宇宙人は柴犬と

SFコメディー小説です。

第1話 4/4

2009-07-21 22:33:46 | 日記


【アロイとグース】

夜。
港。
ブ厚い雲が速い。
星は見えず、まばらに立つ街頭は、道しるべ程度にぼやつく。
小さな影2つ。
しゅっと風を切る。
走る、走る。

ふと立ち止まり、空を見上げる。
犬耳宇宙人の少年。
野心あふれる鋭い目。
アロイ「そろそろ、報告が父上に届いているころか。」
もう一人は犬耳宇宙人の少女。
品のある顔立ち。
グース「急いでください。約束の時間に遅れます。」
アロイ「宇宙警備隊の精鋭部隊、その中でも最強と言われた戦士。ヂェットが地球に来ていたなんて。」
にやりと笑えば、歯がキラっと輝く。
グース「私達にもまだ、悪運が残っているってことかしら?」
アロイ「フフ、キミらしくもない。」
昭和の少女漫画チックな、異常に書き込まれた瞳で見つめ合う。
アロイ「”悪運”なんて、君の唇には似合わない、KO・TO・BA・さ・・」
ヒュ~ゥ

人気の無い海辺の公園。
約束の時間-夜8時・・の2分前。
全速力で走ってくる。
ズサアアァァ・・
横滑りしながら華麗に停止する、ふ・た・り。
グース「間に合ったわ。(加えて言うなら”決まった”わ)」
アロイ「ヂェットの姿が見えないな。」
ジェット『私なら、既に来ている。』
背後、木の陰から声。
しかしこの声は・・
アロイ「電気式人工喉頭か?」
ジェット『用件を聞こう。』
アロイ「声を隠すなんて、ずいぶんと用心深いんだな。」
振り返ろうとするアロイ。
ジェット『動くな。前を向いたまま話すんだ。』
★☆★☆★☆ 作者ちゃんのずばりここがネタ ★☆★☆★☆
※年齢、国籍不明。血液型A型。18ヶ国語に精通。ナショナル銀行の口座番号はF5・R6・I5・D1・A3・XY。
 主な使用武器はアーマライトM-16変形銃。拳銃を抜く速さは0.17秒。
 そんな、超A級スナイパー・・ご存知でしょうか?
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★

アロイ「一週間前、我がドサ号が破壊された事件は知っていると思う。行方不明者の数は41人・・」
ヂェット『お前達二人もその41人に含まれていた・・はずだな。』
アロイ「フっ、前置きは不必要のようだな。実は僕たち2人を除く39人は誘拐されたのだ。」
↓↓↓↓ 効果音 ↓↓↓↓
じゃっ!!じゃあああぁぁぁ・・!!
ちゃらら、ちゃららりるっ!!ららあぁぁぁぁ~
トゥルラ、トゥルラ、トゥ・ル・・ルゥ・・・・・・
じゃはっはっはあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・ぁ・・ぁ・・・・・ ・ ・

↑↑↑↑ 効果音 ↑↑↑↑

!!39人、行方不明なのですっ!!
なのですっっ!!
・・ですっ
・・
・・ですっ
なのですっっ!!
!!39人、行方不明なのですっ!!
行方不明なのですっ!!
なのですっっ!!
・・ですっ
・・・っ
・・

ヴヴヴヴゥゥ・・(電気式人工喉頭)
ヂェット『続けてくれ。』
アロイ「犯人は不明・・」
ヂェット『(ヴヴヴ)・・・・』
アロイ「おっと、流石に不思議に思ったかい?」
グース「できれば不信感を表現するために、無言で電気式人工喉頭を作動させるのは、やめてくださらない?」
アロイ「そう、僕たちは見たさ。犯人の顔をね。」
ヂェット『しかし、後日犯人から送られてきた名簿に、その実行犯の名前があった・・』
グース「ご明察。」
腕を組み、右手を銃の形にする。
そして、軽くウィンク(うっわーぉ!)。
アロイは現場で見た犯人の顔を思い出していた。
背が高い、眼鏡をかけた青年。

