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★☆土筆の別荘☆★~Produced by level5~

カープとバファローズに偏っています。現在、LEVEL5というサークルで活動中☆

え?

2007-02-15 21:54:53 | Weblog



にゃぁ~♪
今日は給料日なり~☆☆
買いたくてずっと我慢してたCD買って来ました~♪
「スケッチスイッチ」「少女迷路でつかまえて」「あい」「Love Power」「水平線の彼方で」の5枚~♪
にゃぁ~♪特にスケッチスイッチがお気に入り~☆
ずっと欲しかったもんww


ってか、今日久しぶりにあのお方にお会いしました♪
なんでも最近は同人活動に飽きてゲームを作りたいんだとか(×_×;)
んで「シナリオ誰がやるの~?」って聞いたら、ネットで知り合った人に書いてもらうんだそうです☆
へぇ~♪じゃあ、完成したら楽しみだなぁ♪って思ってたら
「でもハチキン(18禁)の部分は書いて?」


ぱーどぅん?

まぢでつかww
何故にピンポイントwww

「いやぁ。お前の方が経験あるでしょ」
みたいな事いわれてもwwww
ちょwww経験とかあんまし関係ないし~www


音姉とボク第6話前編

2007-02-13 17:49:12 | Weblog
 運命というのは怖いものだ。
 いつ、どこで、どう転んでしまうか分からない。
 今まさに、俺の目の前にその運命と呼ぶべきものが立ちはだかっていた。
「なんでお前がここに?」
 小恋が押しかけてきたあの日から数日が過ぎた。
 音姫は用事があるからと学校に残ったため、俺一人で帰り道をとぼとぼと歩いていた。
 そんな俺の目の前に現れたちびっ子でくるくるした髪を引っさげた少女。
「あら。久しぶりに会ったのに、ずいぶんな言い方じゃない? 義之」
 杏だった。
 相変わらず背が低い。俺は見下ろすようにして杏を見ていた。そんな俺を見て杏はくすりと笑った。
「相変わらずどっちつかずの男やってるみたいね……。まぁ、そうでなければ義之らしくないけど」
 大変に失礼なことを言ってくれる。俺はシカトすることにした。
「小恋の気持ち、踏みにじるつもり?」
 立ち去ろうとする俺の背中に突き刺さったその言葉はとてつもなく重たいものだった。
「……。俺だってどうすればいいのか、わかんねぇんだよ」
 俺は振り返る。杏の顔が悲しげにゆがんでいるのを見て驚いた。
「杏……」
 雪月花三人娘の一人、杏があんな顔をするのをおそらく俺は初めて見ただろう。いつも、姉妹のように仲の良かった親友の小恋が苦しんでいるのを目の当たりにして、杏自身もどうしていいのか分からないみたいだった。
「義之は……小恋のこと、どう思ってるの?」
「どうって……。嫌いではない。かといって付き合うことは出来ない。俺は……」
「音姫先輩と付き合ってるから?」
 俺の言葉を遮るように杏は言った。
「じゃあ聞くけど、もし音姫先輩と付き合ってなかったら小恋からの告白、受け入れるの?」
「それは……」
 正直、相当迷うだろう。
 音姫のときもそうだったように、今まで幼なじみ……もとい、妹みたいな小恋を恋人として見ることが出来るのか。微妙なところだった。
「あなたは小恋をただの親友にしか見れない……。違う?」
「……。それは、間違いじゃないと思う……」
 すると杏はクスリと笑った。俺にはその笑顔がかなり不気味に見えた。
「じゃあ、話は早いわね。義之、あなた、小恋を抱いてあげなさい」
「はっ? なんでそうなるんだよ」
「お友達づきあいは大事なのよぉ、義之。お友達の望みを叶えてあげるのが親友ってもんじゃない~?」
 とんでもない理屈をぶつけてきた。
 た、確かに友達は大事だし、友達づきあいを円滑に進めるためには相手の望みを叶えてやることは間違いないのだろうが。
「そ、それとこれとは話が別だろうが!」
「いいえ、違わないわ。小恋の一番の望みがそれだもの。それにね……」
 杏は意味ありげに笑うと、指で『耳を貸せ』と俺に指図してきた。仕方なく俺は杏に従う。
「あの子……。脱ぐとすごいわよ~」
 そんなことだろうとは思ったけど、こいつは俺の予想を寸分狂わず実践して見せた。
 あいつが脱ぐとすごいことくらい……なんとなく想像できる。実際、付属のときからあいつの胸は、全クラスの男子から『ビーナス』とあがめられてきた。余談だが『聖母』は茜だった。
「だ、だからと言って、付き合ってもないのに、そういうこと出来るかよ!」
 柄にもなく慌てていた俺を見た杏は、すっと真面目な顔をして言い放った。
「あら、私は出来るわよ。まぁ、相手にもよるけど……義之なら、うん。全然オッケー」
「うっ……なんでだ? なんで皆、俺なんだよ……」
 昔、ちょこっとだけかじったパソコンゲームの主人公みたいな状況だった。十二人のお姉さん全員、主人公のことが好きという、お姉さま萌えなやつにはたまらないストーリーだったが、俺にとってはそこまで面白いものではなかった。友達に勧められてなんとなくやってみたのだが、途中で飽きて結局誰も攻略しなかった。
「それはね……。義之には不思議なオーラがあるのよ。人をひきつけるような、ね」
「不思議なオーラ?」
「そう。上手く説明できないけど、なんだか一緒に居るだけで安心できるような……。それはそれは女の子にとってはたまらなくあま~いフェロモンというやつね」
