ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Becky & Lyle Bossa Style (2009)


前作「 I Wish You Love (2007)」ではLyle Ritz & Rebecca Kilgore名義であったが、二作目の本作ではBecky & Lyle名義となっており、固定ユニットとしてパーマネントな活動を志向していたことが伺える。メンバーは前作に引き続きLyle Ritzのジャズ・ウクレレとRebecca Kilgoreのヴォーカル、Dave Capteinのベースに加え、新たにギター&パーカッションでJohn Stowell、パーカッションでPiper Heisigが加わりサウンド面でも多彩さを増した。

リリース元は前作同様PDX Ukeで、地元ポートランド・ウクレレ・アソシエイション(PUA)による自主制作盤。録音はオレゴン州ポートランドからコロンビア河を越えて対岸に位置するお隣のワシントン州バンクーバーにあるNettleingham Audio にて。パーカッションはわざわざカリフォルニアにあるSutton Sound Studioで別録りされており、前作以上に手の込んだ制作が行われ、自主制作ながら作品としての完成度を上げる事に成功している。

1 A Moment Later
2 Take Me To Aruanda
3 Abobora
4 Love Me Or Leave Me
5 Easy Come, Easy Go
6 Happy Talk
7 I Will
8 I'm Looking Over a Four Leaf Clover
9 Once I Loved
10 What The World Needs Now
11 Triste
12 Old In New Mexico

ボッサ・スタイルというタイトルの通り、アントニオ・カルロス・ジョビンやカルロス・リラのボサノヴァ曲だけでなく、ビートルズの「I Will」やバート・バカラックなど幅広い選曲をジャズ・ボッサ風味で演奏する趣向。ユニットとしての一体感ある心地よいサウンドの好アルバムに仕上がっている。

ライル氏はこの翌年2010年2月10日、アロハタワー・マーケットプレイスで開催された「一夜限りの4大巨匠ウクレレライブ〜UKULELE LEGENDS IN CONCERT」に出演した模様が日本でDVDリリースされた。そこではハワイのバイロン・ヤスイ(b)とベニー・チョン(ukulele)と共に再びオーソドックスなジャズ・ウクレレ演奏を披露している。実はこの二人、ビル・タピアの2007年発表セカンドアルバム「Duke Of Uke」の伴奏メンバーで、実はライル氏は体調不良の為にアメリカ本土にある自宅からのリモート参加のみとなったビル翁のピンチヒッターとして急遽参加したという経緯だったが、貴重なライヴ映像となった。

2007年にポートランドのウクレレ・フェスティバルで、ライル・リッツ氏はウクレレの殿堂入りを果たし、さらに同年、スタジオミュージシャン集団「レッキング・クルー」の一員としてもミュージシャンの殿堂入りも果たす。2017年3月3日、素晴らしい数々の音楽作品を遺しジャズ・ウクレレの先駆者ライル・リッツはオレゴン州のポートランドにて87歳で亡くなった。


  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「US & Canada Ukulele」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事