アロイ「そうさ、ガパオが犯人なものか・・」
アロイの肩に手を置くグース。
見詰め合う二人。
目をつむり、深く頷くグース・・判ってる・・そう言っている。
そう言ってるのン、目が・・。
目が言ってるのン。
わかってる・・って。
アロイ「彼(ガパオ)は僕たちに顔を見られている。なのに何故、自分の名前を名簿に書いたと思う?」
ヂェット『(ヴヴヴ)・・・・』
グース「お願いだから”ヴヴヴ”はやめて。」
アロイ「不思議な点はもう一つ、犯人が送ってきた名簿に、パパドとチャイの名が・・」
ニヤリと微笑むグース。
アロイ「・・無い。」

アロイ「二人は犯人に・・(ぐっと”溜め”の間)・・捕まえられなかったんだ。」
ヂェット『簡単に逃げ出せる状況では無かったのだな?』
アロイ「ああ、逃げ場は無かった。あの二人が逃げ切れるはずは無い。だが僕たちは、犯人の予定通り逃がされた・・」
風に木の葉がざわつく。
無駄に悲痛っぽい表情で、右下方へ流し目のグース。
星空に神の意思を探すように視線を泳がすアロイ。
立ち位置といい、明らかにカメラを意識した決めポーズの二人。
アロイ「・・そんな気がする。」
ヂェット『(ヴヴヴ)・・・・』
グース「ねぇ?もはや、わざと、でしょ?その振動音。」
アロイ「パパドとチャイには地球防衛軍に居候してもらっている。もしも・・の場合、。その方が早くに尻尾を出してくれそうだし、ボク達の動きを知られたくないしね。」
ヂェット『・・権力者は得てして、全ての可能性を網羅したがる。』
★☆★☆★☆ 作者ちゃんの親切なキーポイント ★☆★☆★☆
※ど、ども・・ま、まいどっ!!(とりあえず元気だけ)
 ここ、地球防衛軍だけでなく、テー家にも事件を任せて置けないと、ヂェットが判断した瞬間・・なんですよ・・ね・・・・えへへ、うぇへへへへへ。
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★

アロイは正直カチンときた。
口元が引きつる。
グースがなだめる。
アロイ「犯人の手がかりは今のところ全く無い。」
ヂェット『今のところ?』
アロイ「出発した空港のセキュリティーシステムの記録を取り寄せている。手に入るのは、おそらく10日後・・」
ヂエット『届いたら、コピーを送ってくれ。』
グース「それじゃあ。」
アロイ「おお、引き受けてくれるか!?」
ヂエット『敵は”姿なき挑戦者”・・地球防衛軍には、ちょっと手に余るだろう。宇宙警備隊が裏からサポートしよう。』
グース「ありがとう。」
アロイ「心強いよ、会えてよかった。」
・・・・・
返事が無い。
振り返ると、すでにヂェットの姿は無い。
『(ヴヴヴ)・・・・』
いや、暗闇のどこかにいる模様。
肩をすくめ、立ち去る二人。
用事は済んだ。
2度、3度交差しながら華麗に、華麗に走るふたり。
『(ヴヴヴ)・・・・』
グース「?」
公園からかなり離れた。
『(ヴヴヴ)・・・・』
気のせいではない。
音が追ってきている。
グース「いっっ!!やああああぁぁっっっ!!!!」
電気式人工喉頭の振動音が追ってくる。
39分の永きにわたり、グースはヂェットに遊ばれた。

 


次回はパパドとチャイが学校に行く話です。
パパドがスポーツ始めます。
念を押しておきますが、この小説は「さわやかスポーツもの」です。
次回のネタの多くは、ドリフと昭和のアイドル達です。


第1話 3/4

2009-07-21 22:32:36 | 日記


【入学手続き】
翌日、ふたたび”宇宙の家庭料理 さくら”。
もり香「学校?」
パパド「ボクはアロイ様と、この国の小学校に行く予定だったんだ。」
タイゾウ「で、受け入れ先の鉢慈第四小学校から、アオ・アンニィに連絡があってね。」
パパド「アロイ様は見つからないの?」
タイゾウ「ああ、いまだ捜索中さ。で、どうする?君だけでも学校行くかい?」
パパド「でも、アロイ様が。」
もり香「ぜひ行きなさい。(半日アンタの相手しなくてすむから)」
パパド「う、うん。」
・・って、言うしかないのかなぁ・・その顔は・・ねぇ?もり香さん。
タイゾウ「わかった、手続きはしておくよ。」
★☆★☆★☆ 作者ちゃんのずばりここがネタ ★☆★☆★☆
※鉢慈第四小学校
 鉢慈第四 ⇒ はちじだいよん ⇒ はちじだよん ⇒ はちじだよ・・
 八時だヨ!全員集合!
 ちゃっちゃらちゃっちゃ!ちゃっちゃっちゃ~!ちゃっちゃらちゃっちゃ!ちゃっちゃっちゃっちゃっ~!!
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★