 さくらさん、ごめんなさい。今日初めて、あなたを恨んでしまいました。この体質もきっとあなたが願ったことですよね?
「で……どうするの? 抱くの? 抱かないの?」
 結論を急がせる杏。
「抱くわけには……いかない」
「そう。じゃあ、私たちの友情もここまでってことね」
 にやりと笑った。この、小悪魔娘め。俺が小恋を抱くって言うまでねちねちと攻撃する気満々の笑みを浮かべてやがる。
「ざ~んねん。一回抱いてやれば小恋だって満足しちゃうのに」
「いや……。一回抱いてしまったら、次も次もって求めてこないか? 人間の欲望って、常にエスカレートするもんだし……」
 杏がわざとらしく深いため息をついた。
「あのねぇ。小恋だって子供じゃないのよ。でも、どうしていいか分からない。だからこうして私がアドバイスしてるの、わからない?」
「そんなこと言ったってお前は小恋じゃないんだから……」
「私が小恋だったら……ううん? きっと小恋もそうだと思うわ。義之に一回抱いてもらえばそれで満足しちゃう。だってあの音姫先輩から一回だけだけど、義之を奪ったことには変わりないでしょ。それってすごいことよ」
 くすくすと笑いながら怖いことを言う杏。
 音姫ってそんなに恨まれてるのか? あんなにちやほやしていたのは男子だけだったというのか? 女の子って正直怖い……。
「とにかく……。一回でいいから小恋を抱いてあげなさい? もうこれはお願いじゃない。命令よ? でないと親友やめるわ」
「くっ……。い、一回でいいんだな?」
「えぇ。たったの一回よ。楽なもんでしょ」
「杏~!」
 その時、タイミングが良いのか悪いのか小恋が走りよってきた。
 俺はあまりの気まずさに一瞬、視線を落としてしまったが、杏がその視線の先に顔を覗かせ『だ~め』と言った。
「よ、義之?! どうしてここに?」
 い、いや。俺としてはなんでここに杏がいるのか知りたいのだが。大かた、俺のことで杏に相談したら、杏が飛んできたのだろう。
 仲が良すぎるのも困りものだ。
「い、いやぁ。帰り道でばったり杏と会ったんだよ」
「そうそう」
 きこちない俺に比べて杏は涼しい顔をしていた。
「ふ~ん……。あ! 杏~! またなんか変なこと言ったでしょ! あのこととか……」
 俺は一瞬どきりとしたが、杏はつとめて冷静だった。
「ちょっと小恋。私のこと信用してないの? 私はただ、久しぶりに義之と会ったから、昔の話をしていただけよ。そうよね? 義之」
 パチリとウインクしてきた。
「あ、ああ……。杉並とか渉とか、元気かなぁって思ってな。はは。あははは」
「ふ~ん? まぁいいけど。ところで杏。この前メールで話したお店、つれてってあげるよ!」
「ふふふ。小恋ったら私をダシにして自分に言い訳してるわね? この胸は、甘いもので大きくなったのかしらぁ~?」
 むにむにと、杏が小恋の胸を揉む。
「や、やめてよぉ~! は、恥ずかしいから~!」
 一回か……。音姫には後ろめたい気持ちもあったが、その一回ですべてが終わるなら……。
 俺は杏の提案を受け入れることにした。
「な、なぁ。小恋?」
「ふぇ? な、なぁに? 義之ぃ」
「今度……飯でも食いに行かないか? その……ほら! や、約束、しただろ?」
「約束……。あぁ! ってことはおごり?!  わ~い! 絶対いく! いつにする?」
 俺の覚悟を知ってか知らずか小恋は本当に嬉しそうだった。
「そ、それは……。まだ予定固まってないから、決まったらメールするよ」
「絶対だよぉ? あ! 杏も一緒に行って良い?」
「私は遠慮しておくわ。二人で行ってらっしゃい?」
 杏が意味ありげな笑みで俺を見た。そして俺にしか聞こえない声でこう言った。
「いい子ね……」
 身震いがしたが、これも音姫と俺のため。こうすることによって友達関係も、音姫との関係も上手くいく。そう信じて。
「え~! 杏も一緒じゃないとつまらないよぉ」
「ふふふ。本当はそう思ってないくせに」
「ううっ。今日の杏、すごい意地悪な顔してる~!」
「あらぁ。私ってそういう人じゃなかった?」
 確かにそういう人だ。小恋や。お前は本当に『良い』お友達を持ったな。ある意味うらやましいぞ。
「じゃあ。そろそろ行くね? 義之、メール待ってるから!」
「お、おう。忘れないようにしとく」
「忘れたら一生うらんでやる~!」
 そう言うと小恋は杏を連れて歩き出した。その後姿をしばらく眺めていたが、ふと、杏が俺の元に戻ってきた。
「上手くやるのよ?」
「分かってる……。そうじゃないと俺の今の生活が終わってしまう……」
「ふふ。本当に小恋が羨ましい」
 杏はそう言うと、小恋が待っているところに走って戻っていった。
 杏の最後の言葉……。あれはいったいどういう意味なんだろうか。音姫ではなく、小恋がうらやましい? それはやっぱり音姫から俺を『一回レンタル』出来たからなのか? まぁ、あいつに限ってそれはないだろう。きっと、あの底なしの元気に対してうらやましいと言ったんだな。そう信じよう。
 これ以上厄介ごとが増えても困るので、自分の中で良いように解釈して俺は家路に向かった。
「それにしても……」
 俺は真っ赤に染まりつつある西の空を見上げた。
「俺なんかのどこがいいのかねぇ……」
 お天道様は当然のように何も答えてくれなかった。
 
