月の出る夜は ―SACRA ついのすみか―

昔、札幌で歌ってた人が期間限定で書いてみます。
オバタですが、何か…?

【小話】 あの曲の聴きどころ「残り3曲」

2016年03月21日 | ついのすみか小話

SACRA『ついのすみか』、先日発売となりました。ありがとうございます。

さて、喜びを叫ぶ前に。


【小話】を書いてない曲がまだ3つもある!

ガブリエルのラッパ
チベットワルツ
夢の秘密

いかん。
駆け足で申し訳ないけれども3つまとめて書いちゃうよ!
聴きどころっていうかエピソードっぽいけどご勘弁!


もう何度も書いてきましたが、このアルバムは、まずは札幌で、小ぶりながら上質なコンサート会場(ルーテルホール)にて、3人で一発録りしております。

奥慶一さんの素晴らしいアレンジは、あろうことか「後乗せ」です。すごいゼイタクです。
3人の音より、乗せてる音のほうが圧倒的に多い。お子様ラーメンにチャーシュー20枚。


●ガブリエルのラッパ●

高橋氏のオリジナル小品。
特にオリエンタルな曲調ではないです…よね? どうなんだろう。

歌詞の意味は正直、オバタにはわかりません。
由来を聞いたこともなかったなあ。何も考えずに歌ってました。

ただ、あのゴンチチさんがこの曲をラジオで取り上げてくださったというお話は聞いております。
天国までいってみたけど何もなかったのにポジティブなんだよね、みたいな内容でしたか。ありがとうございます。

曲中、ずっと「ジャッジャーカ、ジャッジャーカ」と、ちょっと変わったパーカッションの音が入ってますが、あれは高橋氏が持ってきた「おもちゃのピアノ」です。
ピアニカぐらいの大きさで、乾電池3本ぐらいで動く感じのやつ。

プリセットの音色がいくつかあり、そのなかに「ジャッ」て鳴る音があって、高音と低音をすばやく叩き分けると、なんかうまい具合にグリッサンドがかかって、あの効果音になるのです。

この曲は健さんのダルシマーはお休み。
なので、収録の際は、健さんがこう…お膝に「ちょこん」とそのピアノをのっけて、両手の指1本ずつ使って叩いてくれてる…という具合の、恐ろしい構図です。
習いはじめのタイプライター状態ですね。

いまやニッポンを代表するダルシマー弾きの健さんにそんなことを…。
お弟子さんたちに叱られそう! 言わなきゃよかった!

「馬車夫の恋」ではダルシマー本体(箱の部分)を打楽器にしちゃうし(それも叩いていたのは健さんでした…)、あるものは何でも楽器にしちゃう高橋氏の音楽性は、ある意味、原始的ということでもあるのかな。

ちなみに、歌詞には「ラッパ」や「クラリネット」が出てきますが、アレンジには「それ系」の楽器は乗ってない。と思う。グロッケンが美しいです。


●チベットワルツ●

これも高橋氏のオリジナル。
チベットっていうぐらいだからオリエンタルなのか?
健さんの華麗なイントロから始まる、軽やかなワルツです。

内容的にはいろいろ噂されておりますが、オバタとしては「丘を越えゆこうよ~口笛ふきつ~つ♪」みたいに受け止めてました(ピクニック)。

以前「トラジ」の紹介のときにチラッと書いた気がしますが、オバタは三拍子が大好きです。
日本人は農耕民族だから遺伝子に「四拍子」が入っていて(田植えのリズム)、三拍子は「騎馬民族」の遺伝子に入っているのだという聞きかじり。
それが本当なら、オバタのルーツをたどったら、絶対ひとりぐらい騎馬民族ゆかりの人物がいるに違いない。いてほしい。

メロディアスで、オバタ的には気持ちいい曲でした。
音域がわりと低めなので、地声と裏声をいったりきたりしながら歌っておりますね。

で、コレちょっとウロ覚えなんですが、バックコーラスを歌ってくださったお二人(比山貴咏史さん、木戸泰弘さん)は、オバタが一方的に愛してやまない、さだまさし師匠や小田和正御大のバックもつとめておられた…とか。
おおおおおそれ多いことでございます。

