宇宙人は柴犬と

SFコメディー小説です。

第14話:準備 3/3

2010-01-24 23:21:44 | 日記


【シルバーイーグルスの陰謀】
おかしい、シルバーイーグルスの皆がやけに親切だ。
とタイゾウは思った。

■例1■ 定時で帰してくれる。
アチハ「タイゾウ、そろそろ帰れよ。チャイちゃん待ってるぞ。」
午後6:30。
タイゾウ「皆、忙しいのに悪いな。」
アチハ「お前が言ったんだべ。チャイちゃんを一人にしたくないって。ま、お前の本来の任務だからなー。」
タイゾウ「ああ・・」
なぜか照れ笑い。
ユリコ「なによ?」
タイゾウ「もはや任務って感じじゃないんだけどね。家族というか、娘や妹みたいな感じでさ。」

■例2■ 定期試験に向けての勉強や実技練習に付き合ってくれる。
基地内の道場。
アチハ「定期試験の成績が上がれば給料も上がるぜ~。」
タイゾウ「昼休みに、自主トレに付き合ってもらって悪いな。」
アチハ「お前はペーパーテストはそこそこいいのだから、後は実技、特に格闘技って感じなんだよねぇ。」
タイゾウ「お、おう。」
アチハ「まぁ、お前、性格的に争いごと嫌いだしな。人を傷つける技術を全く覚えないよな。」
タイゾウ「そんな良い理由ではなく、単に俺に才能が無いだけだと思うぜ。」
アチハ「良い理由なんかじゃねーよ。誉めてねーから。お前はいやな役目から逃げている、無責任でずるい男だ。」
この一言はこたえた。
タイゾウ「ああ、そうかもな。わかった。お前みたいにトップ5%ってのは無理だけど、今回はちょっとがんばってみるよ。」

・・・・

タイゾウ「ってな感じなんだよねぇ~。」
と、宇宙の家庭料理さくらにてもり香にそんな疑問をぶつけてみる。
もり香「あっそ、」
と、注文をとりにいく。
事実上のガン無視。
タイゾウ「な、なんか冷たくね?」
もり香「今度からメニューに”笑顔”と”世間話”くわえとくわ。」
タイゾウ「さくらは笑顔も有料なの?」
もり香「あー、忙しい。遊んでても給料手に入るあんたとは違うからねぇ。」
タイゾウ「遊んでて金もらえるわけ無いだろ。あそうだ、礼を言ってなかった。ありがとう。」
もり香「な、なに。」
タイゾウ「なんで身構えてるんだよ。なにって、こないだ相談に乗ってくれたお礼だよ。ありがとうございました。」
もり香「相談(そうなん)ですか。」
タイゾウ「なんかの間違いにしても、俺はやつらに頼られた。ってことは俺にできることがある。そんな過度な期待されていないはずだ。って解っていてもさ、自分のミスで仲間を死なすかもしれない、誰かを殺すかもしれない部署だから、怖くてさ。」
もり香「はぁ、」(興味なさそうな顔)
タイゾウ「一等賞とる人間にだって正解なんてわからない。誰かがやらなきゃいけないことが目の前にあって、それに立ち向かうチームがある。つまりお前は・・」
もり香「えーとぉ、話の途中で悪いけど、そんなこと言ってません。」
タイゾウ「え?え?そうなの?」
もり香「わたしの薄っぺらい台詞を、よくもそこまでご大層な内容に変換できたわね。逆に感心するわ。」
タイゾウ「えー。」
もり香「あのときはイラっときて、適当に言葉をぶちまけただけだから。」

・・・・

同じ頃、残業中のユリコとアチハ。
ユリコ「タイゾウはどう?」
アチハ「ぼちぼちって感じかな?」
ユリコ「奇跡でもイカサマでもいいから、次の試験では上位5%に入ってもらわないと。」
アチハ「ヤツに仕事手伝ってもらって感心したのだが、あーんなに使いやすい男、他にいないわっ。」
ユリコ「なんでもソツなくこなすし・・かといって出過ぎないというかでしゃばらないというか、見事なくらい飛びぬけたところが無いのよね。ゆーなれば、生まれついての下僕。」
アチハ「タイゾウはぜひ欲しいな。」
ユリコ「そう、そのために優しくしてやっているわけなのよね。シルバーイーグルスを気に入ってもらえるように。」
アチハ「コキ使うのは、正式配属されてからだな。」
ユリコ「シルバーイーグルスの首輪つけちゃえばこっちのものよね。あとは・・」