家に帰って音姫の顔を見るのが少し辛い。出来れば今日は顔を合わせたくなかった。
しかしその願いは叶わなかった。
「あ! お帰り~! 弟君、遅かったね?」
 学校に居残っていた音姫のほうが先に家についていた。
 俺は冷静に振舞おうと必死だった。
「い、いや何。帰りに友達にば、ばったり会ってさ! あはは。すごい偶然偶然」
 誰が見ても怪しい言動だった。
「そうなんだ! 良かったね。弟君、最近お友達と遊んでるところ見かけないから、お姉ちゃん心配してたんだ。でも、良かったぁ」
 うぅぅぅ。
 申し訳なさでいっぱいだった。
 どうしてこの子はそんなに素直でいい子なんだろう。俺には本当にもったいない。
 でも、この子の幸せのために俺だって頑張ってるんだ。だから、いくらアレな作戦だったとしても、きっちり成功させなきゃいけない。
 そう、音姫のためなんだ。
「ん? どうしたの? 元気ないね。ひょっとして喧嘩しちゃった? ちゃんと謝った?」
「い、いやぁ。大丈夫。大丈夫。ちょっと遊びすぎて疲れたのかな~。なんて」
「弟君ったら。いつまでも子供っぽいところ、抜けないね。まぁ、お姉ちゃんは弟君のそんなところが好きなんだけどね~」
 なんだかいっぺん死んでみたい気分になった。
「っていうか、音姉、今日何してたの?」
 俺はこれ以上音姫に嘘をつくのがつらくなって話題を変えた。
「今日~? えへへ~。秘密!」
「おいおい。隠し事はなしだって約束だろ~?」
 とか言いながら思いっきり音姫に隠し事をしているのだが、この際おいておこう。
「だってぇ。言っちゃったらつまんないんだもん」
 言っちゃったらつまらない? あぁ。そういえばもうすぐあの日か。
「ん。今のでなんとなく分かった。これ以上聞かないようにするよ」
「え~! 分かっちゃったの? 今日の弟君、鋭いなぁ」
 実際、俺も密かに色々準備をしていた。
 もうすぐ六月十七日。音姫の誕生日だった。なんで本人かこそこそ準備してるかは気にしないとして……。これで墓穴を掘ったことになった。
「なぁなぁ。何が欲しいんだ? 実は結構迷ってるんだ……」
 アクセサリー類の無難なものはもぅほとんど過去の音姫の誕生日にあげてしまっていた。しかも季節的には夏だ。服をプレゼントするにしても相当なセンスが要る。俺にはそのセンスがあるとはお世辞にも言えない。
「ん~……。弟君がくれるものなら何でもいいよ!」
「ああ……。そういうのが一番困る」
「だよね」
 二人して苦笑した。さっきまでの罪悪感はとうに消え、その後も音姫のプレゼントの話題で盛り上がった。
 二人で討議した結果、今度の日曜日に一緒に買い物に行くことにした。音姫はそこで気に入ったのがあれば買ってもらうという。
 実に、討議が始まって二時間後に出た結論だった。
「日曜日、楽しみだね~」
「あぁ。何気に久しぶりのデートだからな」
 二人で一緒に布団にくるまりながらそんな会話をする。
 久しぶりにゆっくりとこの時間をすごした気がする。なんだかんだ言って、あれから毎晩のように抱いていたからな。
 たまにはこういう夜も悪くはない。
「ねぇ」
「ん?」
 音姫が寝返りを打ち、むこう向きになりながら俺を呼んだ。
「私に何か隠し事……してない?」
 ぎくりとした。ばれたのか? 一瞬混乱したが、ここで作戦を失敗させるわけにはいかない。
「うん。してない」
 本日何回目の嘘なんだろう。こうやって嘘をつきながら大人になっていくのかと思うと、未来に希望をもてるのかが不安になる。
「そう。なら良かった」
「でも、なんで?」
「ううん? なんとなくね。長く付き合ってると、ちょっとした変化とか、敏感になるものだからね」
「でも、信じてくれるんだ? 今、俺が言ったこと」
「当たり前じゃない。私の一番大好きな人なんだよぉ」
「音姫……」
「ん? なぁに? 義之」
「俺……。お前が彼女で本当に良かったよ」
 むこう向きの音姫を後ろから抱きしめた。すると、安心したように音姫は言った。
「うん。私も。義之じゃなかったら今頃、不安で不安で仕方なかった。でも、義之なら大丈夫って思える。不思議だね。なんでかな?」
「さぁな。でも、そう言ってくれて嬉しい」
 心臓はドキドキバクバクしていた。正直、腕が震えてたかもしれない。でも音姫は、そんな俺の腕をそっとなでてくれた。
 俺も音姫の髪をそっとなでる。
 音姫が振り返る。
 キスまであと数センチ。
 そっと近づいた。
 二人の唇が重なった瞬間、俺の携帯が鳴った。俺たちはその音をシカトしながらお互いの唇を味わった。
 激しく、優しく。
 お互いの気持ちを確認しあうように。
 唇が離れたとき、俺の携帯は鳴り止んでいた。同時に、睡魔に襲われ、俺は夢の世界へと沈んで行った。
 音姫一人を残して。