こんなドコの馬の骨かわからん田舎トリオの1stアルバムに「バックコーラス」がつくこと自体がゼイタクです。
それもこんな大御所さま…。

オバタの声で多重録音しちゃえば安上がr…い、いやいや。
SONYさんはそんな無粋なことはしない!(とはいえ、あの時代だったからこそ…だとは思います)

3人一発録りの「揺れ揺れ」な歌に、素晴らしく合わせてくださいました。
パーシーフェイスを思わせるような篠崎ストリングスさんの音色もまた素晴らしいです。


●夢の秘密●

これも高橋氏のオリジナル小品。特にオリエンタルなわけではないと思います。

実は、オバタ的にいちばんの難曲だったのがコレ。
「雲南の風」や「わーい」に比べたら地味だし、短いし、盛り上がらないし、人気ないかもしれないけど、歌はマジで難しかった!

頼むからみんなもう一度聴いてくれ…!

メロディーの高低が激しく飛び飛びで、ものすごく歌いにくいです。

このメロディーに日本語を乗せる必要があるのか?
人間の声で歌う必要があるのか?
なんか別の楽器でいいんじゃね?
っていうか、もうオバタが楽器だよコレ…。

この曲も健さんはお休みで、高橋氏とオバタで一発録りしたわけですが、採用になったテイクは、オバタはもうこれ以上ないな!とプロデューサー吉田さんのお墨付きであります。

控え室で見てた健さん、お菓子なんぞつまみながらのんきに「わぁースッゲー緊張感ww」って言ってました。言ってました!

しかーし。
そういう時に限って高橋氏のギターが「1音だけ抜ける」という痛恨のミス。
ああーもう、歌はこれ以上ないんだから、その1音だけ足して!(涙目)

…ということで、オバタも控え室に引っ込み、舞台上に高橋氏ひとり残し、その「1音」だけ現場で重ね録りしました。
なので、正しくは「二発録り」?

アレンジは「ヒッソリ」ですが、木管アンサンブル、この上なく美しいです。
オーボエはもとよりバスクラのミステリアスな感じ、蝶のようについばむフルート。
たぶんこの曲にはこれ以外のアレンジは考えられないでしょう。マーベラス。

さて、歌詞の中に「猫」が出てきますが。
オバタは今の今まで、金の瞳の「黒猫」だと思い込んでました。
でもどこにも黒って書いてない。あらびっくり。
みなさんどう思います?


久しぶりに書いたのでテンションが変だな。
みんなありがとう!
またね!


【小話】 あの曲の聴きどころ 「ナーダムがやってきた」

2015年12月24日 | ついのすみか小話

うわー、師走だ、クリスマスだ、紅白だ、とか考えるだけで気もそぞろ。

そうだ、再販のスケジュール?予定?がぼんやり入ってきました。
皆様のお手元に届くのは2月。2月だそうです!わーい!

追加で買おうかなとか考えている方は送料無料の今のうちにポチっとするのがいかもよ

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ずいぶんと更新が遅れましたが今回は2曲目の「ナーダムがやってきた」書くよ!

この曲は、昔ライブで見た方ならびに初盤をお持ちの方はご存知だと思いますが、オバタ、歌ってません。
幼稚園のお遊戯で使う「鈴」を振っていただけなんであります。
踊ってたかな? 転んでたかな?
どうだったかな?

つまり、ギターとダルシマーと鈴のインストゥルメンタル。

当時はちっとも知名度のなかった(失礼!でもホント)、ハンマーダルシマーという楽器の素晴らしさを伝えたい!と、組み入れた曲だったとおもいます。

「ナーダム」というのはモンゴルで夏に催すお祭りのこと。
国を挙げてのデカイお祭りです。

モンゴル広いからあっちこっちでナーダムするみたいですが、やはり首都ウランバートルでの開催は別格なよう。
それはそれは盛大に馬が走ったり、力自慢の男たちがモンゴル相撲とりまくったり、にぎやかでワハハな感じです。

そんなナーダムを想起して生まれた曲ですから、とても明るく仕上がりました。

最初から最後まで、テンテケ、テンテケと楽しげ。
健さんがずーっとずーっとメロディー弾いてますので、ダルシマー界の方は正座しちゃうかもしれませんが、健さんきっとそういうの喜ばないのでラクにいたしましょう。

Aメロ、Bメロ、コード進行、ここでブレイク!とか、そういう基本的なものは高橋氏のオリジナル。
ですが、1番2番と繰り返していくうち、どんどん華やかになっていくダルシマーのメロディーは、健さんが即興で自由に弾いていたものです。

何度もライブやったので、そのたび演奏が違ったはず。
健さんいろいろ試してみた。
たくさん試した。
きっとおうちでもたくさんためしてたとおもう!

