(湖面近くのマクロスのデッキ、未沙、淋しそうに風に吹かれてる(第36話 冒頭のシーン参照))
未沙、呟くように小さな声で歌いだす。
未沙 ♪何であいつは ああなの
「よろしく哀愁」郷ひろみ
わざと意地悪ばかり
優しい言葉
たまに欲しいのに
私 年上だから
あいつ 甘えてばかり
折れそうな この気持ち
気づきもしないで
(クローディア、未沙の後からそっと近づく)
会えない時間が
愛 育てるって
夢 見たのは
いつだっけ?
友達と恋人を
器用に 使い分けて
これ以上は 御免よ
あいつに サヨナラ
会えない時間が
愛 育てるって
夢 見たのは
いつだっけ?
未沙、堪えきれずに詰まる。
クローディア ♪もっと上手に 甘えたり
「ワインレッドの心」安全地帯
もっと喧嘩も したかったわ
忘れられない 想い出は
未来なんて ないのよ
それでもいいの?
恋なんて どこかで 傷つけあうのよ
あなたの 心みたく もろいものだわ
私には 解るの 自信をもって
あの子に 似合うのは あなたよ 泣いちゃ駄目
(クローディア、デッキの手摺りに手を掛け、並ぶようにして空を見上げる)
年上 年下 何が悪いの
飾らない あなたの 素顔のままで
誰でもない あなたが とても素敵よ
自分の心へ 静かに 聞いてみて
クローディア「大事な人ってね、未沙、失くして初めて解るものよ、あなたには・・・、
あなたには、こんな思いをさせたくないわ」
未沙 「クローディア・・・」
クローディア「一度、ちゃんと話し合ってみたら、怖がらずに。それからでも遅くはな
いんじゃない。それでも・・・、それでもどうしても駄目なら、仕方ないじ
ゃない」
未沙 「・・・」
クローディア「ほら、来たわよ」
未沙 「!」
クローディア「あなたを探しに来たのよ、ふふ、お邪魔虫は退散するわ」
去って行くクローディア、入れ替わるように未沙へ近づく輝。
輝 「ごめん、未沙」
未沙 「・・・」
輝 ♪少佐が立っていた
「真赤なスカーフ」ささきいさお
いつものブリッジ
喧嘩したけど
頼りにしていた
よそ見したのは
本気じゃないさ
ごめんよ 君には
わかって欲しい
旅立つ 君のそばにいて
いつまでも 君を守りたい
ラララララ ラララララ
だから 許してほしいんだ
未沙 ♪ため息のでるような
「恋のバカンス」ザ・ピーナッツ
あなたの意地悪に
甘い夢を見ていた
私が馬鹿ね
銀色に輝く
翼 広げながら
私を迎えに来た
遠い 出来事
アポロから 帰るのを
待ちわびた あの日々は
私だけの 思い出
虚しくなるわ
ああ 恋のよろこびは
一人芝居だったわ
甘い夢を ありがとう
私 馬鹿だわ
未沙、輝の横をすり抜け立ち去ろうとする。
輝、その手を摑む。
輝 「御免、未沙。君を傷付けて本当に悪いと思ってる、御免、謝るよ」
未沙 「輝、もう、いいのよ、これっきりにしましょう、この辺で」
未沙、再び歩き出そうとする。
輝の腕に力が入って、ぐっと未沙を引き寄せる。
輝 「行かないでくれ、未沙。君はまだ知らないだろうけど、メガロードのブリッジ
は危険なんだ」
未沙 「?、何の事、メガロードのブリッジが危険て」
輝 「まだ解らないけど、とにかく危険なんだ」
未沙 「何言ってるの、変よ、輝。もう、離して!」
輝 「だから!とにかく、未沙と一緒に行きたいんだ、メガロードでも何処でも!