バンシーチルドレン

2007-02-13 14:49:44 | Weblog
タイトルに特に意味はないですw

今日は久しぶり(?)にお休みいただきました☆
っていうか、無理矢理奪い取った?みたいなf(^_^;)
アシスタントマネージャーの許可を得て代わってもらいました。
だって疲れたもんww(ぁ
久しぶりに力入れてお部屋のお掃除もしたし☆うん♪気持ちいい♪
ついでにお布団も干したかったなぁ~。ふかふかラブ~☆(ぇ

この後、携帯修理に出してきますorz
か、買ったばかりなのにぃ……。

音姉とボク(18歳未満閲覧禁止)

2007-02-10 16:52:41 | Weblog
 気づいたら朝になっていた。
 あれから食器を片付け、そのまま倒れるようにして寝たらしい。
 起き上がろうとして、俺の体を毛布が覆いかぶさっていることに気づいた。
 視線を上げるとそこには音姫がパジャマのままの姿で朝食を作っていた。
「あ、弟く~ん? そんな格好で寝たら風邪ひいちゃうぞ? ただでさえ私が移しちゃうかもしれないんだから」
「んあ……すまん」
 立ち上がり、音姫の元に歩き出す。
 俺は音姫の具合を確かめるためにおでこに手をやった。
 さすがあの薬を飲んだだけのことはあり、熱はすっかり下がっているみたいだ。
「もぅ大丈夫だよぉ。ささ、ご飯の支度するから、顔洗っておいで?」
 やっぱりか。音姫のやつ、今日も学校行く気満々なんだな。
「お前、今日は休めよ。無理したらまたぶり返すぞ?」
「大丈夫だよぉ。弟君の看病のおかげですっかり元通りだもん」
 こりゃ埒があかない。
 仕方なく音姫を抱き上げ、寝室に強制連行した。
「ちょ、ちょおっとぉ。弟君?」
「だめだ。お前は何でもかんでも頑張りすぎなの。今日は俺も学校休むから、おとなしく寝てなさい」
 布団に横にさせ、毛布をかぶせる。ここは譲れない。
「いいな?」
「う~……。はぁい」
「うん、よろしい」
 俺が音姫がやっていた朝食の続きにかかろうと、立ち上がり寝室を後にしようとする。
「小恋ちゃん……必死だったね」
 思わぬ音姫の一言に足が止まった。
「今、なんて?」
「小恋ちゃん。昨日、来てたんでしょ?」
「なんでそれを知ってるんだ?」
 昨日、音姫の様子は何度も確認していた。確認していたが音姫は相変わらず気持ちよさそうな寝息を立てていたはずだ。
「ちょっとね。一瞬、目が覚めたの。そしたら小恋ちゃんと弟君が言い争ってるのが聞こえて……」
 しまった。つい声を荒げてしまったのか。むしろ、寝室の戸を閉めておくべきだったな。
「どこから……聞いてたんだ?」
「ほとんど全部かな? 小恋ちゃんが私に挑戦状を突きつけたこととかも聞こえたよ」
「……そうか。でも、気にするなよ」
「うん……。弟君のことは信じてる。でも、小恋ちゃんには悪いことをしたかなって」
「そんなこと、お前が気にすることじゃないだろ」
「でも……」
「でもは、なし!」
 そんなことで音姫と言い争いたくはなかった。どんなに可愛い子でも、アイドルでも芸能人でも女優でも……今の俺に告白してきたところで、音姫に対する気持ちが変わることはないのだ。
 たとえ音姫の気持ちが俺に向かわなくなったとしても……だ。
「うん……。でも言わせて?」
「なんだ?」
 決意に満ちた音姫の表情。
 その迫力に押されて、音姫の主張を聞き入れることにした。
「私……。負けないから!」
「そうか……。それを聞いて安心したよ」
 てっきり、小恋に譲るとか言い出すのかと思った。音姫に対する気持ちは一方通行じゃなかったのを再確認してほっと胸をなでおろした。
「私と弟君が付き合ったことによってたくさんの人を傷つけたかもしれない。由夢ちゃんにしてもそう。でもね、私、それも覚悟の上で弟君と付き合ってるもん。皆の気持ち以上に弟君が……ううん。義之が好きだから。中途半端な気持ちで義之と付き合ったりなんかしたらそれこそ、その皆を傷つけることになるし」
「ごめんな。俺のせいで」
 全然気づかなかった……というのが一番の罪であることを最近知った。
 故意でやったのならともかく、自覚がないのだから反省のしようもない。
 それがまた、俺の周りの人を傷つける結果になっているわけだし、音姫を苦しめる結果になっていた。
 本当に申し訳なかった。音姫にも、皆にも。
「義之は悪くない。ううん? きっと誰が悪いわけじゃないよ。こういうことは運命だから。きっと誰もそれに逆らえない。私が選ばれたのもそう。むしろ私は義之と付き合えて本当に幸せだから……。私も義之にいっぱい幸せをあげたい!」
「音姫……」
「義之……。愛してるよ」
 音姫の目がゆっくり閉じられていく。合図だった。
 俺はゆっくりと音姫の唇に向かい、そしてついばんだ。
 音姫がそれを受け入れる。
「ん……。んん……」
 深い、深いキスを交わした。今、俺の口の中にある唾液がもぅどっちの唾液だか分からないくらい、夢中になって音姫の唇をもてあそび、楽しみ、そして愛した。
「んん……んんぅ~……。よ、義之ぃ……良いよ?」
「ああ」
 俺の手が音姫の胸を優しくなで、そして揉みほぐした。
 パジャマということもあって、いつもよりなんだかエロティックだった。エロティックだったが同時に新鮮で、それがまた愛しくて、俺は音姫のパジャマを脱がさずそのままの感覚を味わった。
「ん……。あ……。義之ぃ。今日の義之、すごいエッチな顔してる……」
「そう? そうかも。だって、音姫のすべてが欲しいって、俺の体が言ってるんだもん」
「恥ずかしい……。あっ……。もぅ……。そんな愛撫の仕方ってある~? んあっ……あっ……」
 色々な愛撫を試してみる。
 そのたびに音姫は敏感に反応してくれた。
 それがうれしくて、欲望はだんだんエスカレートしていった。
 俺の手は、音姫の下半身を走り、そして音姫の一番大事なところの周りに指をそ~っと走らせる。
「あっ……。くすくす……。くすぐったいよぅ。義之ぃ」
「知ってる。だって、くすぐってるんだもん」
「もぉ~。遊んでるのぉ? お姉ちゃん、怒るぞぉ?」
「そんな軽口聞けないようにしてやる」
 そう言うと俺は中指を音姫の中にゆっくり挿入した。
「んあっ! だめっ……! ああ……。んああ……」
 音姫の中はすでに大洪水状態だった。
 俺の中指なんか一瞬で根元まですっぽり入ってしまう。
 その中指を動かすと、くちゅくちゅといやらしい音が聞こえてきた。
 その音は音姫にも聞こえているらしく、ひたすら恥ずかしがりながらも快感を味わっている。
 俺は指を追加した。そのとたん、音姫の体が一瞬ぴくっとはねたが、すぐにまた快感の海へと沈んでいく。
「あっ……あっ……ああっ……。よ、よしゆきぃ~……も、もっとぉ……もっと、ちょうだいぃぃ」
「今日の音姫、ものすごくエッチだ」
「えっ? あっ……んっ……んん~……。よ、よしゆきがぁ~……んっ……んあっ……悪いぃぃ」
 こんな音姫、誰が想像できるものか。
 普段はまじめで、そして清らかなイメージを周りに振りまいている音姫が、俺の愛撫に本気で感じ、反応し、喘いでいる。
 この瞬間が俺は好きだった。
 この世の裏側すべてを手に入れた王様になった気分だった。
 俺は指を抜くと、息子に帽子をかぶせ、それを音姫に挿れた。
「あああっ……。あっ……ああっ……。よしゆきぃ。暖かいぃ。んあっ……。あっ……。あっ……。やだ……。声、おさえ……んんっ……おさえられ……っ……ない……あっ……」
 俺のゆったりとしたピストン運動に合わせて音姫が喘ぐ。
 その自分の声が恥ずかしいらしく、もう音姫の顔は真っ赤になっていた。
「音姫の声、すごく可愛い。もっと聞かせて?」
 俺は腰を激しく振った。音姫の声は少しずつ大きくなっていき、ついには悲鳴に近くなってきた。
 快感が俺の下半身にもやってきた。
 俺は音姫の口を自分の口でふさいだ。
 舌を絡ませ、唾液を交換し、さらに激しく腰を振った。
「んんっ……。んふっ! んぁっ……んんっんんんんっ……。んちゅ……。んんんんん~~! んぁああぁ~!!」
「お、音姫……。も、もぅ……」
 唇を離し、音姫を見据える。
「ん。いいよ……。私も……いき……いきそ……。あっ……。あっっっ……」
「音姫……音姫。愛してる。んっ……。世界で一番、お前を愛してるからな!」
「よしゆきぃぃ~!」
 限界だった。
 俺の体内から、大量の精液が出て行くのがわかる。
 体力を使い果たし、音姫の上にかぶさる。そんな俺の頭を優しく音姫はなでてくれた。
「お疲れ様……。義之」
「ん。音姫、ちゃんといけた?」
「そ、そんなこと聞かれても……」
 恥ずかしそうに視線を落とす音姫。
 この様子だと無事にいけたみたいだな。
 二人が同時に達するのは今回が初めてだった。
「大好きっ……」
 そのまま音姫は俺を力いっぱい抱きしめた。俺もそれに負けじと音姫を抱きしめた。
 朝からこんなことをしてしまったことに抵抗はない。
 俺たちは本当に愛し合っているんだ。その気持ちに時間なんて関係ない。ただただ、お互いがお互いを求めている。それで十分だった。
 音姫が毛布を被せてくれ、俺と音姫はお互いにしっかりと抱き合いながら、どちらともなく眠りについた。

