今年が去年に。

2005-12-31 | ことば・文章
田中小実昌さんの
「きょうがきのうに」という小説が好きです。

「今日」は何事もなく平穏に過ぎていく。
でも後から振り返ってみると
実は様々な心の動きが起こっていた事が
明らかになってくる。

今年の意味は、後からわかってくる。おそらく・・・

年のはじめに掲げたテーマは
実現出来たり、できなかったり。
「すごく重要な一年だった」という
充足感が、幸せだな。

・・・皆様、ありがとうございました。
   「今年」もよろしくお願いいたします。


ディケンズ「クリスマス・キャロル」

2005-12-23 | いろいろ
シンプルだけど、感動する。
文豪ディケンズの作品は、とても不思議。

強欲なスクルージ・・・
甥からの食事の誘いも断り、貧しい人たちへの寄付金集めにも協力しようとしない。
そんな彼が幽霊たちに過去・現在・未来を見せられて改心していく。

小さい頃は「第三の幽霊」の部分が怖くて読めなかったな・・・
映画では、1970年のミュージカル版が好きです。

ある人の文章に心を打たれた。
「クリスマスの夜に考えるべき事は、第三者による救済を待つことではなく、自らを省み、他人を想うことだ」

映画「クリスマス・キャロル」

パトリス・ルコント 「タンデム」

2005-12-21 | ことば・文章
ルコントの出世作となった映画・・・
だけど、まず文庫で読みました。

ルコントの描く男性には、かならず同調してしまいます。
複雑で、切ないほど愛情深い男達。

優しいのだけれど、やさしさだけでは解決できない
現実の壁や限界も知っている。

男は決して、美しくは生きられない。
カッコ悪くて、悲哀に満ちた存在・・・
ルコント作品は、そういう現実にまっすぐ向き合っているのです。

ルコントはよく、「女性を描けていない」と批判されます。
でも好きだな、この世界。
「フランスに行きたい・・・」と
鍋でうどんを煮ながら思ってます(笑)

タンデム

ラドンナ「ビターオランジェ」

2005-12-11 | いろいろ
「カカオ分57%のビターチョコレートに
スペイン産のオレンジがほんのり香る<ビターオランジェ>
・・・(中略)・・・
食経験豊富な大人の女性達(メインは団塊世代の主婦)の
友人との語らいのおもてなしに、優雅なひとときを演出いたします」だそうです。

チョコは酸味の強いもの
オレンジフレーバーも好きな僕にとっては
かなり「当たり」な感じです。

ラドンナ

この一瞬も・・・

2005-12-10 | ことば・文章
「人生という砂時計は
 ひっくり返してもう一度、というわけにはいかない」

人生の大先輩である、
年配の女性からいただいた言葉。
その人の生き方を受け止めるように、重さをかみしめる。

雑に時間を過ごしてしまう事も多い自分。
もっと思い、考え、愛し楽しまなきゃ。


もっと遠くに・・・

2005-12-09 | ことば・文章
Blogをはじめて11か月・・・
書くために、ときどき立ち止まったり、思いかえしたり
これまでよりも、濃密な一年を過ごしてきた気がします。

いつのまにか、記事 第200号です。
きわめて個人的な記録ではあるけれど
自分ひとりではぜったいに到達できなかった数字。

Blogを通して知り合えた、感性の鋭い人たちに
日々刺激を受けて、ここまで来れた事が幸せです。
本当に、感謝しています。

好きな人たちの感性を学び、言葉の力を借りながら
「もっと、遠くまで行きたい」と思っています。

シンクロニシティ・・・

2005-12-08 | ことば・文章
友人と話している時、
「それはどういう深層心理なんだろう?」と
考え込んだけど、まったくイメージが湧かない。

むかしから、物事を深く考えるのが好きだった。
結論を急がず、意識の底を探っていく過程を楽しんでいた。

ユングの「無意識」という概念にも惹かれたものだ。

「この世の中のもの全ては繋がっていて連動している。
この繋がりは目に見えるものではなく、普段は意識の底の底に沈んでいて、人間だけでなく、動物、植物、鉱物から、この世にあるもの全てを繋げている。」

「個人」「自我」という狭い枠を超えた、スケールの大きさに憧れた。

・・・最近の僕は、現実の波に流されて、浅い思考をくり返して生きている。
呼吸が浅く、せわしなくなるように。
これでは楽しくないなぁ。無意識のエネルギーも感じていないし。
せめて一日に一度くらいは、深呼吸して
心の落ち着きを取りもどしたいな・・・

シンクロニシティの秘密

冬の入り口で・・・

2005-12-06 | お酒
鍋のおいしくなるこの時期、
いちばん嬉しいのは、銘酒とのめぐり合い。

静岡県菊川市の「もりもと」というお酒。
精米歩合 60% 日本酒度 +2.0 の純米酒。

データは珍しくないけど・・・ 味に驚愕・・・
吸い込まれるような、澄んだ深みとコク。
でも、酸味と甘みもあって、華やかな後味。
これは、過去最高の旨さかも。

もともとこの蔵の「小夜衣」は大好きでした。
現在は、社長自らが杜氏となって手づくりしているようです。

限定120本だそうですが、買い占めたくなってしまいます・・・

森本酒造

サンソン・フランソワ 日生劇場ライブ1969

2005-12-05 | 音・クラシック
(曲目)
フランク:前奏曲、コラールとフーガ
フォーレ:夜想曲第6番嬰二長調、即興曲第2番ト短調
ドビュッシー:前奏曲第一巻より「デルフィの舞姫」、「亜麻色の髪の乙女」、「沈める寺」
ドビュッシー:前奏曲集第二巻より「花火」
ドビュッシー:「ピアノのために」全曲(前奏曲、サラバンド、トッカータ)

天才ピアニスト フランソワの死の前年のライブ。
モノラル録音でノイズも多い。ミスタッチも少なくない。

しかし、この夢見るような美しい演奏を
「雑だ」と退けられるはずもない。
ファンタジーが燃焼していくような極めつきの集中力。
妖しいまでにしなやかな音の背後に
巨大なまでの音楽観、理想の世界の広がりが感じられる。

子どもの頃、家に
フランソワの弾くドビュッシー全集のLPレコードがあった。
くり返し聴くうちに、彼のフレージングのセンスに
身体が慣れていったように思う。

そういう意味で、きわめて平凡な僕の音楽感覚に
微妙なフレージングや、アゴーギグの大切さを教えてくれた
音楽家なんだと思う。

サンソン・フランソワ試論