でも収録の際にはさすがにコレと決めておこうという話になります。
健さんが何パターンか弾いてみて、高橋氏が「あーいいですね、それにしましょう」と選んだフレーズを、一発録りに備えていっぱい練習しました!健さんが!

合同練習もいっぱいしたので、最終的に決まったゴキゲンなメロディーはオバタも全部、耳で覚えたよ。
練習のとき一緒にメロディー歌ってたら、健さんダルシマー弾きながら「はは、すげー」って笑ってました。ええ、自慢ですとも。

でも目の前であの緻密な演奏を見ていた人としては、こちらこそ言いたい。健さんスゲー。

ダルシマーの音色をみせびらかす、いや、聴かせびらかすため、深みのある低音から繊細な高音まで幅広く使って、刻んだり、つないだり、トゥルルン♪したり、当時の健さんのダルシマー術がぎゅっと詰まっています。

健さんが楽しく弾いてる感じもきっと伝わるとおもいますよ。

そしてこの曲、カッチリ終わりません。なんとなく消えていきます。
なぜならば、次に「馬車夫の恋」で始まる中国民謡メドレーが来るため、それを予兆させる終わり方になっているのですね。

中国民謡メドレーは4曲でひとつですが、「ナーダムがやってきた」は、それらの壮大なイントロでもあり、かつ独立した、ダルシマーのための1曲なのであります。

いま思い出しても、健さんのダルシマーがタリラリトントン…と終わって静かになったところへ、馬車夫の恋のせわしないイントロが遠くからやってくるのが聴こえますよ、脳内で。

おそろしい構成。…って、オバタ、自分たちのCD、自分で聴き過ぎだな!しかたない、好きだから。
好きでなければ、再販のお願いにノコノコとネットに出てきたりしないし、自信もってオススメもいたしません。

「ついのすみか」は本当にいいアルバム(にしていただいた)です。参加していた本人がいうのだから間違いありません。
1曲ずつ取り上げてもこりゃ素晴らしいと今でも感じ入ること多々ありますが、初盤をお持ちの方はいま一度、その「全体の構成」も含めて、聴きかえしてみていただけたらなー、とおもいます。

そしてな、なんといってもこのアルバムのすごいところはな、曲数たくさんあるけど、全部とおして聴いても35分ぐらいなんだ!
でも何度でも繰り返して聴ける。それこそ1日じゅうでもリフレインできる。

その理由は…アルバムの半分がやさしさで出来ているから…

ってちょっとうまいこと言ったつもりになったところで、今日はこのへんで。
ナーダム!メリークリスマス!良いお年を!


【小話】 あの曲の聴きどころ 「中国民謡メドレー」

2015年12月05日 | ついのすみか小話

いや、決してサボっていたわけではないんです。

どうしたものかと考えていたんです、本当です。

 

まだ予約できるようなのでギフトなんかにどうかな↓ 試聴もアルヨーチョットダケー

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聴きどころを次に、と思っていたのは「馬車夫の恋」で始まる「中国民謡メドレー」。


馬車夫の恋(新疆民謡)が突出してご好評いただいているのは大変うれしいのですが、やはりそのあとの3曲「お姫様~ふらり~春来ませり」まで聴いていただいてこその、このメドレーなんじゃないかと、youtubeあたりで聴いて、他人事のように今さら感じ入るところもあるのです。

これは、美しいな。うん、美しい。もう認めちゃおうっと。

謙遜ばかりしてても中途半端になるだけだしね。誇りをもって申し上げますよ。美しいです。


馬車夫の恋は単独で1記事にしたのですが、残り3曲を1つ1つ書くべきか、まとめて書くべきか、迷っておりました。

うーん、やっぱり、まとまってこその美しさなんだと思う、このメドレー。


毎回くりかえし言うのを失念しておりましたが、まずは札幌で3人で一発録りしております。

さすがに4曲いっぺんじゃなかったですよね…1曲ずつ録ったはず。

じゃないと日が暮れるヨ! 絶対誰かミスる!…って前にもどっかで書いたな! すまない、誰かオバタにもっと語彙を…!