 何時間経っただろうか。
 目が覚めた俺は時間を確認しようとして、携帯に手を伸ばした。
 携帯を開くとメールが一通来ていた。送り主を確認して、メールを開ける。
 小恋からだった。
『昨日はごめんなさい。私……どうかしてたかも。寝室で聞き耳立ててた音姫先輩にも謝っておいてください。でもね、義之への気持ちだけは変えられそうにないから。今日は学校休みます。今、義之に会ったらまた感情的になりそうで怖いので。  
 追伸、音姫先輩の風邪、早く治ると良いね』
 『俺も、悪かった』と、打とうとしてやめた。今は刺激しないほうがよさそうだと思ったからだ。
 携帯を閉じ、横で静かな寝息を立てている音姫に目をやった。
 こう見えて寝たふりが上手いからな。どんなにぐっすり眠っているように見えても、密かに聞き耳を立ててたりする。
「音姉」
 耳元で名前を呼んでみた。反応はない。もう一度呼んでみる。
「音姉、小恋がごめんってさ」
 やはり反応がなかった。
 これは本格的に寝ているなと思い、静かに布団を出る。
 音姫が準備の途中で投げ出した(正確には投げ出させた)朝飯の後片付けをするため、俺は台所に向かう。火を使っているときじゃなくて本当に良かったと思う。
「さて……」
 音姫が起きないようになるべく音を立てずに片づけをはじめる。これが意外に難しいことを今、初めて知った。
 いつもは十分足らずでやっていた作業をのんびり三十分かけてやった。もどかしかったけど、たまにはこんな日もいいかなと思えてきた。
 時刻は一〇時を回っていた。今日は二人とも一限から講義があったが、当然のごとく間に合わない。
「たまには……な」
 お湯を沸かし、コーヒーを淹れた。
 それとお菓子を持って、テレビの前に座った。基本的にはこの時間、テレビなんか見ない、というか見れないので、どんな番組がやっているのか知らなかった。適当にチャンネルを回している俺はある局でチャンネルを回す手を止めた。
「そんな……。うそだろ」
 テレビの中でアナウンサーがうっすらと微笑を浮かべながら原稿を読んでいた。
『……このように、一時は枯れていた初音島の桜でしたが、今年は春が終わった今でも満開であるとのことです……』
 初音島のシンボルが帰ってきたと、キャスターも喜んでいる様子だったが、こちらとしては恐怖すら感じるニュースだった。
 あれは確かに俺の目の前で音姫が枯らしたはず。その日からは、ほかの地域の桜の木のように春にならないと花を咲かせていなかったはずなのに。どうして……。
 考えられる原因はいくつかあった。
 まずはじめに、さくらさんの仕業。これは喜ばしいことだった。
 あれ以来、さくらさんの姿を見た人は誰もいないし、噂では俺を復活させるために自らが犠牲になったと。もし、今回の騒動がまたさくらさんに原因があるのなら、もう一度会うことが出来る。桜をまた復活させた意図は分からないが、それを差し引いてもやっぱり嬉しいことであった。
 もうひとつ考えられる原因は……。
 ごくりとつばを飲み込んだ。
 あの、由姫さんのもう一人の娘。
「由夢……」
 俺が初音島に居た頃は、あいつに能力があるとかないとか全く分からなかった。でも、もし気づいていなかっただけで、あいつにも能力があるのだとしたら……。
 あいつの俺らに対する強い気持ちが桜を復活させたことになる。何を願ったかは知らないが、ゆがんだ願いが桜を復活させたのだとしたら……。再び初音島の住民に被害が及ぶことになってしまうだろう。
 でも、可能性的には極めて低い。あの頃の桜だって、さくらさんがアメリカで研究をしたサンプルを持ち込んだもので、オリジナルはとっくに枯れて、花をつけなかったのだから。
「弟く~ん……」
 音姫が目をこすりながらのろのろ寝室から出てきた。
 俺は慌ててテレビを消す。このニュースを今、音姫に見せるわけにはいかなかった。
 これは俺だけで留めておきたかった。
 変な正義感かもしれないが、今度の事はきっと俺に非があると感じていたため、音姫を巻き込みたくなかった。
 ましてや、あの頃のようなつらい思いなんか二度と音姫にしてほしくなかった。
「起きたか?」
「うん~……。弟君、学校はぁ~?」
「休む。お前を放っておけないしな」
 すると音姫は少し困ったような顔をして
「私は大丈夫だからぁ。弟君まで学校休むことないよ」
「いや。一人にして置きたくないんだ。少なくとも今はな」
 半分本音で半分建前。まぁ、至極単純な理由を述べてしまえば、面倒くさいのである。音姫が風邪をひいたときから、俺も休んで看病することは決めていたし、さらに昨日のあの出来事だ。学校になんか行く気になれない。
「うぅ~……。ごめんね……」
「また謝った。大丈夫だって言ってるだろ? そうだな、次から音姉が悪くないのに謝ったら何か罰ゲームでもしてもらおうかな」
「え~。それだけは勘弁だよぉ」
 きびすを返し、逃げるようにして洗面所に行った音姫。
 俺はそんな音姫を見て、少し安心した。
 そうだ。今回は俺が解決しなくてはいけない問題なんだ。音姫には、つらい思いをさせないために俺が踏ん張れば……。
 決意を固めた俺に顔を洗ってきた音姫が飛びついてきた。たまにある音姫の過剰なスキンシップだった。
 俺は音姫をしっかり受け止め、愛しいその髪をなでてやった。
 安心したように音姫が両手を俺の背中に回し、きつく抱きしめた。
 俺もそれに負けじと音姫を抱きしめた。
 胸にある不安は相変わらず消えなかったが、少し小さくなったような気がした。

