【アロイとグース】
夜。
港。
ブ厚い雲が速い。
星は見えず、まばらに立つ街頭は、道しるべ程度にぼやつく。
小さな影2つ。
しゅっと風を切る。
走る、走る。
ふと立ち止まり、空を見上げる。
犬耳宇宙人の少年。
野心あふれる鋭い目。
アロイ「そろそろ、報告が父上に届いているころか。」
もう一人は犬耳宇宙人の少女。
品のある顔立ち。
グース「急いでください。約束の時間に遅れます。」
アロイ「宇宙警備隊の精鋭部隊、その中でも最強と言われた戦士。ヂェットが地球に来ていたなんて。」
にやりと笑えば、歯がキラっと輝く。
グース「私達にもまだ、悪運が残っているってことかしら?」
アロイ「フフ、キミらしくもない。」
昭和の少女漫画チックな、異常に書き込まれた瞳で見つめ合う。
アロイ「”悪運”なんて、君の唇には似合わない、KO・TO・BA・さ・・」
ヒュ~ゥ
人気の無い海辺の公園。
約束の時間-夜8時・・の2分前。
全速力で走ってくる。
ズサアアァァ・・
横滑りしながら華麗に停止する、ふ・た・り。
グース「間に合ったわ。(加えて言うなら”決まった”わ)」
アロイ「ヂェットの姿が見えないな。」
ジェット『私なら、既に来ている。』
背後、木の陰から声。
しかしこの声は・・
アロイ「電気式人工喉頭か?」
ジェット『用件を聞こう。』
アロイ「声を隠すなんて、ずいぶんと用心深いんだな。」
振り返ろうとするアロイ。
ジェット『動くな。前を向いたまま話すんだ。』
★☆★☆★☆ 作者ちゃんのずばりここがネタ ★☆★☆★☆
※年齢、国籍不明。血液型A型。18ヶ国語に精通。ナショナル銀行の口座番号はF5・R6・I5・D1・A3・XY。
主な使用武器はアーマライトM-16変形銃。拳銃を抜く速さは0.17秒。
そんな、超A級スナイパー・・ご存知でしょうか?
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★
アロイ「一週間前、我がドサ号が破壊された事件は知っていると思う。行方不明者の数は41人・・」
ヂェット『お前達二人もその41人に含まれていた・・はずだな。』
アロイ「フっ、前置きは不必要のようだな。実は僕たち2人を除く39人は誘拐されたのだ。」
↓↓↓↓ 効果音 ↓↓↓↓
じゃっ!!じゃあああぁぁぁ・・!!
ちゃらら、ちゃららりるっ!!ららあぁぁぁぁ~
トゥルラ、トゥルラ、トゥ・ル・・ルゥ・・・・・・
じゃはっはっはあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・ぁ・・ぁ・・・・・ ・ ・
↑↑↑↑ 効果音 ↑↑↑↑
!!39人、行方不明なのですっ!!
なのですっっ!!
・・ですっ
・・
・・ですっ
なのですっっ!!
!!39人、行方不明なのですっ!!
行方不明なのですっ!!
なのですっっ!!
・・ですっ
・・・っ
・・
・
ヴヴヴヴゥゥ・・(電気式人工喉頭)
ヂェット『続けてくれ。』
アロイ「犯人は不明・・」
ヂェット『(ヴヴヴ)・・・・』
アロイ「おっと、流石に不思議に思ったかい?」
グース「できれば不信感を表現するために、無言で電気式人工喉頭を作動させるのは、やめてくださらない?」
アロイ「そう、僕たちは見たさ。犯人の顔をね。」
ヂェット『しかし、後日犯人から送られてきた名簿に、その実行犯の名前があった・・』
グース「ご明察。」
腕を組み、右手を銃の形にする。
そして、軽くウィンク(うっわーぉ!)。
アロイは現場で見た犯人の顔を思い出していた。
背が高い、眼鏡をかけた青年。
アロイ「そうさ、ガパオが犯人なものか・・」
アロイの肩に手を置くグース。
見詰め合う二人。
目をつむり、深く頷くグース・・判ってる・・そう言っている。
そう言ってるのン、目が・・。
目が言ってるのン。
わかってる・・って。
アロイ「彼(ガパオ)は僕たちに顔を見られている。なのに何故、自分の名前を名簿に書いたと思う?」
ヂェット『(ヴヴヴ)・・・・』
グース「お願いだから”ヴヴヴ”はやめて。」
アロイ「不思議な点はもう一つ、犯人が送ってきた名簿に、パパドとチャイの名が・・」
ニヤリと微笑むグース。
アロイ「・・無い。」
アロイ「二人は犯人に・・(ぐっと”溜め”の間)・・捕まえられなかったんだ。」
ヂェット『簡単に逃げ出せる状況では無かったのだな?』
アロイ「ああ、逃げ場は無かった。あの二人が逃げ切れるはずは無い。だが僕たちは、犯人の予定通り逃がされた・・」
風に木の葉がざわつく。
無駄に悲痛っぽい表情で、右下方へ流し目のグース。
星空に神の意思を探すように視線を泳がすアロイ。
立ち位置といい、明らかにカメラを意識した決めポーズの二人。
アロイ「・・そんな気がする。」
ヂェット『(ヴヴヴ)・・・・』
グース「ねぇ?もはや、わざと、でしょ?その振動音。」
アロイ「パパドとチャイには地球防衛軍に居候してもらっている。もしも・・の場合、。その方が早くに尻尾を出してくれそうだし、ボク達の動きを知られたくないしね。」
ヂェット『・・権力者は得てして、全ての可能性を網羅したがる。』
★☆★☆★☆ 作者ちゃんの親切なキーポイント ★☆★☆★☆
※ど、ども・・ま、まいどっ!!(とりあえず元気だけ)
ここ、地球防衛軍だけでなく、テー家にも事件を任せて置けないと、ヂェットが判断した瞬間・・なんですよ・・ね・・・・えへへ、うぇへへへへへ。
★☆★☆★☆★☆★☆★ おわりんこ ★☆★☆★☆★☆★☆★
アロイは正直カチンときた。
口元が引きつる。
グースがなだめる。
アロイ「犯人の手がかりは今のところ全く無い。」
ヂェット『今のところ?』
アロイ「出発した空港のセキュリティーシステムの記録を取り寄せている。手に入るのは、おそらく10日後・・」
ヂエット『届いたら、コピーを送ってくれ。』
グース「それじゃあ。」
アロイ「おお、引き受けてくれるか!?」
ヂエット『敵は”姿なき挑戦者”・・地球防衛軍には、ちょっと手に余るだろう。宇宙警備隊が裏からサポートしよう。』
グース「ありがとう。」
アロイ「心強いよ、会えてよかった。」
・・・・・
返事が無い。
振り返ると、すでにヂェットの姿は無い。
『(ヴヴヴ)・・・・』
いや、暗闇のどこかにいる模様。
肩をすくめ、立ち去る二人。
用事は済んだ。
2度、3度交差しながら華麗に、華麗に走るふたり。
『(ヴヴヴ)・・・・』
グース「?」
公園からかなり離れた。
『(ヴヴヴ)・・・・』
気のせいではない。
音が追ってきている。
グース「いっっ!!やああああぁぁっっっ!!!!」
電気式人工喉頭の振動音が追ってくる。
39分の永きにわたり、グースはヂェットに遊ばれた。
次回はパパドとチャイが学校に行く話です。
パパドがスポーツ始めます。
念を押しておきますが、この小説は「さわやかスポーツもの」です。
次回のネタの多くは、ドリフと昭和のアイドル達です。