【91点】
夜の9時。
シルバーイーグルス作戦室へ向かうもり香。
メールでユリコに呼ばれた。
作戦室に入るとすぐにユリコに連れ出され、実技試験場へ。
もり香「ねぇ、ほんとにタダで使っていいのー?」
ユリコ「もちろんよ。」
もり香「最近パパド太りしちゃってww。フィットネスクラブに通おーかと思っていたんだけど、なんか高くてww。」
ユリコ「パパド太り?」
もり香「あやつ来てから、ちゃんとご飯作るようになったのね。前は面倒ならカップ麺とか、もっと面倒なら食べなかったりとか。最近、ワタシちゃんが増えてさ、これがまたかわっゆいのよぅ。絶対、さらに太っちゃうわよっww。」
ユリコ「wwwなるほどww。」
こ一時間汗を流す。
ちょっと一休み。
もり香「ふいー。」
ユリコ「ねーねー、これ、やってみない?」
指差したのは戦闘機のシュミレーター。
ユリコ「プレステのもっとすごいのって感じだよ~。」
もり香「あー、あたし、そういうの苦手でさー。ゲームはパズル専門だから。」
ユリコ「まぁ、いいじゃん。こんなの今じゃなきゃ乗れないわよー。話のタネにさ。」
もり香「えへへ、そうだねー。」
シュミレーター起動。
一通りの操作方法を教えてもらう。
機体はベータ号をユリコが勝手に選択。
まずはシナリオ”基本動作”で教えてもらった操作を確認。
いよいよ本番。
シナリオはユリコが何も言わずに、最も難しい”1対100”を選択。
では、ゲーム開始。
ユリコ「うそ・・」
外部モニタを見ていたユリコはわが目を疑った。
戦闘機が、ありえない動きで飛び、阿修羅のように敵機を殲滅してゆく。
ゲーム終了。
作戦時間、撃墜率、機体損傷、消費弾数、消費燃料など総合的に判定し、得点が表示される。
91点。
もり香「おー!90点こえたじゃーん!ww素人にしては上出来って感じwww?」
能天気なもり香と対照的に、戦慄で顔が怖くなっているユリコ。
ユリコ「ばか言わないで。この”1対100”の最高記録は68点なのよ。人間の限界は70点として設計された特別に難易度の高いシナリオなのよ。91点?そんな人間、この世に存在しないはずなのよ。」
もり香「あんたなんつーのをわたしに・・ま、いっけど。でも、あんたが言うほど難しくなかったし、設定が間違っていたんじゃない?」
ユリコ「そう思って、チェックしたけど、間違いないわ。あなた、こういうゲームは苦手じゃなかったの?」
もり香「なんか、乗り心地がリアルくてww。思い通りって感じだったわww。」
ユリコ「そっか、これはGとか現実に近く再現されるから。」
もり香「ほ、ほほう、さすが高級ゲーム機。ね、もう帰ろうよ。なんか今、私の苦手な空気が漂ってる。早く帰ってワタシちゃんとお風呂に入りたい。」




※ううう、決勝戦へ向けてのいろいろを仕込みきれなかったです。予選あんなにはしょったのに・・おかしい。
 水槽のチャイとガパオが今どこでどうしているか書いて無いし、未来を変えることで、非局所的に過去を変える道具立てや手順も説明して無いのです。
 えっしーがしつこくあおってるように、ラスボス(物語のゴール)も明示して無いです。
 ほかにもいろいろ・・ううう。
 はうう、あと2話ほど、ギャグ回使って必要な説明を済ませないとっ、て感じです。
※例によってえっしーが忙しくて今回も3枚、短時間でやっつけていただいた感じです。
 次回のうぷは3週間後になりそうな予感もしています・・


第14話:準備 2/3

2010-01-24 23:21:15 | 日記


【瀕死のパパド】
鉢慈第四小学校、5年2組。
木の枝を杖代わりにしがみつき、廊下を這い進む少年、一人。
服はちぎれ、肌は擦り切れ、ひどい有様。
教室の入り口で力尽きた。
それでも前に進もうと震える手を伸ばす。
ゴロー「パ、パパド!パパドじゃないかっ!」
沢田「お前、いつの間にそんなキャラ立つ芸を。」
親友の二人が走りよる。
手首をつかむゴロー。
ゴロー「まだ脈はある!」
沢田が、命の灯火消えかけた犬耳少年を抱きしめて叫ぶ。
沢田「メディィイイイイイーッック!!」
戦場だ!戦場が見えるよ!沢田くんっ!!
火薬の匂いがするよ、死の匂いがするよ!!
二つの小さな影が猛スピードで近づいてくる。
左右によけて、逃げて道を開ける生徒達。
ワタシ「きゃーっ!!」
ゴロー「ぬああっ!」
沢田「なんか来た!」
パパドを投げ捨て、飛びのく二人。
たまきちが全力疾走でやってくる。
そのリードを短く握っているのはワタシ。
もり香に買ってもらったローラーシューズを履いている。
ワタシ「にぃちゃ!」
たまきちに引かれ、迷わず一直線に突っ込む。
ゴローと沢田は目を手で覆った。
その惨劇を見るに忍びなかった。
しかし、今、このとき、たまきちの必殺技バンザイバレットが完成したのだ。
右目がブラウンで左目がブルー、それはその柴犬が特別な体に生まれた証。
たまきちの体は高温に強い。
体温が44度を超えても死ぬことは無い。
今朝は1時間近く、自分の体重の3倍あるワタシを引いて走り回っていた。
体温は40度を軽く超えている。
今、パパドに向かって突撃。
さらに上がる体温が哺乳類の生存限界に達したとき、たまきちの体の中の何かが切り替わった。
190前後で安定(この数値自体高めだが)していた心拍数が250に跳ね上がった。
その急加速と、顔に当たる高温の熱気がたまきちの吐く息であったことに驚いたワタシは、リードを手から離した。
生物の体内からこの温度の気体が排出される・・子供ですら異常に感じ、無意識に恐れた。
しかし・・これは止まれない。
突然取り払われた、自重の3倍のウェイト。
たまきちにとって、これは想定外。
パパドへ向かってロケットの様に加速、加速。
そして・・・この先は、書くべきでは無いだろう・・・・やっぱ、音だけ書きます。
ぐしゃああああぁぁぁっっっ!!!!