音姉とボク

2007-02-05 23:54:43 | Weblog
 「それで? 3限の授業はちゃんと受けられたの?」
 夕食時、俺は一番気になっていた疑問を音姫にぶつけた。
 帰り道ではいつもどおりの音姫に戻っていたので、あまり気にはしないようにしていたのだが、やっぱり少し気になった。
「え? だ、大丈夫だったよ!!」
 大丈夫じゃなかったんだな。音姫がこういう言い方をする時ってだいたいそうなんだよな。
でもまぁ、普段からまじめに授業を受けている音姫のことだ。一回の講義が空白になったところで、そんなに痛手ではないだろう。
「まぁ、ならよかったよ」
 なんとなく気まずい雰囲気が流れた。これ以上、この話題には触れてはいけない気がして、俺はテレビのスイッチを入れた。
『……来週、桜花大学の校内で予定されていた撮影は、韓国の俳優、ぺ・ヤング氏の事情により、一時中止ということになりました』
 まずい! 失敗した。この時間のニュースで取り上げないわけがないのだが、まさかテレビをつけた瞬間にどんぴしゃとは……。今日の俺は本当についてない。
 あわててチャンネルを変えようと、リモコンに手を伸ばしたのを、音姫に止められた。
「一時……中止?」
『……これは、韓国政府とぺ・ヤング氏の問題であり、日本のドラマ制作に迷惑をかけるわけにはいかないということで、ぺ・ヤング氏が韓国政府に頭を下げ、日本のお盆頃には来日できるよう話し合いを行ったという……』
 お? じゃあ、撮影は完全になくなったわけじゃないんだな。
「な? 俺の言ったとおりだろ? まぁ、音姉に聞こえてたかはこの際、別として」
「うん! 撮影しているところ自体は見れないかもしれないけど、ドラマ、すっごく楽しみだから!」
「やっぱり、忍びこんで見る気だったんだ?」
「えへへ~! だって、生でキムタク見たかったんだもん! ヤン様も!」
 夏休みには、初音島に帰る予定だったから、当然、撮影を見に行くことは出来ない。
 でも、音姫が納得しているのなら良いかなと思えてきた。
「まぁ、何にしても音姉が元に戻ってくれてよかったよ。帰りの時間まであのままだったらどうしようかと思ったんだぜ?」
 すると、音姫はテレビの電源を切った。
 この後の番組は音姫がいつも楽しみにしている番組だった。しかも、録画をしている形跡もない。
「音姉?」
「また……弟君に迷惑掛けちゃったね?」
「なんだ、そんなこと気にしてないのに」
「ううん? 弟君が気にしなくても私が気にするよ」
 あ~あ……。また始まったよ。音姫の悪い癖パート2。こうなっちゃうと、俺の気持ちとかまったく無視で、俺のご機嫌をとろうとするからな。ぶっちゃけ、こっちとしては普通で居てくれたほうがいいのだが。
「弟君? 来て……」
 でも今日はまた違った反応だった。
 普段だったら『何が欲しい? お姉ちゃん、弟君が欲しいものだったら何でも買ってきてあげるから!』とか、『弟君、肩こってるでしょ? お姉ちゃん、マッサージしてあげる!』とか言ってたのだが。
「え? え?」
「もぅ……。来てって言ってるでしょ?」
 微妙に赤らめた顔。少し上ずった声。
 間違いない、これは。
「え? こ、ここで?」
 黙って首を縦に振る音姫。
 男の子とはいえ、準備も出来ていない時にそんなこと言われても困る。まぁ、少なくとも俺の場合はそうだ。
「音姉、悪いものでも食った?」
 俺は食卓に並んだ食材を確認した。うん、大丈夫だ。俺が作ったものが半分以上を占めている。あとは適当に買ったレトルト製品が並んでいるが、ひょっとしてこれか?
「……」
「……」
 音姫や。俺の負けでいいです。だから、そんな目で見ないでください。
「分かった。音姉がそこまで言うなら……」
 実際は言ってないだろ! とか突っ込まれても俺は反論に困ってしまう。
 この目は、音姫のこの表情は、きっと間近で見てみないと分からないものがあるだろう。
 相手に有無を言わせないような目、そして表情。朝の音姫じゃないが『ずるい』表情であった。
 俺は少しためらいがちに音姫を抱いた。
 暖かい……というか、熱い?
「ん? 音姉?」
「お、弟くぅん~」
 甘えた音姫の声を無視して、おでこに手をやる。
 俺の手がものすごい熱を感じた。
「お前……。いつから?」
「あはは~……。ばれちゃった? ん~……。ちょうど夕飯前くらいかなぁ? 急に寒くなってきたと思ったら、今度は体中がぽかぽかしてきてぇ……」
 普通を装ってたけど、ご飯食べ終わった後に耐え切れなくなったと。
「バカだな。無理しないで言えばよかったものを」
「だってぇ~。今日、いっぱい、弟君に迷惑かけちゃったもん~……。これ以上は悪いから~……」
「そういうことは完璧に隠しきれたら聞いてやるよ。ちょっと待ってな」
 俺は台所に行った。確か、この前俺が風邪ひいたときに飲んだ薬があったはず。少し眠くなるやつだったから、ちょうどいいだろ。
 食器棚の奥のほうに追いやられた風邪薬を発見し、音姫の元に戻ってきた。
 それを音姫に飲ませ、寝室へと促した。
「うぅ~……ごめんね? 変な期待持たせちゃって……」
 あえてそっちを謝るんだ。まぁ、音姫らしいといえば音姫らしいけど。
「大丈夫だよ。俺ら、何年も付き合ってるんだよ? ほら……その……そういう気分になったら、我慢しないから平気だよ」
「弟君の……エッチ……」
「ははは……。いいからゆっくり寝な? 俺、片付けしなきゃだから」
 俺が立とうとしたとき、音姫に右手をさらわれた。
「もうちょっと……ここに居て?」
「ん……。分かった。手、握っててやるからさ」
 しっかりと音姫の手を握ってやる。
「義之……。大好きだよ」
「俺もだよ。音姫」
 こうしていると、昔を思い出すな。
 そう、あの時も音姫は熱を出していた。しかも、今日みたいにぎりぎりまで耐えていたような気もする。
 由夢の誕生日の日。俺は、由夢の約束をすっぽかして音姫の看病をした。
 その後、音姫が少し落ち着いたので由夢の元に駆けつけたが、時すでに遅し状態。
 今思えばあの頃から由夢の、俺に対する印象というものは変わってしまったのかもしれない。
 やがて音姫の静かな寝息と共に、俺の手を握る力が弱まった。
 薬が効いてきたのだろう。あれ飲むとかなり眠くなるからな。しかも結構強い薬だから、明日の朝にはひょっとしたら熱も下がってるかもしれない。
「それにしたって、明日は休ませるべきだよな……」
 音姫は何でもかんでもがむしゃらに頑張る癖がある。そこは音姫のいいところでもあり、悪いところでもあるのだけど。
 そのとき、俺の携帯が鳴った。
 その音で音姫を起こさないようにあわてて寝室を出て、通話ボタンを押した。
『もしもしぃ? 義之ぃ?』
 小恋だった。ディスプレイを確認しないで電話に出たので少しびっくりした。
「おぉ。どうした~?」
『どうした? じゃないよぅ。音姫先輩、大丈夫かなぁって電話したんだけど』
