閉店間際の店内に、人は疎らだった。
一人の外食は慣れたものだが、それでも最後の客になるのは気がひける。
奥のテーブルでは、最後に残ったスーツ姿の若い野郎連中が、オンナの話で盛り上がっていた。
私の他に客がいないせいか、我が物顔でバカ騒ぎ。
悩み話、自慢話、エロ話。
くだらない・・・。
私はひとりのせいか、やたらと冷めた頭でそれを聞くハメになる。
結局みんな、ヤリたいだけのようだ。
「馬鹿なオンナの見分け方」には笑ったが、酒が入っているのか総じてオトコ主観の勝手なことばかり言っていた。
また一人一人が、真剣そのものに熱弁するから面白い。
ハタチ前後の野郎連中が集まってする話など、そんなものか。
半分寝間着で４０男の、ひとりの遅い夕食。
自分は、あちら側からはどんな風に見えるのだろうか。
今の自分は、色々なモノをどんどん削ぎ落としていかねばならない。
そういう時期だと思う。
また、それはありふれて健全なことのように思う。
初めから分かることなんてない。
分かったつもりになって、スマートに生きていく方がよほどくだらない。
間違っていたと気付いたなら、それをゆっくりと削ぎ落としていけばよいのだから。
あの若い連中は、彼女の前ではどんな話をするのだろうか。
どちらが本音で、どちらが見栄か。
くれぐれも自分を間違えないように。
ひとりの夕食はやはり寂しい。
最後の客になる前に、私はそそくさと食事を済ませ席を立つことにした。
明日も早い・・・。
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