波の音
芦ヶ原 翔(あしがはら しょう)
若林 哲郎(わかばやし てつろう)
桜子(さくらこ・哲郎の姉)
各務 勇雄(いさお・桜子の婚約者)
事の発端は、哲郎の姉(桜子)だった。
「哲郎と二人で、別荘にですか?」
高校最後の夏休み、俺『芦ヶ原 翔』は幼なじみで優等生の『若林 哲郎』の家に宿題を片付ける為に来ていた。
いい加減、宿題をこなすだけの毎日に飽きていたのだが…。
「…いきなりですね」
二週間後に式を挙げる前に、身内で集まりパーティをするので来て欲しいという誘いだった。
「来てくれるわよね?」
彼女はお嬢様っぷりを思う存分発揮した。
八月×日 某所
半ば強引ともいえる桜子の誘いに乗り、四時間かけてようやく目的地である別荘に着いた。
「(相変わらず、無駄にでかいよなぁ…)」
桜子とその婚約者の為に建てられたそれは、他より遥かにでかかった。一般的な家庭で育った翔にとって、若林家だけでもかなりの大きさだというのに、それと変わらぬ大きさの別荘。自分の家の何倍の大きさなのだろうか。
そして、その別荘には当然のように使用人まで無駄にいた。
「好きなお部屋を、お使いください」
「落ち着かない」
別荘に来て、一日目。今日は身の回りの荷物の整理だけをすることにした。若林家の使用人がしてくれると言ったのだが、無論断った。自分でするものだと思うし…。
二人っきりと、勘違いなりに期待していただけに、使用人がいる現状にうんざりした。
哲郎は一時間ほど前に執事に呼ばれ、ここにはいない。
「宿題でもやっちまうか」
不謹慎ながら、そこら辺はしっかりやるタイプの翔だった。夕食まで少し時間がある…
「…芦ヶ原」
ノックの音で目を覚ました。宿題の途中で眠ってしまったらしい。
芦ヶ原 翔(あしがはら しょう)
若林 哲郎(わかばやし てつろう)
桜子(さくらこ・哲郎の姉)
各務 勇雄(いさお・桜子の婚約者)
事の発端は、哲郎の姉(桜子)だった。
「哲郎と二人で、別荘にですか?」
高校最後の夏休み、俺『芦ヶ原 翔』は幼なじみで優等生の『若林 哲郎』の家に宿題を片付ける為に来ていた。
いい加減、宿題をこなすだけの毎日に飽きていたのだが…。
「…いきなりですね」
二週間後に式を挙げる前に、身内で集まりパーティをするので来て欲しいという誘いだった。
「来てくれるわよね?」
彼女はお嬢様っぷりを思う存分発揮した。
八月×日 某所
半ば強引ともいえる桜子の誘いに乗り、四時間かけてようやく目的地である別荘に着いた。
「(相変わらず、無駄にでかいよなぁ…)」
桜子とその婚約者の為に建てられたそれは、他より遥かにでかかった。一般的な家庭で育った翔にとって、若林家だけでもかなりの大きさだというのに、それと変わらぬ大きさの別荘。自分の家の何倍の大きさなのだろうか。
そして、その別荘には当然のように使用人まで無駄にいた。
「好きなお部屋を、お使いください」
「落ち着かない」
別荘に来て、一日目。今日は身の回りの荷物の整理だけをすることにした。若林家の使用人がしてくれると言ったのだが、無論断った。自分でするものだと思うし…。
二人っきりと、勘違いなりに期待していただけに、使用人がいる現状にうんざりした。
哲郎は一時間ほど前に執事に呼ばれ、ここにはいない。
「宿題でもやっちまうか」
不謹慎ながら、そこら辺はしっかりやるタイプの翔だった。夕食まで少し時間がある…
「…芦ヶ原」
ノックの音で目を覚ました。宿題の途中で眠ってしまったらしい。