「あぁ~。その件に関しては大丈夫だ。ただ……」
『ん?』
「あれから音姉のやつ、熱出してさ。今、薬飲ませて寝かせたところ」
『あわわわわ。ごめんね~。変なタイミングで電話しちゃってぇ』
「ああ大丈夫だ。タイミング的にはぎりぎりセーフだったな」
 もうちょっと早かったら、せっかく寝付いた音姫を起こしてしまう結果になったろう。
 幸い音姫は深い眠りについているらしく、びくともしていない。
『なら良かったけどぉ。ねぇ、義之? これからちょっと会えないかな?』
「今からかぁ? どこに行けばいいんだ?」
 時計を確認した。今はちょうど8時半くらい。決して遅い時間ではないが、今から出掛けるとなると少し億劫だ。
『私、義之の家に行くよ! 話……聞いてもらいたくてさ』
「わかった。気をつけて来いよ。今、結構物騒だからな」
『りょ~か~い。いざとなったら、義之に助けを求めるから平気だよぉ』
 勘弁してください。俺はあなたのボディーガードじゃないんだから。
「まぁ、ともかく気をつけて来いよ」
『もぅ。子供じゃないんだから平気だよぉ』
 そういうと小恋は電話を切った。その次の瞬間、うちの玄関からノックの音が聞こえた。あのヤロ、家の前で電話してやがったな。
「義之ぃ?」
「あぁ~! 今開けるから大きな声を出すな! 音姉が起きるだろ」
 むしろ俺の声のほうが大きかったような気がする。一瞬、音姫が寝ている寝室を確認したが、音姫の眠りの妨げにはなってなかったらしい。相変わらずすやすやと規則ただしく胸が上下している。
 ほっと胸をなでおろし、玄関の扉を開けてやった。
「やほ! 大丈夫だって言ったでしょ?」
「あ~。お前には負けたよ……」
 『やった!』とばかりに小さくガッツポーズをする小恋。そんなに嬉しかったのか……。まったく、女の子っていう生き物は時々よく分からないな。
「んで? 話って何よ?」
 俺はいきなり本題をぶつけた。音姫のこともあるし、早めに済ませたかった。
「ん~……ちょっと話づらいんだけど……」
「なんだ? 急に改まって……」
「あうあう~……。実はね……」
 小恋はもじもじ話しにくそうにしながらも、少しずつ話はじめた。
 なんでも、大学で同じ講義を取っている男が居るそうなのだが、その男にご飯に誘われたらしい。大学生なんだからそれくらいは普通だろうと思ったのだが。
「なんで? ご飯くらいだったら良いんじゃないの?」
「でも、二人きりだよ? そこまで親しくないのに……」
「だったら、断れば良いじゃん」
「うん。断ったよ? でもしつこくて……」
 きっぱり断ったらしいのだが、男の方が『なに? 彼氏でも居るの?』とか聞いてきたらしく
「だから。『うん! 居るもん。桜内義之って人が私の彼氏だから』とか言っちゃった」
「いや、言っちゃった! じゃないし! 俺と音姉がいつも二人で登校してるのをそいつ知らないの?」
「いやぁ? むしろ、義之自体を知らなかったらしくてさ。『ふぅん』って言ってどっか行っちゃった」
 なるほどな。それで万事解決……って、待て待て! だったらなんで小恋は家に来たんだ?
「ちょっと待て小恋。それじゃあ、お前が家に来た本当の目的は何だ?」
「えへへ~。久しぶりに遊びに来たよぉ! だって義之、最近ガード固いんだもん。音姫先輩、音姫先輩ってさ~。私だって女の子なんだよぉ?」
 小恋が言いたいことはなんとなく分かった。昔から何かにつけて一緒に居た存在だからな。俺に彼女が出来て、寂しくなったのだろう。それは分かるのだが……。
「だから~! 抱いて? 義之ぃ」
「は?」
「聞こえなかったのぉ? 抱いてよぉ。音姫先輩を抱くみたいにさぁ」
「ちょ、ちょっと待て! お前ってそんなキャラじゃなかったよな?」
「うぅ~……。このニブチン義之めぇ。私なんか、音姫先輩よりずっとずっと義之の事しってる自信あるもん!」
 何がどうなってるんだ? 確かに、小恋とは物心ついた頃から幼なじみをやっているが、音姫とは物心ついた頃から姉弟をやっている。
 どっちがよく俺を知っているかといったら、音姫の方に軍配が上がるのではないのか?
 本当、女の子って時々よく分からない。
「私、ずっとずっと義之のこと、大好きなんだから! 音姫先輩になんか、負けないんだから!」
「い、いやぁ。負けるも何も、俺ら付き合ってるわけだし……。小恋とは……」
「分かってるよ~……。だからぁ。音姫先輩と別れて?」
「は? は? 小恋。お前、どうしちゃったんだ?」
 いつもの小恋ではなかった。
 音姫と同じく、熱でも出したかとおでこに手をやったが、熱はなかった。
「私はまじめに話してるの! まじめに聞いてよ!」
「な、なぁ。小恋。落ち着け?」
「落ち着いてますぅ。義之が混乱してるだけじゃない」
 実際、誰の目から見てもそうだった。小恋のやつはちゃっかり正座して俺を真正面から見据えているのだが、俺のほうはというと視線があっち行ったりこっち行ったり、足元は落ち着かずそわそわしていた。
「と、とりあえず。話し合おう? なんでまた急にそんなことを言い出したんだ?」
「急にじゃ……ないもん……。ずっとずっと、サイン送ってたのに、気づいてくれなかったじゃない。かと思えば、いつの間にか音姫先輩と付き合っちゃってるしぃ。だからね、決めたの。次のチャンスは絶対逃さないって。義之がニブチンだから、私が積極的にならなきゃいけないって」
「チャンスって……」
「音姫先輩が弱ってる今がチャンスだもん! 音姫先輩には悪いけど、私だってこのまま引き下がるわけにいかないんだから」
 弱った。本気で弱ってしまった。
 きっと小恋をこんなにしたのは俺のせいなんだろうな……。俺がにぶ……ニブチン? だったのがいけないんだな。
 正直、へこむ。
「分かった。お前の気持ちもよ~く分かった。けどな、今は勘弁してくれ。せめて音姉の風邪が治ってからでも……」
「そうやって逃げるんだ……」
「なっ!? そうじゃない! 風邪ひいてる音姉を放っておけるかよ!」
「それは風邪ひいてるのが音姫先輩だから?」
「そんなことはない! 誰だって親しい人が具合悪かったりしたら、心配だろうが!」
「……わかった。じゃあ、私も風邪ひけば義之に心配してもらえるんだね?」
「そ、それは……」
 言葉に詰まってしまった。
 気まずい空気が二人の間を縫っていく。
 今日は本当に、魔物でも取り付いているのか? なんてついてない一日なんだ……。
「ごめんね? 私、どうかしてた……」
 小恋はすっと立ち上がると、玄関までふらふら歩いていった。
「大丈夫か? 家まで送るよ」
 そういうと小恋は力なく振り返る。青ざめた小恋の顔が小刻みに震えていた。
「義之……。中途半端な優しさってね、時に人を傷つけるんだよ?」
 俺は何も言い返せず、ただただ小恋が扉をあけて出て行くのを呆然と眺めることしか出来なかった。
 寝室では音姫が何事もなかったかのように静かな寝息を立てていた。