5-2教室内。
すでに人の形を成しているだけの抜け殻と化したパパド、席に座り目は開いているが、どこも見ていない。
膝の上でワタシちゃんが疲れて寝ている。
たまきちはいなくなっている。
たぶん地球防衛軍さいたまブランチ内 宇宙の家庭料理さくらへと走っていってしまった。のだろう
ゴロー「でさ、お前のその死線彷徨い過ぎな姿。な、何があった?・・って、そこそこ予想ついてしまうのだが。」
パパド「・・記憶にあるだけでいい?」
その言葉に戦慄する。
記憶・・失ったの?ど・・どれくらい??
ゴロー「話してくれ。」(生唾を飲み込む)
パパド「車に2回轢かれて・・あれ?3回だっけ?」
ゴロー・沢田「なにっ!」
出だしからトップスピードだな!おい!!
パパド「電車の窓から落ちて・・あと・・あれ?ちょっと思い出せないけど、巨大な鉄球が、そう・・鉄球が・・」
ゴロー「もういい!!止めろ!!」
パパド「え?」
ゴロー「それ以上は思い出さないほうがいい。自分が今生きている。それを疑うべきではないと思うんだ。自らの生に疑念を抱く内容の記憶なんて・・ハッ、なくてオッケーさ。」
パパド「いや、疑うも何も、生きてるから・・微妙にだけど。」
沢田「自分が死んだことを知らぬがゆえに、生きている。そんなミラクルが・・あるのかもな・・。」
そう言って視線を流した先では、日直が黒板けしを清掃していた。
ゴロー「お前、決めのポイントで無駄なものに焦点を移す癖やめれ。」


【目指せ優勝】
夕暮れ、河川敷を走るタイゾウ、チャイそしてシュリケン。
ゼイゼイいっているシュリケンに霧吹きで水をかけるタイゾウ。
”呪いの心臓”またの名を”はぁともよお”と称するチャイとシュリケンは、まじめに優勝を目指す。
決勝に残った6人(自分と穴梅を除く)にごまかしや、つまらない細工は通用しない。
チャイ「いや ぱぱどだけには つーよぉするかも・・」
タイゾウ「え?なにか言ったかい?」
チャイ「・・・」
”未来を変えることで過去を変える”それが決勝を走る目的だ。
だが、それとは別に、チャイはまじめにレースをするつもりになっていた。
わけというか理由は、自分のインチキで敗退していった二人に対する謝z・・ではなくタイゾウである。
あんなに喜ぶとは。
チャイの決勝進出が決まった瞬間、痛いほど抱きしめられた。
チャイのレース、チャイを応援していた客席のファン達。
その日タイゾウは自分の話ししかしなかった。
脳内メーカーで検証すれば、”チャイ”のみの状態に違いないと少女は確信した。
彼女は10才であると同時に24才でもある。
ぶっちゃけ”あなたの視線を独り占めにしたいから走るの”ってことだ。
今、さわやか笑顔の彼と並んで走っている彼女の顔は、(たしかに陰鬱で分り難いが)”私は今、タイゾウ攻略ルートに乗った”と言い切っている。
朝と夜、5kmのランニングを始めたのは、いくつか思いついた練習方法のうち、タイゾウが食いついてくる確率が最も高かったから。
そして現実、計画通りにことが運んだといわざるを得ないし、きつい走りこみもあなたと一緒なら(以下略)といわざるを得ない。
シュリケンの弱点はトップスピードの低さだ。
障害物の処理は比較的得意。
長い胴体をうねらせる気色の悪い動きで縦の動き、横の動きともに完璧だ。
さらに足癖の悪さもぴか一で、誰にも気づかれず、コース上に細工を仕込む。
平地を真っ直ぐ走るというのがどうにも苦手で、短距離、長距離共にお話にならない。
チャイ「しゅりけんはせいかくがほどよくまがっているから、ちょくせんはにがてなのかも・・」
性格が曲がっているといえば、あのやろうしか思い出せない。
パパド。
犬耳メガネの人を見下した笑い声が聞こえる。
たまきちは速い。
タイゾウ「チャイ、パパドには勝とうぜ!」
さわやかな笑顔に染まる頬。
いや、タイゾウは勝利を強要しているわけではもちろんなく、ましてや悪意など無い。
だが、この言葉が少女の触れるべきではないスイッチを入れてしまった。
本気、チャイは本気になった。
チャイ「しちがつなのかわ ぱぱどのめいにち」
XXX(トリプルエックス)の決勝戦は7月7日に開催される。
タイゾウ「www。おっし、そのいきだぞー。」
いや、チャイはパパドと刺し違えてでも”負けない”つもりだからな。
おっさん、わかってないだろ?
チャイ「あう」
唐突に、そしてやや作為的に足がもつれちゃったっぽい少女。
よろけて、男にもたれかかる。
タイゾウ「おいおい、大丈夫か?おぶってやろうか?」
大丈夫、がんばると目で訴えるチャイ。
まぁ・・がんばれるだろうぜ、だってたいして疲れて無いもん、演技だもん。
わざとだもん。

