いつも書評を書いてくれてる冷布亭氏の友人。彼自身もチャラいけれど、友達もかなりチャラいぞ。
お聞きしたところ服とバイクが大好きとのこと。バイクの事を語らせると話しが止まらなくなるので、
途中で止めてもらった(笑)。ジャケットとハンチング+白シャツというのは簡単におしゃれに見える
組合せだからすぐマネできそうである。彼のチャラいところは、さらにチェックのパンツを合わせているところ。
でも、足元を黒い靴で締めているので、全体に落ち着いた雰囲気に仕上がってるね。
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チャラジーノ・ブックスタンド by 冷布亭
第9回
太田和彦「居酒屋おくのほそ道」 画=村松誠 文春文庫
BS-TBSで一番人気の番組は「吉田類の酒場放浪記」だと聞きますが、太田和彦には「ニッポン居酒屋放浪記」三部作「立志編」「疾風編」「望郷篇」があって、「大阪でタコの湯気にのぼせ」たり、「函館のイカソーメンに背筋つめたく」なり、「松本の塩イカに望郷つの」る、これは本で読む酒場探訪記の名作だと思います(現在は「自選ニッポン居酒屋放浪記」一冊に凝縮されています。新潮文庫刊)。
その太田和彦が芭蕉の足跡をたどり、東京・北千住をかわきりに、会津、仙台、一関・・・と、俳句を詠みながら土地土地の酒場行脚をするのが本書です。曽良役として同行者はイラストレーターの村松誠、マンガ雑誌「ビッグコミックオリジナル」の犬、猫の表紙を描いている人ですが、俳句は断然村松さんのほうがうまい。それにしても、吉田類といい、太田、村松コンビといい、酒場好きには俳句趣味がよく似合います。もっとも俳句よりは酒というふたりは60歳を過ぎ、吟行ならぬ酔行ぶりは完ぺきなチャラ爺で、芭蕉曽良というより弥次さん喜多さんです(このコンビで「東海道居酒屋五十三次」小学館文庫もあり!)。さらに、「おくのほそ道」では行かない盛岡、弘前まで脚をのばします。
盛岡では、沖縄の酒、泡盛「新南雪」に出会います。平成5年戦後最悪の冷害凶作となった岩手県は種籾も確保できませんでした。このままでは翌年の田植えも不可能となるところでしたが、1月に種をまけば4月には米の収穫ができる沖縄・石垣島の協力を得て、
「岩手34号」を石垣島の一番良い田にまくことができました。4月、収穫した種籾を持った石垣島の人々が花巻空港に降り立つと、山のように集まった岩手の農家の人々が日の丸の小旗を振って出迎えたそうです。石垣島の「請福酒造」はその岩手米で泡盛を仕込み「南雪」と名付け、岩手農協がさらに特別に作ってもらったのが「新南雪」だったのです。
本書は「オール読物」で連載、2010年4月号の金沢が最終回。文庫刊行を予定していたところ、東日本大震災がありました。太田は震災後、仙台、塩釜に馴染みの居酒屋、酒造店を訪ね、それをあとがきに書いています。太田和彦の酒場放浪は言うまでもなく、いい酒、旨い肴、そして素晴らしき人と出会う旅なのです。