で、奥慶一さん編曲による、それは素敵なオーケストラを、あとから乗せていただきました。

ありがとうございます。

すっごい大変だと思うんです、目の前にいるわけでもない3人の、勝手な呼吸で演奏してる音源にあとから乗せるなんて。

なのに、曲それぞれのニュアンスをドスコイと受け止めていただき、メリハリも素晴らしく、もう本当に感謝としか。…オバタにもっと語彙を…!

(特に好きな箇所はと聞かれましたならば、春来ませりのフルートでしょうか。フルートだけあって、フルフルフルとても美しいです)


さて、このメドレーはタイトルどおり、中国のいろんな地方の民謡がベースになってますよ。

お姫様は、安徽(あんき)。←読めなくて今wikiさんに聞いたというテイタラク

ふらりは、四川。

春来ませりは、広東。


ですが。

どれが中国のどのあたり?すら、オバタは知らず考えもせず、能天気に歌っておりました。

今ならネットを使えば場所や土地柄など知ることはできるのでしょうが、当時のオバタには情報がほぼなかったです。



高橋氏から歌詞とか譜面(あったかな?)を渡された時点でもう「高橋フィルター」を通ってるので、オバタとしては、これはどこの民謡だ、これはドコソコの…といった「知識で歌う」必要がなかったんじゃないかな。今思えばですが。

日本の歌も、どこの歌も同じく、好きなように歌うだけで、その…なんていうんでしょう、必要だったのは…知識ではなく…、か、か、感性?(自分で言っちゃうとイタイじゃないか…誰か助けてくれよ…笑)


感性といえば聞こえはいいですけど、要は「融通のきかない歌フィルター」です。オバタを通すとこうなっちゃう。


いやしかし。
お姫様の「揺れ+多幸感」とか、ふらりの「寂寥失望感」とか、春来ませりの「歓喜バクハツ感」とか、ソコソコええじゃないか…と思うんだ、今聴いても。

当時のオバタの歌、良かったデスネ!


春来ませりは、前のふらりが暗い感じの曲調だったのが一気にパンッとはじけて明るくなるんですが、この感覚はおそらく雪国の民なら余計に身体でわかると思います。

寒く暗く冷たい冬をひたすら耐えて、春を待って待って待って、うわー春キター!(TT▽TT)ダァー!です。


前にもどこかで書きましたが、北海道は1年の半分が冬でできているので、春を実感した瞬間というのはもう、タマランものがありまして、その感じはよく出てると思うの。

そのあたり、聴いてね♪


そして各曲にいろんな工夫をしながら彩りを添えてくれた健さんのダルシマー。


おそらく健さん、さまざまな奏法を、SACRAで試行錯誤したはずです。

何せ、高橋氏は健さんにほぼ「丸投げ」でしたから。

見てました、曲によっていろんな工夫してくれてたこと。

記憶が確かならば、ダルシマーと歌がケンカしないよう、音色を柔らかくするために、ハンマーに何やら巻いてみたりとか、してくれてました…よね?


さらに記憶が確かならば、お姫様が某航空会社のCMソングとして候補にあげていただいたけど採用には至らなかったエピソードあり。

採用されたのはおのまさとしさんだったとおもいますそりゃもうかてるわけがないのでくやしくもなんともない


お姫様はお年寄りと子供に特に好かれたようです。あのフワフワなイントロで酔っちゃうよね!(by 加藤ストリングスさん)


しかしなー当時のオバタの声は我ながら良かったと思うのですよ。

ずっと聴いてたら好きになっちゃうレベルだと思うよ! でも誰も言い寄ってこなかったぞ! なんでだ。

歌ってないオバタはガラッパチなオッサンだからか。そうか…。


もうコレ、何が聴きどころなんだかわかんない記事じゃないか。まことに申し訳ござらぬ…!


追記有【小話】 あの曲の聴きどころ 「トラジ」

2015年11月24日 | ついのすみか小話

この時期になると「今年こそ、今年こそは、冬が来ないんじゃないか?」と、何十年ものあいだ切実に望んでいるのに来なかった試しがありません。

北海道は、一年のうち半分が冬でできているんです。ほんとです。


マイナンバーで脳みそパーン状態なのでブログを書こう!


