8月は勝手に特集月間として、週刊ペースでご紹介。今年のテーマは『オータサンのセッション・ワーク』と題し、スタジオ・ミュージシャン或いはゲストとして他人名義の作品に登場したオータサンの仕事をまとめてチェックしてみよう。
まず第一週目の今回は、1991年の邦画「無能の人」サウンドトラック盤。裏面には「ゴンチチ・ミニミニアルバム」とあるがその通り、5曲入りだが収録時間は僅か13分。Epic/Sonyからのリリース。
1.無能の人
2.LOVE SONGS
3.ハイキング
4.鳥男
5.峠の我が家
オリジナル盤では沼田元気氏のデザインによる穴あき変形ジャケットに収められていたようだが、拙宅にある盤は通常CDの体裁。 内容は全編ウクレレをフィーチャーしたゴンチチ作編曲による映画音楽である。映画は個性派俳優の竹中直人が初監督に挑戦し、1991年ブルーリボン賞 - 主演男優賞、同年ヴェネツィア国際映画祭 - 国際批評家連盟賞など高く評価された。原作はつげ義春。
ゴンチチ名義の作品ではあるが、ウクレレを中心とした編曲であり、そのウクレレを弾いているのはゴンチチのチチ松村氏(ウクレレとギター)とハワイのオータサン(ウクレレ)である。ゴンチチのゴンザレス三上(ギター)氏のほか、松田幸一(ハーモニカ)、渡辺等(マンドリン、ベース)、Ma*To(電子楽器)、竹中直人(口笛)が演奏に参加。
1991年はサザン関口氏がウクレレにほれ込んだ結果、なんとかこれを日本でブームにしようと「ウクレレは片仮名4文字なので、カタカナの職業の人を巻き込もう」と考え、ミュージシャンやクリエーター、デザイナーといった人たちを巻き込みサブカル的なアプローチからのウクレレ普及活動に発展。当時ゴンチチのチチ松村氏はその中心的存在であり、オータサンは本場ハワイにおわすというウクレレの神様という位置づけだった。そうしたウクレレの夜明け前、この愛らしい楽器で何かやってみようという手探りを面白がるような感覚にあふれている。