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支流からの眺め

久しぶりのコロナー日常生活に戻す

 武漢ウイルス感染症(WARS)の流行は2年余りとなり、各種の対策が繰り返された。医療資源の確保、陽性者の隔離、濃厚接触者の追跡、マスク着用と手指消毒、飲食店や公共の場での三密回避などである。しかし、第7波は今までと違った。ワクチンの効果かウイルス遺伝子の自然な変化かはさておき、患者数は最大となるも重症化率は低下した。つまり、WARSはそれほど危険ではない常在感染症となった。この先WARSの規制・管理はどうすべきだろうか。

 苛烈な流行を経験した諸国では、既に大幅に規制を緩めている。何かと動きの悪い日本も、遅ればせながら、旅行や飲食の行動制限を緩め、屋外でのマスク着用は不要とし、隔離期間を短縮し、全数登録は中止した。今までの諸対策が過剰と批判してきた人には我意を得たりである。感染の危険に過敏な人も、様々な行動制限、面倒な対策、感染対策への多大な資源の投入などには嫌気がさし、方向性としては歓迎だろう。日常生活を早く戻すべきだというのが共通認識になった。

 その際には、診断にPCR検査ではなく抗原検査の利用が勧められる。費用や簡便さが遥かに優れている。懸念された低感度・偽陰性(ウイルスはあるのに陰性になる)は、最近では改善されている。感度の低さは検査を繰り返すことでも挽回できる。逆にPCR検査は感度が高すぎ、臨床的な意味での偽陽性(感染性はないが遺伝子を検出して陽性になる:例えば、感染後には1月くらい陽性が続く)という欠点がある。医療機関でなければ実施できないし、費用も時間もかかる。

 疑いを含む染者の扱いはインフルエンザと同様にする。診断は抗原検査で素早く実施し(市販キットでも可能)、結果が陰性でも疑いが高い場合にPCR検査を考慮する。治療の基本は、対症療法(解熱薬など)と一定期間の自宅療養である。抗原検査を繰り返せば、療養期間を短縮できるだろう。ハイリスク患者には、発病初期に治療薬を処方する。肺炎や呼吸困難があれば入院となる。入院病室は一般病棟の個室でよく、抗原検査の結果を見ながら隔離を解除する。

 但しWARSでは、インフルエンザと異なり、発症2日前よりウイルスが排出され、無症状者からの感染がありえる。この防疫上の難題にはマスクと抗原検査を活用する。ハイリスク者に接する人(病院や高齢者施設の職員等)は、抗原検査は任意でいいが、マスク着用だけは確実に行う。不特定な個人の三密(混雑する電車内、店内等)では、マスクを推奨する。マスク着用が不便・不都合な三密(学校や競技参加等)では、抗原検査を事前または定期的(例えば週1回)に行う。

 この対策を継続しながら発生率や重症化率を監視し、一定値以下となればマスク着用や抗原検査の必要度を下げていく(推奨なし、間隔延長など)。但し、症状があればすぐに検査して早期診断することは必須で、このことは周知する(特に、ハイリスク者に接する人)。迅速な検査のためにも、自分でできる抗原検査キットは有用であろう。また、抗原検査キットの品質管理も重要で、標準化や監査が必要となる。こうすれば、規制の緩和を安全に段階的に進めることができる。

 難しいのは、感染症「管理」対策の解除である。患者への支援(電話追跡や医療費公費負担等)、医療機関への助成(補助金や上乗せ医療費等)をどうするか。支援を減らす代償には、抗原検査キットの無償配布も手となろう。また、相手はウイルスであるから、官僚無謬主義に拘ることなく、対策の変更は暫定的とし、事前に設定した基準で見直す。第8波や危惧されるインフルエンザとの同時流行の前には、管理対策の変更に関する綱領を定めておくべきである。

 広く危機管理はどうか。まずマスコミは、視聴率上げを狙った駄々っ子風の批判を控えるべきである。無責任に自分勝手なことを言い募ったら、炎上するばかりで収拾がつかない。一方、中共国などの強引な防疫処置を見て、わが国も緊急事態条項を設けるべしという意見もあった。しかし、大災害や戦争に匹敵するのは、病原性の極めて高い感染症の防疫に限られる。わが国では、主権の制限を図るより国民の一体感を日ごろから高めておくのが優れて適した危機管理となろう。

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