君をずっと守っていたいんだ」
輝の手に、また力が入り、今度は未沙を強く抱き締める。
輝 「未沙、お願いだ・・・」
未沙 「・・・信じるもんですか!もう、こんな思いをするのは厭なの」
輝 「信じてくれよ、約束する」
未沙 「何を、信じろって言うの」
輝 「僕をだ・・・、僕を、もう一度だけ信じてくれ」
未沙 「・・・」
未沙、輝の胸で、そっと歌いだす。
未沙 ♪もし 私の 願いごとが
「翼をください」赤い鳥
叶うならば
翼が 欲しい
いつも あなたが
駆ける空を
あなたと二人
飛んでみたいの
この大空に 翼をひろげ
飛んで行きたいな
あなたといつも 微笑ながら
手を取り合って
飛びたい
輝 二人 背中に 翼をつけて
飛んでいこうよ
ちからのかぎり
心の空に 翼をひろげ
飛んでいかないか?
心を合わせ 思いを合わせ
手を取り合って
飛ぼうよ
輝・未沙 心の空へ 翼をひろげ
今 飛び立とう
心を合わせ 微笑ながら
手を取り合って
飛ぼうよ
二人、そっと見詰め合う
未沙 「本気なの?」
輝 「当り前じゃないか!」
未沙 「信じて・・・みようかな、でも、これが最後よ」
輝 「解ってる」
二人の唇が熱く重なる。
(フェード・アウトするように暗転、幕が降りる)
(直ぐにまた、幕が上がり明るい光に包まれる、
誰もいないデッキへ、キャスト、それぞれ歌いながら順番に登場)
三人娘 ♪意地悪 ヤキモチ 喧嘩
「東京ラプソディ」藤山一郎
クローディア ヤキモキ ハラハラ したわ
総司令 ようやく 提督に 父上に
報告が おめでとう
(合唱) 花の都 恋の都
夢のパラダイスよ
花のマクロス
(輝、未沙 舞台の両袖より登場)
未沙 あなたと私で 二人
輝 これから いつでも 二人
輝・未沙 果てない 宇宙でも 宇宙でも
怖くない 二人なら
(全員合唱) 花の都 恋の都
夢のパラダイスよ
花のマクロス
花の都 恋の都
夢のパラダイスよ
花のマクロス!!
(END)
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(エンディング・新バージョン)
輝・未沙 果てない 宇宙でも 宇宙でも
怖くない 二人なら
花の都 恋の都
夢のパラダイスよ
花のマクロス
輝 「それでは、今日、この狭いオーケストラ・ボックスで演奏してくれた方達、パート・リー
ダーだけですが、紹介します」
未沙「まず、1stバイオリン、マクシミリアン・ジーナス!」
輝 「ドラムス・・、今回、出番がないとブーたれてました、僕の先輩、ロイ・フォッカー!」
未沙「ギター、コンマスのハニー、ミリア・ファリーナ・ジーナス!」
輝 「パーカッション、さっき、特大のステーキを平らげてました、柿崎速雄!」
未沙「ベースは勿論、Mr.技師長!」
輝 「今回の為に、わざわざマイクローンになって参加。サックス、親分・カムジン!トランペ
ット、オイグル!、チェロ、ラプラミズ姐さん!」
未沙「そして最後に・・・私の父です、ピアノ、早瀬隆司!!」
(キャスト全員合唱)
花の都 恋の都
夢のパラダイスよ
花のマクロス
花の都 恋の都
夢のパラダイスよ
花のマクロス!!
(END)
(H22.12.7追記)
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Special Thank‘s
貴重な時間を使って読んで頂き、ありがとうございました。
今回のSS、切っ掛けは、いろはさんの「栞の秘密」を無断で替え歌ミュージカルにしちゃったら、なんて実に厚顔不遜な思いつきから始まりました。
1曲目は割りと上手くいったと思ったのですが、2曲目であらぬ方向へ、それがそのまま修正も効かず転がり落ちていって、結局、似て似つかない作品に。(笑)
ヒントを頂いた上に、イラストまで描いて頂いた、いろはさんに感謝です。
ありがとうございました。
H22.12.2 桜陰堂