タイゾウ「じゃあ、もうちょっとだけがんばろうか。」
その、さわやか笑顔にチャイちゃんくらくら。
萌えすぎて、貧血。
タイゾウ「チャ、チャイ。まじで大丈夫か?」



第14話:準備 1/3

2010-01-24 23:21:01 | 日記

宇宙人は柴犬と


第14話:準備

【瀕死の怪獣】
ぴろウき「ぽち・・」
千葉県銚子、チャンネル√4倉庫、地下。
巨大プールに浮かぶ怪獣オープントータス。
地響きのようないびきをかいて寝ている。
水中酸素破壊弾によって白骨化した箇所はコンクリートやタールで固められている。
科学者のデイブ・クックラムがファイルを差し出す。
クックラム「全治2年、といったところです。」
ぴろウきはファイルを受け取る・・ふりをして、彼の懐に手を滑り込ませ、さわさわと動かした。
クックラム「ぬふぅっ!CEO・・そ、そんなところにファイルは有りません。」
ぴろウき「デイブ・・」
やすっぽい2枚目俳優または、コントでイケメンを演ずるお笑い芸人の様に眉毛を(相手を誘うように)上下に動かす。
クックラム「は・・はい・・(ぽっ)」
ぴろウき「2週間でどうにか、な・ら・な・い?」
胸を人差し指でつんつんしながらお願い。
クックラム「ぜ・ん・ぜ・ん・む・り・で・す。」
胸を人差し指でつんつんしかえしながらお断り。
ぴろウき「おのれ、いい指使いじゃねぇか。」
不覚にも乱れた息を整え、ほら貝を吹く。
ぼびょ・・ぉ・・ぉぅ゛・・ぶび・・
ならない。
無様だ。

ぴろウき「げぇ!けっこう難しいっっ!!じゃねくてぇ!てめぇが俺の神式呼吸法を乱すからじゃボケェッッ!!」
バッキィィン!!
ほら貝でデイブの脳天を痛打。
地下室中に響き渡るすばらしい快音。
阿仁木「へあ゛!!」
その音に呼ばれ、ぽちのこーもんから飛び出してきたのは無論、変態筋肉。
何か手にしている。
阿仁木「どっせぇええぇぃいっっ!!」
床に置いたものは、
クックラム「掃除用具ロッカー?」
無言で扉を開く阿仁木。
中には何も入っていない。
ぴろウき「ところで阿仁木!ぽちの腸内がそんなに気に入ったか?」
にっこりと笑顔を返す阿仁木。
ぴろウき「笑顔がきしょく悪いんじゃ!ブタ野郎ぉおおおっっ!!」
掃除用具ロッカーに阿仁木を蹴り入れる。
ぴろウき「さ、君も。」
非常にナチュラルにデイブの肩をぽーんとたたいた。
思わずふらりと一歩足を進め、はっとわれに返るデイブ・クックラム。
クックラム「あ!あぶねぇ!!」
ローッカーの奥で、阿仁木がいやらしい手つきで、おいでおいでしている。
恐怖に震えているクックラムの首に腕を絡めるCEO。
ぴろウき「なぁ、素直になれよ。」
クックラム「え!?」
ぴろウき「行きたいんだろ?あそこに。」
おいでおいでしている変態筋肉を指差す。
クックラム「まっまさか!」
ぴろウき「いいよ、わかってるよ。自分にうそつくなよ。さびしいぜっ・・」
クックラム「ばかいわないで・・どわっ!!」
CEO張り手。
ぴろウき「いいよわかってるよ。お前のことは。」
つっぱり!つっぱり!つっぱり!つっぱり!
張り手の回転が素人とは思えないほど高速で反撃できない。
クックラム「ぐわっ!ちげっ!!うがっ!」
ぴろウき「俺とお前の仲で言葉いらねーんだよ!」
そのとどめの一撃で、とうとう、掃除用具ロッカーに押し込まれた。
がしっ!
阿仁木が抱きしめる。
クックラム「私をどうする・・ひぃぃぃぃっっ!!」
にたりと油キモい変態筋肉の表情。
ぴろウき「アディオス!!」
扉を蹴り閉めた。
そして、扉を開けぬよう、ガムテープで何重にも、何重にもぐるっぐる巻きに。
次にCEOは掃除用具ロッカーをガンガンと蹴り始めた。
ぴろウき「極限状態のほうが人は良いアイディアがうかぶものだ!阿仁木と24時間完全密着、男にとってこれを超える精神的苦痛は無い!さぁ!考えるのだ!!ぽちを2週間でよみがえらせる方法をなっっ!!」
言い終わると疲れて膝に手を置き、肩で息。
ぴろウき「っはぁぁああ。やー、今日はいい仕事したわ。給料の3倍働いた。」
背伸びをしてさわやかに去ってゆく。
そして地下室は、クックラムの悲鳴のみで満たされる。