学校で入学の打合せをするタイゾウ。
予定は3人いた。
”アロイ・テー・マイコイ・ペット”
これが、行方不明で大騒ぎしているテー家の御曹司か。
”パパド・ビリヤーニ・マサラ”
もり香に預けた男の子だ。
”コーレーグース・ミミガー”
この子は知らないな。
タイゾウ「コーレーグース君って、だれです?」
工事先生「パパド君と同じで、学校内でアロイ君の世話をする女の子だと聞いています。」
あ、女の子か、”君”じゃなく”ちゃん”か。
おかしいな・・3人の中にチャイがいないな。
コーレーグースってチャイのことかな?
タイゾウ「すいません。写真、有ります?」
工事先生「ああ、いらないけど送ってきましたよ。今手にしているファイルを何枚かめくるとあるはずですよ。」
4枚めくる。
あった、コーレーグースミミガー。
家柄のよさそうな上品な顔だな、確実にチャイではない。
タイゾウ「・・・・」
工事先生「とりあえず、パパド君が来週からと言うことでよろしいですか?」
年中うつ状態のような、あのチャイの顔が頭に浮かぶ。
タイゾウ「あの・・もう一人、お願いしても良いですか?」
ふと、時計を見る工事先生。
工事先生「ああっっ!!」
タイゾウ「わっ!びっくりした!」
工事先生「しまった!この時間、3年2組の授業は体育。課題は・・”体操”!!」
バリバリッ!!
背広が裂け散り、上シャツ+下ジャージ姿になる。
タイゾウ「エエエェェェェエエエェェッッ!!」
応接室を飛び出そうとする。
タイゾウ「ちょっと!どこに行くんですか!?」
イカリヤ校長「コージ・・」
入り口のドアに立つ、校長先生。
タイゾウ「うわ、アンタいつの間にっ!」
足を止める工事先生。
イカリヤ校長「この世界・・てめぇの城を守のはてめぇだけ・・判ってるな?」
ぐっとこぶしを握り頷き、目に決意の光。
イカリヤ校長「行って来い。」
走り去る工事先生。
タイゾウ「行っちまったよ。」
イカリヤ校長「体操がヤツの”城”なんですよ。お笑いは食うか食われるか。コージよ、てめぇだけのモンを極めろ・・」
知るか!!
黙って聞いてれば、なんだこいつら。
タイゾウ「あの、入学手続きしたいので、芸人じゃなく”教育者”をよんでいただけませんか?」

1週間後。

超高層分譲住宅の21階。
タイゾウ「ただいまぁ。」
チャイは相変わらず、部屋の隅で膝を抱え、じっと座っている。
事件の目撃者。
パパド君はまだ気持ちの整理が付いていない。
事件の話をするには早い。
チャイちゃんは気持ちはしっかりしていそうだが・・なぜか事件のことは話してくれない。
笑顔でチャイに近づく。
子供は得だな、こんな陰鬱な表情でも可愛いや。
大きな紙袋を渡す。
タイゾウ「あけて、あけて。」
せかす。
まるで、命令どおりに動くロボットのように袋を開けるチャイ。
洋服と運動靴。
ランドセルと上履き。
筆箱、鉛筆、消しゴム。
教科書、ノート。
体操着、雑巾。
縦笛。
チャイはそれがなんだか解らず、ぼーっと眺めている。
タイゾウに向けたその顔は、次の命令を要求している。
タイゾウ「君も明日から小学校に行くんだ。」
チャイ「が・・こ、う?」
タイゾウ「勉強するのに必要なんだ。」
チャイ「べ・ん・・きょ・・ぅ。あ・・たし・・が?」
また、違和感。
なんで”そんなこと”を聞き返すのか?
真っ赤なランドセルを抱きしめる少女。
パソコンを起動し、集合住宅の監視システムに接続する。
地球防衛軍は自由に使える契約になっている。
監視カメラの画像をサムネイルで一覧表示。
タイゾウ「こいつら、何者だ?」
画像の一つを指ではじく。
エントランス側の大通り。
セダンが一台。
タイゾウ「おんなじ車で、おんなじところを行ったり来たり。素人か?」

