カメラを持って出掛けよう

仕事と音楽の合間に一眼レフとコンデジで撮った写真を掲載しています。

爽快

2020年09月18日 | 播州


日本列島の上空で太平洋高気圧と大陸高気圧のせめぎ合いが起こっているようで、せっかく秋らしくなった爽快さが
太平洋側から湿った空気が流れ込んで蒸し暑く不快が帰って来ました。


小説「Obralmの風」




翌朝、窓を開けた岳は甍の向こうに雄大に聳える大山の美しさに眼を奪われた。
(大山か・・・)
岳は遥か昔、友人の新車で大山を訪れたことがあった。
しかし今では当時のことを何一つ覚えてはいない。
ただ大山寺の駐車場に車を止めたことは薄っすらと覚えているが、その前後の記憶は完全に消え去っている。
岳は昨日列車に揺られながら、どこか静かな海辺に行き自分の定めと今後残された時間についてゆっくり考えてみようと思っていた。
でもこうして晴天にくっきり浮かび上がる大山を見ると、山の懐で過去の記憶を呼び戻すのも悪くはないと別の思案が持ち上がって来た。
そう思い直すと岳は朝食後大山行きのバスに乗った。
バスは山麓から雄大な景色の中を登って行く。
自然の多いこの山が岳の病を癒してはくれないだろうか、この山野で何事にも囚われず時間すらも忘れ去って生活すれば自から病は快癒するのではないだろうかと救いを求める心が滲み出てくる。
裾野を随分登った所で岳は左の車窓に小さな欧州風造りのペンションのような建物が目に留まった。
その景色が通過しても何故か岳の心に残った。
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