ロンドンを「倫敦」という漢字の当て字で書かれることがあるということは多くの方がご存じでしょう。漢和辞典の外国の地名の漢字表記が載っている付録で偶然見たんだけど、「龍動」とも書くそうです。二つとも中国で考えられたもの。
英語のLondonは[ˈlʌndən](カタカナにすると「ランドン」が近い)と発音する。中国語で「倫敦」はLúndūn(ルゥンドゥン)と発音し、「龍動」だとLóngdòng(ロンドン)と発音する。どっちが英語のLondonの発音に近いかというと、一見「龍動」のほうが近そうだけど(日本語の「ロンドン」の発音に近い)、母音の口の形や「n」と「ng」の違いを考慮すると、どっちかというと「倫敦」のほうが英語の原音に近い。日本でも「倫敦」はよく見るけど「龍動」はまったくというほど見ない。現代中国語でも普通は「倫敦」と書く。
でも、漢字の意味を考えると、私は「倫敦」より「龍動」が好き。
「倫敦」は「倫(のり)が敦(あつ)い」という字だから、「紳士の国」を体現しているように感じる。でも、私はイギリスの紳士の国というお国柄があまり好きではない。レディーファーストの風習、あと、イギリスでは男子のほうが女子よりも厳しくしつけられるということを本で見たことがあって、男性が肩身の狭い思いをする社会という印象があるから。言葉でも「紳士・淑女の国」ということも中にはあるけど、単に「紳士の国」ということが圧倒的に多いし。
また、イギリスは貴族制度や貴族院が存在する時代遅れの世襲的階級社会で、先進国の中でも機会均等に欠けた社会だと思う。
一方、「龍動」は「龍が動く」という字で、龍(竜)は中国に伝わる想像上の生き物だから、中国的な雰囲気を感じる。中国は昔科挙が行われ、家柄に関係なく平等に能力のある人を起用する仕組みが古くから整えられていた。
イギリスは中国を手本にして変わっていくべきだと思う。具体的にいうと、王制から共和制に移行し、貴族制度、貴族院をなくし、レディーファーストは重視されない世の中になるのが望ましい。もちろん、共産党の一党独裁や、最近ニュースで取り上げられている中国人の悪いマナーは手本にすべきじゃないけど。
一連のことから、これからのロンドンは「龍動」の字が体現するような都市になってほしい。「紳士の国」の伝統にとらわれずドラゴンのように(?)自由な発想をし、世襲的階級制度のない機会均等で流動的なロンドン、そしてイギリスになってほしい。
ロンドンとは関係ない話になるけど、沖縄の那覇市若狭に龍柱を建てることに、私は大賛成です。日本にも中国を手本にして変わっていくべきだと思うこともあって、中国的なものを取り入れるのは良いことだと思う。
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