翌日、タイゾウのブルーのインプレッサ。
バックミラーを見ると例のセダンがつけてきている。
タイゾウ「下手な尾行・・何らかの警告か?」
パパド「なに?」
タイゾウ「ごめんな、独り言だ。」
後部座席にパパドとチャイ。
タイゾウ「それより、今日から学校だけど不安とかないかい?」
パパド「ぼく2回目だから。」
タイゾウ「そうか、じゃあチャイのこと、よろしく頼むぜ。」
自分の手のひらを見るパパド。
前来たときは、ちょっと失敗した。
でも、今回はうまくできるさ。
チャイは上履きに書いた自分の名前を見ている。
昨晩、タイゾウに見てもらいながら自分で書いた。
上履きだけ、ちょっと間違えた。
タイゾウが線を重ねて引き、ごまかしてくれた。
5mmに満たない・・彼が引いてくれた線はいち・・にぃ・・3本。


第1話 2/4

2009-07-21 22:22:56 | 日記


【残されたふたり】

地球防衛軍さいたまブランチ内の定食屋「宇宙の家庭料理 さくら」。
年季の入った店構え。
入り口左の柱が傾いており、補修してあるところだけちょっと新しい。
タイゾウ「ばーちゃんいる~。」
情報課の下っ端タイゾウ。
パパドとチャイを連れている。

ちーちゃいおばあちゃんが、厨房からえっちらおっちらやって来る。
ちょっと土偶に似ている。(ここのネタはもう少しお待ちください)
タイゾウ「この子達に何か食べさせてあげてよ。」
しわくちゃの顔で二人を見る。
ちる「ああ、テーの子だね。ちょっと待ってな。」
タイゾウ「特別な材料いるなら、買って来るぜ。」
ちる「だいじょぅぶだ~。」
きょろきょろと店の中を見回すタイゾウ。
タイゾウ「あれ?もり香いないの?」
ちる「犬を散歩させとる。」
パパドとチャイを座らせるタイゾウ。
タイゾウ「水、もらってくよ。」
ちる「テーの子なら、こっちのほうが喜ぶ。」
冷蔵庫を空けて・・何十年前から使っているのか・・陶器製の古いポットを指差した。
10分ほどで、食事が完成。
タイゾウがお盆を運びに行く。
ちる「おれが持っていくから座ってろ。」
タイゾウ「いや、重いから。」
強引に運んでいく。
ばーちゃんはむすっとしている。
二人の前に並べたどんぶりの中身。
白く透き通った太目の麺。
麺が浸る程度の赤いスープ。
粗ミジンで炒めた肉。
独特の香りを放つノコギリ状の葉。
驚いた顔の少女。
チャイ「・・べて、い・・い。の・・?」
頷くタイゾウ。
ちる「いま、甘いもの作ってるから、それ食って待ってなぁ。」
箸を握り、夢中で食べるチャイ。
タイゾウ「へぇ、箸使えるんだ。」
チャイ「おぃ・・しぃ。お・・い・・し・」
タイゾウ「・・泣かなくても。」
一杯の麺にここまで感動するチャイに違和感を感じる。
★☆★☆★☆ 作者ちゃんの親切なキーポイント ★☆★☆★☆
※以後ひんぱんに出てきます。チャイが恵まれた子供ではない感じの表現です。
 おや!おやっ!!な、なんとチャイの絵を良く見ると、く、首輪がっっ!!
 (わ、わざとらしかったかな・・かなり・・・・)
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★

パパドはまだ一口も食べていない。
箸を握り締めたままだ。
体が強張っている。
きっと、恐ろしい目にあった。
まだ、食べ物を受け付けないか?
タイゾウ「無理に食べなくてもいいよ。」
横に座り、肩を抱く。
ガララッ、
色濃く年を経た木製の引き戸。
幾度と無く人の手でつままれ、適度に磨り減った取っ手の柔らかい手触り。
枯れ、ちるばーちゃんの顔の様に深くしわを刻む木目。
軽く適度に引っかかりのある引き応え。
もり香「ただいまー。」
若い女性。
タイゾウ「お、もり香。」
もり香「ぁ?・・らっしゃぁぃ。」
無関心。
続いて柴犬が入ってくる。
右目がブラウンで左目がブルー。
頭に日の丸のバンダナ。
引きちぎれそうなくらい、尻尾を振っている。
店のアイドル”たまきち”。
パパド「!?」
タイゾウ「どうした?」
突然、たまきちに抱きつくパパド。
パパド「オトォーサアァアアン!!」