※ぴろウき関係のイラストは”特にきもい感じで”とお願いしてあるのですが、このまえの牛といい、非常に神経逆なでする感じにデッサン崩してきて・・書き文字とか・・消しゴムで消してぇ・・本当にありがとうございます。


第13話:円盤が来た 3/3

2010-01-11 20:28:58 | 日記


【崩壊、シルバーイーグルス】
シルバーイーグルスの名プランナー、フルヤ隊員が40Lサイズの大きなバックパックを背負って作戦室からでてきた。
あれ?フルヤさん、私服?
とりあえず声をかけてみる。
タイゾウ「あの、急に呼び出されたんですけど、何d・・」
言葉の途中・・フルヤは短く一礼して足早に去っていった。
作戦室に入ると、隊長席に女性隊員が20名ほど群がっている。
ぜってーあの人だ・・2話にでてきた色男。
タイゾウ「少尉?」
女性の群れの中心から、細長い指がすっと上に伸び、左右にゆれている。
手を振っているのだな、あれは。
手のひらが自分の方向を向いたところで、タイミングよく”その方向にいます”と声をかけた。
少尉「よく、ボクだとわかったね。」
タイゾウ「はぁ、」
いや、あんた以外にありえないし、この石垣ならぬ女垣。
少尉「いやー、まいったよ。新しい隊長が赴任するまでの間、シルバーイーグルスの指揮を任されてしまってね。」
タイゾウ「え?」
この男で大丈夫なのかよ!?思わずアチハ隊員の顔を見ると、肩をすくめた。
少尉「ふふふ、わかってるよ。ボクはシルバーイーグルスの仕事を何も知らない。残念ながら隊長の席を暖めているだけさ。アチハくんに手取り足取り教えてもらって、やっと最低限の事務処理ができている。」
女性に囲まれてナイフの刺さる隙間も無い状態。
どうやって仕事をしているんだろう、このひと・・。
タイゾウ「じゃあ、少尉も災難でしたね。」
少尉「やだなぁ、キミ・・ひとごとじゃないって感じなんだけどね。」
タイゾウ「へ?」
少尉「しばらくの間、キミにも手伝ってもらいたいんだよ。」
タイゾウ「はい?」
少尉「即戦力の手が足りなくてさ。キミはシルバーイーグルスとの付き合い長いから、多少は勝手がわかっているだろう?アチハくんとユリコくんもキミが良いみたいなんだよ。」
タイゾウ「あの少尉。私の定期試験の成績はご存知ですか?」
シルバーイーグルスの隊員はTOP5%から選ばれる。
タイゾウの成績は真ん中よりちょっと下だ。
少尉「そうなんだよね、正隊員ってわけにはいかなくてさぁ。情報(課)からの応援ってことで参加してくれないかなぁ。」
タイゾウ「いやぁ、シルバーイーグルスはちょっと、レベルが違うといいますか・・ヒッ!!」
少尉を囲む女垣から憤怒の炎が、まるで・・まるで太陽の紅炎(プロミネンス)の様に激しく、爆発的に突出を繰り返している。
”少尉に逆らうんじゃねぇ、このドサンピン!!”断ったら・・病院送りだ。
アチハ「頼むよタイゾウ。俺、もう3日間家に帰って無いんだよ。」
タイゾウ「うわぁ、キツいですね。」
ユリコ「私もこの5日間、やばいネタ(うわさ)を広める活動が滞ってて・・」
タイゾウ「それはいっそ自然消滅目指して良いだろ!止める方向へ行こうぜ!ユリコさんファイトっ!」
そこに少尉の笑い声。
少尉「仲いいな。やっぱキミかな?な、た・の・む・よ」
その言葉を契機に、少尉を囲む女垣から突出する怒りのプロミネンスが・・いくつも、いくつもねじれ、重なり交わり、巨大な沙羅曼蛇へと変異した(ミッソー、ムーカポー、ッポォリイザー)。
女性隊員たちは皆、戦闘訓練を受けている。
半分近くはヘタレのタイゾウより確実に強いだろう。
そんな集団が今、明確で純粋で迷いの無い殺意を自分に向けている。
彼女たちは少尉のためなら、笑って命を投げ出し、また、犯罪すらいとわないだろう。
逆らったら、棺おけ入りだ。
タイゾウ「わ・・わ、わわ・・わかりました!でも、引継ぎがあるので今日一日だけ情報課に戻ってもよろしいでしょうかっ!!」
ズアアアアアアアアッッ!!
作戦室内を縦横無尽に荒れ狂う数匹の沙羅曼蛇!!
タイゾウ「ヒィィィィッッ!!静まりたまええぇぇっっ!!!!悪霊退散!!」
ばしゅううぅぅぅっっ・・
消えた、
・・・・
んみー、ちゅいっ、ちゅぃ・・ちちちちち・・
あまりの静寂に、作戦室で動作している特殊機器の小さな動作音が聞こえる。
少尉「ああ、もちろん。では明日からよろしく・・快諾いただけて、よかった。」
タイゾウ「で、では今日はこれで・・あっと、そう言えばさっき・・」
アチハ「フルヤのことだろう?」
タイゾウ「ええ、」
アチハ「辞めたよ、」
タイゾウ「そ、そうなんですか?でも、何で・・」
アチハ「二人(隊長とイシイ隊員)の・・最後の顔を思い出して、そして、気付いたんだとさ。俺たちの乗ったグライダーを押し出した後・・爆発の煙が瞬時に溶け濁る海水。大急ぎで外出でたから酸素ボンベも背負っていない。その状態で隊長とイシイさんの目はただ、グライダーの進路を気にしていた。俺たちが海底基地にたどり着けるか、作戦は成功するのか。」
タイゾウ「え・・と、つまり?」
アチハ「あいつは頭が良いからな、こう言ったよ。”俺達と1発のミサイルの違いは何かな?”ってさ。違いを答えなきゃまずいとあせったが、思い浮かばなかったよ。敵を確実に倒すために打ち出すミサイルは決して戻ってこない。なるほど、フルヤめ上手いことを言う。心の支えがいないからな、考え方はネガティブになるよ。」
き、聞くのではなかった。
心にずっしりときた・・

