べる際に採取でき、扱いやすいからだ。何よりも、骨髄から取ったものと比べて軟骨へ変化させやすいという。

 脂肪組織からとれたものは、脂肪にはなりやすいが、骨にはなりにくい。「形や大きさなど、多くの特徴は変わらない。ただ、採取先が違うと、なりやすい細胞となりにくい細胞があるようだ」(中村講師)。

 「間葉系幹細胞」とひとくくりに分類されてはいるが、どうやら“古里”が違えば性格も多少異なるらしい。再生医療に応用するには、個々の性質を見極めたうえで、上手に使いたい。読売新聞参照