タイゾウ・もり香「な!なにぃっっ!!」
ちょっと迷惑そうなたまきち。
だが、しょーがないなぁという感じで好きにさせている。
タイゾウ「父親とそっくりなのか?」
もり香「犬と似てるの?」
パパド「柄は違うけどバンダナとか・・目の色が特にっ!!」

3分後・・

気持ちが落ち着いたパパドが麺をすすっている。
タイゾウが頭を撫でる。
タイゾウ「それだけ食べてくれれば安心だ。」

もり香がデザートを運んできた。
小ぶりなバナナの様な果物を、こんがり揚げたスイーツ。

チャイの目が爛々と輝く。
淡々と食べるパパドとの温度差が激しい。
ながいこと嬉しそうに眺めた後、やっとスプーンを動かす。
端からちょっとずつ取り、少ない一口を味わいながら食べている。
”このデザートを食べることができるのは、一生でこの一回だけ”って感じに見える。
やはり、何かチャイちゃんには違和感を感じるなぁ。
パパドくんの反応は、おかれた状況から言って、自然だと思う。
タイゾウは少女を謎を探るように話す。
タイゾウ「そんなに好きなら、毎日食わせてやるよ。」
チャイはまた、目を丸くして驚いている。
タイゾウ「・・・」
決めた。
タイゾウ「たまきちって確か、もり香が連れて帰っているんだよな?」
もり香「それがどーしたの?」
タイゾウ「この男の子(パパド)を預かってくれないか?」
もり香「は?ああぁっ??や・・」
や・・の次は”だ”か。
つなげると”やだ”・・否定ですな。
円満な「もり香-パパド」生活(つか「たまきち-パパド」生活か)を実現するために、その言葉をパパドに聞かせるわけには行きませんな。
”だ”を遮る様に話を進めるタイゾウ。
タイゾウ「ご覧の通りこの子達にはこころのケアが必要だ。重要な事件の目撃者でもある。二人の身元を引き受けるはずの”アオ・アンニィ”も事件の対応にてんやわんやで、暫く預かって欲しいって願い出てきた。生活費は情報課が出す。」
しーん。
もり香考え中。
その意思決定の分岐点で、彼女の脳がとあるパラメータの入力を要求。
もり香「生活費って・・いくらよ。」
男は携帯電話の電卓アプリを起動。
タイゾウ「えー、でわー、」
ちょいちょいと計算している。
タイゾウ「月6万円で、衣類・交通費などは別途請求していただく感じでは、いかがでしょうか?」
もり香「ぐ、」
このちびっこなら、食費+電工熱費で3万5千円、お小遣い3千円でイケル。
つまり、私の取り分は2万2千円・・これがクソチビをおもりする手間賃・・くぅ・・
もり香「び、びみょう。」
タイゾウ「7万5千円。」
くっ・・引力が強まった・・くわっっ!!
う、うんって言っちゃいそう・・
絶えるのよ!もり香!もう一声あるわ!絶えるのよ!!
もり香「刻むわね。どーんといった方が、効果あるかもよ?」
タイゾウ「7万5千円で勝負。」
なー!無いか!!もう一声なかった!!
もり香「く・・う、うーん、ぬぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
悩む、悩む。
もり香につられて力むタイゾウ。
もり香「OK!」
タイゾウ「ぷはぁっ。」
パパドはたまきちと遊んでいる。
タイゾウ「パパドくん。今日からしばらくは、あの男日照りのおばさんの家に泊まってくれ。」
もり香「おい!ちびへの説明に、”男日照り”って形容詞は必要だったのか!?」
タイゾウ「その犬は”たまきち”って言うんだ。」
自分の名前に反応し、タイゾウへと寄って行く柴犬。
パパド「たまきち?」
また、自分の名が呼ばれた。
どっちに行こうか迷っている。
タイゾウはパパドの背に立ち、肩を抱く。
それを見てパパドの足元にやってくるたまきち。
タイゾウ「たまきちも君のことが気に入ったってさ。」
チャイはタイゾウがつれて帰った。