今日は「トラジ」。

朝鮮半島で古くから歌われている民謡をアレンジしたものです。

再販予約サイトで少しだけ試聴できるので、聴いてくださった方も多いかと思います。まだヨヤクデキルヨ

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日本人は農耕民族だから「四拍子」が遺伝子に入っており、モンゴルとかの騎馬民族は「三拍子」なんだと、どこかで聞きました。

だったらオバタの遠いルーツは騎馬民族だったんじゃないか。

と思うぐらい、三拍子、好きなんですが、なんでだろう。



トラジとは「桔梗:キキョウ」のことであります。

根っこが漢方薬になるとかで、白い花のものが特に珍重され、娘さんたちが美しい民族衣装を着てトラジを摘みにいく、らしい。

で、それ見たさに男たちがやってくるっていうことみたい。まったく男はこれだから。

3番に「かわいいけれどトゲがある」という歌詞があるのは、キキョウの葉っぱのふちがギザギザしてることを言っているのかな。

ついのすみかにしては、比較的、俗っぽい感じの歌です。



歌の音程的には割と低めなので、地声と裏声を行ったりきたりしながら歌っておりますが、けっこうリラックスしてると思う。

やっぱ三拍子の遺伝子、オバタのどっかに入ってるんじゃないかなあ。

同じ理由で、ついのすみかに一緒に入ってる「チベットワルツ」も好きです。

なんていうかねー、しっくりくるんだよねー。なんでだろう(二度目)



さてトラジ。

2番と3番のあいだ、間奏の健さんのダルシマーも素敵ですよ。

テッケテッケテッケ、って上がっていくところ、酔っちゃうぐらいイイです。


バックでずっと鳴っている「ポコン、パコン」みたいな楽器は「チャンゴ」。

これも後から乗っけてもらったものです。


高橋氏は当初からずーっと「シャンシャンタイフーンの人がいい」と言い続けておりました。

1stアルバムだというのに思いっきり逆指名です。


もちろんそんな高橋氏の思惑が通るはずもなく、でもしかし!宮崎節子さんが演奏してくださいました!たいへんな大御所さまですよ。

出来上がりを聴いた高橋氏「上手な人でよかった」と、安心というか、とっても上から物申してました…。

 

ついのすみかのバックミュージシャンに、当時のソニーさんがどれだけすごいメンバーを集めてくれたか、たぶんほかの演奏家の人とかのほうがわかってたんじゃないかと思います。

変な人つれてくるわけないでしょうに!笑

 

(追記ここから)

健さんが「トラジはウッドベースも良かったー」とつぶやいておられたので追記です。

後ろで鳴っている、気持ちのいいウッドベースを弾いてくださったのは加瀬達さん!

たくさんの著名なミュージシャンの方々と共演しておられる、これまたすごい方です。

主張しているわけではないのに、どっしり感、深み、時にパンチの効いた力強い音色で、包み込んでくれるような広がりをこの曲に与えてくださいました。

若干のグルーヴ感は、加瀬さんの根底にジャズがあるからでしょうか。

もう、ほんとに、ありがとうございました。

(追記ここまで)

 

トラジの元歌のひとつが動画に上がってるんですけれども、いやいやいやコレ美しすぎるわ。

これこそ天上のものだわ。申し訳ございませんな気持ちでいっぱいです。

と、SACRAじゃなくそちらを貼ってみる暴挙に出たところで、今回はこれにて!

 (Korea Folk - Doragi Taryung)


【小話】 あの曲の聴きどころ 「ケシの花」

2015年11月10日 | ついのすみか小話

はい、ちょっと間があいてしまいました。


聴きどころ、いきましょう。ひっそり。



前回までの流れでもうバレバレですが「ケシの花」です。

ついのすみかの1曲目「南冥行~蘭の舟~ケシの花」のラストであります。



記憶が確かならば、ライブでも同じように、この曲順で演奏していました。


それぞれ独立した楽曲としても聴けるものですが、あえて、3つをくっつけたメドレーとして、ひとからげ。


レコーディングはさすがに3曲いっぺんではなく、1つずつだったと記憶しています。

(3つ全部つなげて一発録りしてたら日が暮れるヨ。絶対どこかで誰かがミスるヨ!笑)