宇宙の家庭料理さくらで遅い晩飯を食べているタイゾウ。
引継ぎの業務が長引き、途中で抜けてきた。
チャイにはすでに電話で伝えてある。
チャイの晩御飯はもり香に出前をお願いした。
がらがらと戸が開く、もり香が帰ってきた。
は、速ぇ・・もう、行って来たのか?
ええと、距離÷時間で・・平均時速ひゃく・・うええっ!?信号、ちゃんと止まった?
もり香「ほんと出前なんて、今回だけ特別だからね。」
タイゾウ「あ、ああ、わかってるよ。ありがとう。」
もり香「ま、ついでにパパド帰してこれたからいいけどぉ。」
えっ!お前の家もまわってきたの!方向違うじゃん!!
道はそんなに空いて無いし信号もある街中で・・どこをどういう風に走ってきたのだ?
空飛んだの!?あ~ぁ・・やっぱコイツ、ただものじゃないわ。
タイゾウ「なぁ、もり香。」
もり香「しらない、わからない。」
って、そんな面倒くさそうに言ってくれるなよ。
タイゾウ「・・まだ何も言って無いだろ。あのさ、お前カートレースのチャンプだったじゃん。」
もり香「それが何よ。」
タイゾウ「やっぱ努力したのかな?血が滲んじゃうくらいの。」
もり香「さぁ・・どうだったかしら。」
タイゾウ「才能、だったのか?」
もり香「あのころはカートのことしか頭に無かったから、努力したかなんて覚えて無いわー。」
タイゾウ「そうだよな、大事なのはそういった盲目的ながんばりだよな!」
もり香「ん~?才能は重要よ。自分にあってなきゃ1番なんて取れないわよ。」
タイゾウ「・・・・」
もり香「さっきからさぁ、どうしたのよ?」
タイゾウ「俺の何倍も仕事できる人が逃げ出した役目なんて・・無理だよな?」
もり香「無理だってわかるの?」
タイゾウ「・・・・・・・・・・・ぁぁ(肯定)、」
もり香「じゃあ、あたしに聞くまでも無いじゃない。無理よ。」
タイゾウ「そ、そうか。」
その、うじうじした様子にイライラするもり香。
もり香「ほんとバカじゃないの!?言っとくけど、あたしのレースで完璧だったものはひとつも無いからね!いつも問題を抱えていて、でも皆、1番しか見えてなくて・・そのためには何でもやって、何でも差し出して。もう二度とあんな気持ちにはなれないわ。”何か違う”って思っちゃったから。どれだけ誉められても、”こうじゃないんだ”って。」
タイゾウ「そっか。」
もり香「実は正解なんて無かった。そ、それだけよ。」
タイゾウ「へー、なるほどな。」
徐々に笑顔が戻ってくる。
もり香「な、なによう。」
タイゾウ「いや、まじで参考になったわ。お前さ、軽くいい女だなww。」
もり香「はぁ?」
止まっていた箸が進む。
タイゾウ「うまいな、これ。」
もり香「早く食って帰れ。仕事、残ってるんでしょ。」
いつもどおり、二人の会話を知らぬふりをして聞いている、ちるばぁちゃん。