第1話 1/4

2009-07-21 22:16:14 | 日記

● まえおき ●

”宇宙人は柴犬と”は、お子様向けの創作小説です。
スポーツもので根性は無しな感じです。
えっちーのとか、過激な流血は一切出てきません。

漢字は特に制限せず、ルビも振ってません。
難しい言い回しや言葉は基本的に出てきません。
ネタや伏線は補助的にヒントを書くようにしてみました・・が、前例といいますか、参考にできるものが無く、書き方を試行錯誤中。
今回は、それ自体ネタのようになってしまいました。

 

宇宙人は柴犬と

 

第1話:姿なき挑戦者

【ドサ号事件】
ドサ号とは、ある星間航行船の地球での登録名である。
異星人の船。
遥か彼方の星から地球へやってきた。
テー家が所有する船。
テー家は、彼の星に514,000k㎡の広大な土地を持つ。
それは「テー御領」とよばれる。
テー御領内に1,234の企業(基本的に独占のため少ない)を有する。
テー御領内に67,764千人の従業員が住む。
従業員のうち、50,823千人は社宅を利用している。

テー家が地球向けに起こした会社がある。
インターネットの通販サイト”アオ・アンニィ”。
世界中から膨大な注文がある。
”アオ・アンニィ”を示す赤・白・青三色のショートカットをデスクトップに置いている人は多い。
異星の会社だけに、一時期は”何かとんでもないものが売られている”とうわさになった。
★☆★☆★☆ 作者ちゃんの親切なキーポイント ★☆★☆★☆
※えー・・こういう補助文章って、どう書いたらいいのか・・手探りでして・・・・。
 その・・だ、だいたい、こう・・一見無駄な情報を、さ、さらっと書き流している箇所は、後で・・ふ、複線になっている場合が、お、多いんですよ?・・ね?
 ・・とか、こんな感じで・・。
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★

ドサ号の地球での登録を見ると、所有者は”アオ・アンニィ”。
本日11:20、父島の宇宙港に着陸予定だった。
テー一族本家の一人息子が乗っていた。
大気圏突入後、大きく進路をそれレーダーから消失。
翌日、三宅島付近でコナゴナの残骸で発見された。

宇宙人が関わる事件は、地球防衛軍の管轄。
本事件を担当するのは、その・・・

地球防衛軍極東方面埼玉ブランチ。
埼玉県上尾市中妻3丁目。
そこにある民間企業の工場・・に、なぜか回転する巨大パラボラアンテナ。
ここは、宇宙のあらゆる事件を解決するために組織された、地球防衛軍の秘密基地である。
某民間工場の地下数十メートルに建設されたこの要塞には、最新鋭の機材が装備されていた。
そして、シルバーイーグルスを始め300名の防衛隊員が昼夜を徹して鋭い監視の目を光らせていた。

工場に響き渡る警報のサイレン。
あわてて駐車場の車を移動する、工場の職員。
その移動の完了など確認せず、問答無用で蓋が開くように跳ね上がる駐車場の路面。
悲鳴を上げながら、急激に傾きを増す路面を走り逃げる車。
逃げ遅れた車が地面をごろごろと転がる。
蓋が開き、ぽっかりと巨大な穴が空いた駐車場。
滑走路がせり出してくる。
スピーカーから警告の放送。
『秘密の空中要塞シルバーイーグル1号が発進します!秘密の空中要塞シルバーイーグル1号が発進します!』
やかましい。
そんな大音量で言わなくても聞こえるっつーの。
近隣の住民はため息をつき、ポケットから取り出した耳栓を耳につめる。
おじさんも、おばあさんも、子供も。
少女が愛犬の耳を小さい手で塞いでいる。
たまたま営業でその場に来ていたサラリーマンは、わけ解らず呆然。
盆栽をいじっていたおじいさんが、垣根の向こうで”耳を塞げ”とジェスチャー。
『秘密の空中要塞シルバーイーグル1号!!発信!!』
だから、放送やかましい!
ゴアアアアアヒイイイイイイィィィィ・・・!!
なんか飛んで行った。
耳を塞いでいなかったサラリーマンは爆音に顔が引きつり、気絶。
引き続き、放送。
『シルバーイーグル1号の発進が完了いたしました。皆様、今、見聞きしたことは即座に自身の記憶から抹消してください。いつものお願いではありますが、よろしくお願いいたします。また、シルバーイーグル1号帰還時には、その着陸を優先的・・いや、あるいは強制的に実行させていただきます。国家を超えた機密である性格上、事前に通知できませんので、あしからずご了承ください。』


