イランとパキスタンではイスラム教徒が他の宗教に改宗するなどしてイスラム教から離脱すると死刑になるということを、ウィキペディアで調べて知った。イランというと比較的進んだイメージがあったので、これを知って驚いた。まあイランは1979年にイラン・イスラム革命があって、革命後シャリーア(イスラム法)を適用してよりイスラム色が強い政治になったからね。
マレーシアはイスラム教を国教としているが、憲法で信教の自由を保障している。イスラム教徒の割合は約60%。だが信教の自由も完全とは言えない。他の宗教からイスラム教への改宗や非イスラムの宗教間での改宗は自由だが、イスラム教から他の宗教へ改宗するとなると、イランやパキスタンのように死刑になるということはまずないが、(身分証明書に信教の記載があって、登録変更を認めるかどうかで)裁判を受けなければならず、普通の裁判所で裁判を受けると宗教裁判所に回され、宗教裁判所で審判を受けなければならない。イスラム教の信仰を取り戻すための宗教リハビリ施設というのもあって、改宗などでイスラムからの離脱を希望した人が宗教裁判所で裁判を受けた結果宗教リハビリ施設への入所が命じられることもある。こういった「イスラム教徒にだけ改宗を禁止する風潮」に対する不満の声もあがっているようだ。
憲法における「マレー人」の定義で、「イスラム教徒であること」もマレー人であることの条件の一つとされているため、イスラムからの離脱は「マレー人」というアイデンティティからの離脱を意味し、マレーシア社会でそれはあまり歓迎されないということでしょう。「マレー人」の定義が信教の自由のネックになっているようだ。
マレーシアでは中東諸国に比べて戒律が厳しくないものの、国の法律によってイスラム教徒にはある程度戒律の遵守が要求される。たとえば、イスラム教徒でラマダンに断食しない者は逮捕されることになっており、またカジノはあるがイスラム教徒はカジノでギャンブルをすることは禁止されている。ただ、ネットサーフィンをしていると断食を中途半端にしかやってないという人もいたから、昔と変わってきてるのかな。
インドネシアは国家公認の宗教というものがあって、イスラム教、ヒンドゥー教、カトリック、プロテスタント、仏教、儒教の6つが国家公認の宗教だ。儒教は近年新たに追加された。インドネシアでは信教の自由は保障されているが、宗教を信仰することが義務で無神論は違法である。かつては5つの公認の宗教から選択しなければならなかったらしいが、現在は公認の宗教以外の「その他」の宗教の信仰も可能。フェイスブックに「神は存在しない」と書き込んで逮捕される事件も発生している(フェイスブックで逮捕された無神論者 - ニューズウィーク)。ウィキペディア「インドネシア」によると、2007年の統計データによると無宗教が1.9%だったので、無宗教はギリギリセーフなのかな。
公認の宗教に儒教が追加されたのは、華人が多いことを反映してのことでしょう。新たに追加されたのが道教ではなく儒教という点も珍しい。儒教は宗教という意識は薄く、どちらかといえば哲学、文化に影響を与えた思想という側面が大きい。儒教の影響が最も強い韓国でさえも「自分は儒教の信者だ」という人はきわめてまれ。ただ、儒教は「礼儀の宗教」で徳の高い宗教であるため、それがメリットになるでしょうね。また、華人にはキリスト教徒も多いという。
インドネシアではマレーシアと違って自身の信仰する宗教の戒律を守るかどうかにまで法律が介入することはないようだ。ラマダンの日中にお茶を飲んだりする人も少なくない。
インドネシアでは改宗する人も多く、特にイスラム教からキリスト教への改宗が多い。
東アジア(日本、韓国、中国など、漢字圏)は世界的に見て無宗教の割合が多い地域である。ただし、台湾は占いや開運術が盛んで信仰心が厚く、何らかの宗教を信仰している割合が86%(ウィキペディア「台湾の宗教」より)と東アジアの中は最も高い。
東アジアとは対照的に、東南アジア(仏教が中心のタイ、カンボジア、ミャンマー、イスラム教が中心のマレーシア、インドネシア、ブルネイ、カトリックが中心のフィリピンといった国々)では、宗教を信仰するのが当たり前という感覚があり、無宗教だと言うと人間性が疑われる。東南アジアでもシンガポールは無宗教の人も少なくなく(17%、ウィキペディア「シンガポール」より)、シンガポールでは無宗教でも肩身の狭い思いをしないでしょう。
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