第13話:円盤が来た 2/3

2010-01-11 20:28:54 | 日記


【予選2日目-バンザイバレット】
パパドの2回戦(第18試合)。
「パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!」
「パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!」
「パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!」
「パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!パパド!」
興奮し叫ぶおっさん達。
おじんキラー、バンザイバレット参上。
ただでさえおっさん人気高かったのだが、4足歩行にしてからさらに倍のおっさんをとりこにしてしまった。
もう、子育て終了して金をもてあましている連中である、なんか金のかけ方が違う。
撮影しているカメラも、あったりまえに一式20~40万円。
買い占めた座席の一角に放送局を特設。
中継カメラやマイクも本格的。
民放全国区レベルだろ、もはやこれ。
パパドファンページで放送される。
番組名は”パパドバンザイ”。
実況「はい始まりました、トリプルエックス予選2日目の第18試合。われ等がパパドくんの2回戦です。えー、カメラに今4人映ってるかと思います。いつもの実況と解説の2人以外に2人。すごい方が応援に来てくれました。私、か・な・り緊張しております。フランスのベルティノー将軍です。」
ここで拍手・・つか実況、てめぇ絶対プロだろ。
パパドについて熱く語る将軍と、それを伝える通訳の男。
・・なにこのゲスト、民放全国区ですら呼べない超大物。
その一部始終を呆れ顔で見ているパパド。
パパド「あのぱげまだいたのか?」
勲章たくさんぶら下げている暇があったら早く帰れ。
そして、野太いヒゲを頭部に移植する改造手術をすぐにしろ。
犬耳少年は、そう思った。
パパド「それにしても、命拾いしたな・・チャイ。」
悪の四天王でしかない表情で、客席にタイゾウと並んで座るチャイを見る。
チャイの2回戦は第19試合、1つ違いでパパド対チャイは実現しなかった。
参考タイム40秒のコース。
パパドの相手は1日目18位。
先攻を譲る。
1stアタックで相手が37秒6をだす。
バンザイバレットは、37秒5。
2ndアタックで相手は渾身の走りで37秒4。
バンザイバレットは、37秒3でフィニッシュ。
たまきちの全力はおそらく36秒前半。
相手のタイムに合わせて、必要最低限だけがんばった。
タイゾウ「え、えげつねぇ~。」
相手が最も嫌がる方法で勝つ、純度の高いヒールっぷり。

容赦の無い”過剰殺”東方を筆頭に、”えんがちょ元素”ぴろウき、”心折る凶弾”パパド、”呪いの心臓”チャイは悪の四天王と呼ばれた。
対して、”頂点”やっさん、”斜め上の女神”なな、そして”東のバカ殿”三四六はベビーフェイスに分類された。

予選2日目が終了し、決勝へ進出するチームは次の通り。

    《登録名》   《競技者》 《計測対象》
 1位:スタンダード   やっさん マーチャンダイス7X(ミックス)
 2位:Gガンズ     東方   マスターヤマト(ドーベルマン)
 3位:幼馴染√     ぴろウき ローガン(ジャーマンシェパード)
 4位:P.M.P.1  三四六  獣皇丸(シベリアンハスキー)
 5位:バンザイバレット パパド  たまきち(柴犬)
 6位:S-OS     なな   セブン(ブルテリア)
 7位:人数合せ     穴梅   テトリス(ウェルシュ・スプリンガー・スパニエル)
 8位:はぁともよお   チャイ  シュリケン(ミニチュアダックス)


※えっしーにオーダー無しで絵を描いてもらうとこうなるのはわかっていたこと・・だから・・この絵はおでのせいです。お食事中の方いらっしゃいましたらお詫びさせていただきます。申し訳ありませんでした。


【円盤が来た】
月の横を通過する、テー家要人用装甲宇宙船オンバク号と護衛の戦艦4隻。
日本のプロンプト(入国申請用衛星)へアプローチする。
オンバク号の艦橋に現れた狼頭王。
狼頭王「地球か、遠くから見る分には宝石だったが・・ほら、こっちに来て見てごらん。」
入り口の陰に隠れている小さな影を誘うが、廊下を戻っていってしまった。
艦橋には屈強な軍人しかいない。
強面の彼らに怯えたらしい。
オンバク号発進時にこっそりと忍び込んでいた、その、愛らしい後姿。
狼頭王「ん?」
オンバク号に寄り添う小さな人工衛星。
文月家の家紋。
なな「気づかれましたわ。」
ぴろウき「なぜ肉眼で見つける・・」
半分呆れた様子でネットブックの小さめのモニタを見ると、ああ、たしかに、狼の目がカメラのレンズの中心を睨んでいる。
気がついてる、気がついてる。
なながネットブックを奪い取り操作、自家用衛星はオンバク号から離れてゆく。