《シルバーイーグル1号》
●デザインコンセプトは”昭和のギミック満載のおもちゃ”です。
 今時のシャープでおしゃれな形ではありません。
 サイドポンツーンの3段インテイクはジャンボーグAのPATの戦闘機に影響を受けています。
 とにかく、おもちゃにして遊べる形を目指してます。
 第1話の作業で一番楽しかったです。
 昭和の特撮の動画見まくって、昭和っぽい線引いて・・


地球防衛軍埼玉ブランチの精鋭部隊、シルバーイーグルスを紹介しよう。
 ナカヤマ隊長、年齢38歳。
 隊暦16年、東京出身。
 アチハ隊員、年齢25歳。
 隊暦3年、九州出身。
 イシイ隊員、年齢29歳。
 シルバーイーグルスきっての怪力の持ち主。
 隊暦7年、北海道出身。
 フルヤ隊員、年齢24歳。
 名プランナー。
 隊暦2年、名古屋出身。
 ユリコ隊員、年齢・・いや、こりゃ失礼・・。
 隊暦2年、東京出身。
 シルバーイーグルスの紅一点。
★☆★☆★☆ 作者ちゃんのずばりここがネタ ★☆★☆★☆
※あっれ~!?そういえば副題の「姿なき挑戦者」って、ウルトラセブンの放送第1話とおんなしだぞーう。
 するってーと、ここらへん一帯の文章わ・・・パ、パロ・・
 しかも今後のためにさらに言えば・・県立むにゃむにゃ・・えー、県立地kむにゃらむにゃら・・(難易度高いのですが狙ってはいます)
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★

現場に急行する、シルバーイーグル1号。
現場上空を旋回。
イシイ「変だな。」
アチハ「残骸が一箇所に、まとまりすぎている。」
イシイ「まるで、着水してから爆発したみたいだ。」
アチハ「ひとの姿がない。43名が乗っている筈なのに。」
イシイ「・・っと、二人、見つけたぜ。」
2時の方向、指を指す。
波に揺られる残骸の上。
ポツンと2人寄り添っている。

イシイ「映像を作戦室へ送れ。」
アチハ「了解。」
ナカヤマ隊長の無線の指示で、着水。
小学生くらいの子供が震えている。
女の子の方が隊員に気付き、膝を立てて様子を伺っている。
生存者を探すが、結局、その二人以外は見つけられなかった。
アチハ「他の41名はどこに行ったのでしょうね?」
イシイ「一度離陸するぞ。お前、二人を連れてγ号で先に帰れ。」
アチハ「そうですね。可愛そうに、男の子の方はひどい震えがとまらない。」
女の子の方は・・なんというか、全てが他人事のような感じ。
命の光が感じられない目。
多少震えているが、この子の場合は寒いからだと思う。
心を失っているかのような表情。
まぶしい朝日の下なのに、彼女だけ日陰にいるように見える。
”影”なる存在。
アチハ「きみ、名前は?」
チャイ「名ま・・え?・・そう、チャ・・イと・・・もして・おき・ま・しょ・・。」
たどたどしい。
異星の強制学習器で日本語の知識はあるが、まだ話し慣れていない・・典型的な症状だ。
知識だけは100%、肉体が追従できていない。
日本語を繰り返ししゃべる事で、体はそれに適した・・例えば筋肉を準備してくれる。
正しく話す・・その感覚・・体からのフィードバックが脳を刺激し、日本語的な発想を促す。
人は脳だけで考えないと言い換えてもいい。
強制学習器を利用した日本語プログラムは、自動翻訳機を目指しているのだろうな。
日本語に込められた思いを省き、必要十分なだけ伝えられれば良しとする考え方。
大企業のエリートさんが考えそうだな。
イシイはあまり好きではない。
男の子の名は”パパド”。
自分は初めてだが、彼は地球に来るのは3回目だと、チャイは言った。
何があったのかを聞くと黙する。