さて。

「南冥行」でちょっと南への憧れみたいな雰囲気を出し。

「蘭の舟」では何だか独りでムニャムニャといい気分になって海へ出て行き。


この2曲は、琉球からの、東南アジア(多分ね)。


オバタ的には、この2曲は「水っぽい」です。

暖かくて湿気の多い、低いところを、スーッと行きます。もう、川面・海面スレッスレです。



ところが「ケシの花」は一転、空気の薄い高山に咲き乱れる花畑へワープ(古っ)。


高橋氏に確認したわけじゃないので真意は不明ですが、オバタ的には、天山(てんしゃん。中央アジア、でいいのかな)あたりの、ものっそい高地に、青空の下、見渡す限りに咲いてるケシの大群落、なイメージ。


ケシの花は「ひなげし」です。言い換えたとたんにアグネスが「おっかのうえー」って、頭の中で歌いだします。

ケシの花は「ポピー」でもあります。「くーるまにポピー♪」の芳香剤CMなつかしいな。


いや、こんなこと書いてたらぜんぜん進まない! はてしない! なるべくかいつまんで…。




「蘭の舟」で海に出て、星なんか眺めちゃってネムネム…。


で、ふと気づくと、ぜんぜん別の場所に飛ばされているのです。


ぽつんぽつん、と始まる高橋氏のギターで「…あ?…ここドコ?」と目覚めた時点で、きっとかなりあの世に近くなっちゃってて、いわゆる「三途の川」状態でしょうか。

眼前に広がる広大なケシの花畑に、歌も半ば茫然としております。



おかしな感覚かもしれませんが、この曲には「音」を感じない。

音楽なのになぜ、と問われてもうまく説明できないんですが。

雲が流れていったり、風がそよそよ、ぐらいの動きはあるんだけど、なんていうかなあ、「静止画」あるいは「無」のような。

「も う ぜ ん ぶ お い て き ち ゃ っ た よ …」。



歌詞も少々、イッチャッてます。

空から子供歌い出したら幻聴だし。

ついに神様おりてきちゃうし。



聞きかじりですが、天山のあたりには神様の別荘地があるらしいので、たまにコソッと降りていらっしゃるんでしょう。

日本で言えば出雲の国みたいな? 10月が「神無月」ではなく「神在月」になるっていう…ちょっと違うか、うん。



映像的なイメージはすごく美しく、光っぽいキラキラ感のある曲ですが、ラストにまた高橋氏のギターがぽつんぽつん…と鳴り、なんか、死んじゃったのかオレ…な気分になります(笑)。



で、でもね、そうよ、大事なことを書かなくては!


2番あたりから、そーっとバックで鳴ってるアコーディオンは、cobaさんです(小林靖宏さん名義)。

ああ、ありがてえ、ありがてえ…。



と言いますか、cobaさんだけです、この曲で乗ってもらってるの。

基本、3人の音だけです。



2番あたりから、といえば、健さんのダルシマーの、それはそれは美しい音色が聴ける箇所があります。


♪たかいやまの「うえの あかいけしのはたけ」←ココらへん


3番では

♪あかいけしの「はなよ あおいそらのしたで」←ココらへん



ももも、もーう、ファンファンファン…って昇降するのがとても綺麗で、イチオシ・ニオシの聴きどころ。

前の「蘭の舟」の記事でも書きましたが、まさしく天上のものとしか思えない響きなのであります(怒り新党のはなわみたいになってきた)。


間奏ではすぐメロディ弾いたりできちゃうし、ダルシマーって本当に、幅広い。


でも「健さんならでは」の工夫がいっぱいあったことも、覚えてますよ、フフ。




ついのすみかは「南冥行~蘭の舟~ケシの花」で、ある意味「はじまって、おわっている」のかもしれません。

1曲目で完結て…。



そんな、とっても贅沢なんだけど商業主義には乗らないぜ的な、粋なつくり(裏返せば、金かかってる割にちっとも売る気なさそうな…)ができたのも、1991年という「時代」がまた、背景にあったのではないかな、とは、思うところです。



健さんの「天上のファンファン」が再び聴ける♪ 再販予約はまだ受付中であります↓


Sony Music Shop オーダーメイドファクトリー SACRA ついのすみか

 

(グーグルさんからお借りしました)