入国申請はやはり、オンバク号だけが通り戦艦4隻は認められなかった。
船長の報告に軽くうなづく狼頭王。
まぁ、想定したとおり。
戦艦は待機、オンバク号のみ大気圏に突入。

狼頭王が去ったのを確認し、自家用衛星がまた、戻ってくる。
戦艦の周りをうろちょろしている。
なな「全長5,210m。これが散歩する惑星に何隻入っているのかしら。」

父島、宇宙港。
静かに着陸するオンバク号。
機動隊による厳戒態勢の中、狼頭王が降りてくる。

堂々とした立ち姿、振る舞い。
彼が王以外の何であるというのか?
彼を見た者、声を聞いた者、彼に触れた者、彼の息遣いを感じた者・・皆、姿勢をただす。
アオ・アン・ニーの取締役が出迎える。
日本の外交官が付き添い、入国審査(というか滞在期間中の対応について説明)のため応接室へ向かう。
それにしてもさすが狼頭王、地球に来るのは初めてのはずだが、強制学習器のなまりが無い。
完璧な日本語だ。
応接室には正装のパパドが待っている。
パパド「オトーサン。」※狼頭王の本名はオトーサン・ビリヤーニ・タンドールです
お父さんっこだから、うれしくて、うれしくて、興奮して涙があふれてくる。
狼頭王「今、お前がすべきことは涙を流すことか?」
泣き顔を見せぬよう下を向き、必死で感情を抑える犬耳少年。
パパドの一言をじっと待つ父。
やっと顔を上げる。
パパド「父上、お待ちしておりました。どうぞソファーのこの位置にお座りください。この国ではだれがどこに座るのか細かく決まっているのです。」
狼頭王「わかった。」
パパドが示した上座に座る。
狼頭王「パパド。」
パパド「はい。」
狼頭王「少し、背が伸びたな。」
やった!これは絶対誉められた。うれしい、うれしい。
じゃ、じゃあ、ぼくも座ろっかなー・・オトーサンの隣に。
と・・あれ?袖が引っ張られている。
何かに引っかかったのかな?
おや?ちっちゃい女の子が僕の袖を握り締めているぅ~。
しかも、見たことあるぅ~・・その子に関する悪い思い出だけが脳内によみがえる。

※ちゃんとオーダーだすと真っ当に描いてくるのに・・わからん。

???そもそも、いい思い出0か?100%悪い思い出だけか?
ぎぎぎぎぃ~・・蝶つがいのさび付いたドアの様にぎこちない動きで、現実から目をそむけるために首の向きを変えるパパド。
パパド「ぼくは今、何も見なかった。」
握られている袖を引き抜くため、反対の手をゆっくりと添えてゆく・・のだが、小さい手でぎゅっと握りなおされた。
ちっちゃい子って、結構本気で握るよね、手離さないっつか強いよね・・。
ワタシ「ワタシ、スワル、どこ?」
パパド「お、お前はオンバク号に戻っていなさい。」
ワタシ「なっでぇー!?スワル!スワルッ!!」
パパドの袖を握ったまま、腕をぶんぶんと激しく振る。
で、パパドが指差した席に座ったのだが、パパドが(ワタシから離れた場所に)座ると、てこてことやってきて、パパドの膝に座った。
パパド「天敵きたー・・」
げっそりとうつむく。
ワタシ「にぃちゃ、ひだっっ(ひどい)・・」
狼頭王「まだ小さいのだから許してやれ。ワタシの面倒はお前が見なさい。」
パパド「僕の平和・・しゅぅーりょぉー・・・・」
こころに吹きすさぶ、冷たく乾いた木枯らし。
パパドの妹、名前はワタシ・ビリヤーニ・サグマトン。
自他とも認める強烈な、お兄ちゃんっこである。


店員「いつものでよろしいですか?」
すっかり常連となってしまった、渋谷モンゴリアンタワー近くの喫茶ルノワール。
ネットブックを開き、スパイ衛星で集めたデータを見るぴろウきとなな。
なな「散歩する惑星、全長5kmの戦艦。地球に、テー家に立ち向かえる兵器は無いわ。」
ぴろウき「いや、ある。」
なな「!?」
ぴろウき「空中要塞がな。」
なな「シルバーイーグル1号は、先日の海底基地との戦いで、今後は今までと違った役割で活躍するであろう状態に・・」
ぴろウき「だから!解り難い上にめんどくせーよ変態!ふつうに”大破し再起不能”って言えよ!!」
なな「それに、FM7クラス(空中要塞の設計規格)は宇宙での活動を考慮していなかったはずよ。」
ぴろウき「んん゛~?あれ?そうだったかな?」
なな「ええ、シルバーイーグル1号のデータは全て頭に入っているわ。」
不思議そうな顔でななを凝視するCEO。
なな「どうしたの?」
ぴろウき「いーや・・そうか、空中要塞に宇宙は無理か・・ククク、宇宙は!無理ッッ!?ふっ・・だあーっはっはっはっ!俺のターンは続いているぜ。」