音姉とボク

2007-02-02 00:52:21 | Weblog
 部屋から出る。音姫が作ってくれている朝ごはんのにおいがする。
 俺と音姫の寝室を出るとすぐに台所が見える。そこでは、さっきまで俺の腕の中に居た音姫がにこにこしながらテーブルを彩っていく。
ご機嫌な様子だった
 我ながら本当に良い彼女をもったと思う。きっと、彼女以上の子は俺の今後の人生の中で、絶対にあらわれないと思ってるし、音姫との仲が壊れてしまうなどということは考えもしなかった。
「いやにご機嫌じゃない?」
 少し、いたずら心が芽生えた。
「え? まぁ、ね。弟君ったら朝から大胆なんだもん」
「大胆って? 俺、何かした?」
 とたんに困ったように赤面してうつむいてしまった。
 うん。そんな表情が見たかったんだよ。お前は素直で可愛いな。なんていうか、男心というものを知ってるかのように悩殺的な態度をとってくれる。
「可愛いよ。音姫」
 一度火が付いたいたずら心は、そう簡単に抑えることは出来ない。このまま、突っ走ってしまうのを制御できないほど、俺はまだまだ子供だということなんだろう。
「あぅ……義之だって。いきなり抱きしめたり、名前で呼んだり、ずるいんだから」
 その言葉、ものすごい好きだ。
 『ずるい』という言葉の持つ、強大なパワーにひたりながら腰掛けた。
 音姫もご飯と味噌汁を二人分持って席に着いた。
「いただきます」
 二人そろって朝ごはんを食べる。当たり前のようで大切なこと。
 自分が作ったものを相手に食べてもらう。この喜びは、女の子じゃない俺も経験済みだ。
 実際、料理の腕では俺の周りに敵はないと思っているくらい。
 この、音姫を除いては……だけど。
「おいしいよ。音姉」
 お世辞でもなんでもなく、自然に出てくる言葉。昔の俺じゃ負けたくない一心でそんな言葉なんか、口が裂けても言えなかっただろう。
 今は、この瞬間は、素直になれた。
「弟君には負けるよ~! 本当、どっちが主婦やるのか喧嘩になりそうなくらい」
 ケラケラと無邪気に笑う音姫。何度も言うが、いい彼女を持ったと思う。
 俺は世界一幸せな男だと。
 朝ごはんが終わり、片付けもやるという音姫をなだめて、俺が食器を洗った。
 今の社会、男も家事をしなさいとかテレビで口うるさく言っているが、そんなものは、うちでは当たり前のこと。
 お互いがお互いを尊重しあい、お互いがお互いをいたわりあう。これこそが、健全なカップルというやつじゃないかと思う。
「終わった~! さて、そろそろ時間?」
 食器を全部洗い終わり、きれいに拭いて食器棚にしまった俺は時計を確認した。
 9時ちょっと前。俺は2限から、音姫は3限からという今日のスケジュール。
 少し早いけど、一緒に家を出ることにした。
「ねぇねぇ? この前、テレビでうちの大学のことやってたよね?」
「え? あ、うん。確か、木村拓朗と韓国のぺ・ヤングが共演するっていうドラマの撮影会場になるんだよな」
「そうそう! 楽しみ~! 日韓の二大スターがうちの大学にくるんだよ! 本当、この大学に入ってよかった~!」
「いや、でも、撮影中は立ち入り禁止だろ?  しかも、その期間は学校が休み! 俺としては違う意味でこの大学に入ってよかったと思ってるよ」
 そう、この大学はよくドラマの撮影に使われたりする。たいていは夏休みや春休み中といった、学生が長期休みでキャンバスが留守のときに行われるのだが、今回のドラマは音姫が言ったとおり、日韓の二大スターの共演なのだ。お互いのスケジュールをあわせるのが大変で、やむなく大学側は1週間、全講義休講という特例措置を提示し、ドラマ制作側がそれに応じたのだった。
「弟君ったら! まぁ、その分、弟君との時間が増えるなら喜んでもいいかなぁって」
「大丈夫。バイトも軽めに入れてあるから、遊びに行ったり出来るよ」
「本当? 嬉しいなぁ。最近、弟君と出掛けたりすることってなかったもんね」
「うん。まぁ、一緒に暮らしてるし、ちょっとなぁなぁになってた部分はあるよな」
 確かに、常に一緒に居ることは居るのだけど、一緒に居るというだけで、恋人らしいことはあんまりしていない気がする。
 どうだろう。最近、流行っている恋愛映画『今、刺しに行きます』でも見に行こうかな。
「えへへ~。どこ行こうかなぁ」
 俺の横ではしゃぎだす音姫。そのしぐさが可愛くて、そっと手を握った。音姫も無言のままそれに応じてくれた。
「そういえば、もぅすぐ夏だね」
「あぁ。夏休みだな」
「違うよぉ。暑いけど、楽しい季節だなって思って」
 そっか。音姫は夏が好きなんだったっけ。
 付き合って数回は夏を経験した。その度に音姫は人一倍、はしゃいでいた気がした。
 一方の俺はというと、暑さに耐えられずにダウンした日も数え切れないほど。
 どちらかというと、冬が好きな俺にとってあの夏の猛暑に耐えるだけの耐性は持ち合わせていない。
「その前に。テストもあるしね。弟君? 大丈夫なのかにゃ~?」
 色んな意味でどきどきさせる発言だった。
 テストかぁ~……。何でそんなものがこの世に存在しているんだろう。本当、いらない制度だなと受けるたびに思う。
「でも、それがないと弟君、勉強しないでしょ?」
 俺の心を見透かされたように音姫に突っ込まれてしまった。
「あ、でも。弟君、テストがあっても勉強しないか」
「あ、よく俺をご存知で」
 二人で笑いながらキャンバスに入っていく。
 そこで俺と音姫は、掲示板の前の人だかりに気づいた。
「なんだろう?」
 音姫が俺に尋ねる。もちろん、俺もそんなこと知ってるわけがない。
「さぁ? 撮影のことは皆、知ってるはずだし、いまさら人だかりなんか出来ないよな」
「行ってみましょう?」
 野次馬根性丸出しのまま掲示板前の人だかりまで歩いた。
 皆が口々になにかを言っている声が聞こえてきた。人数が多い上、ばらばらなことをしゃべっているので、聞き取ることは不可能だった。
 そんな人だかりの中に見知った顔を発見した。
 小恋だ。
「小恋じゃん。久しぶり」
 話しかけると、びっくりしたように振り返りながら、挨拶を返してくれた。
「義之~。久しぶり。元気だった?」
「俺は元気だよ。小恋も元気そうだな」
「まぁね~! 元気だけは義之に負けないよぉ。って、音姫先輩、お久しぶりです」
「うん、久しぶり~。小恋ちゃん、なんだか可愛くなったよね」
「ふぇ?! そ、そんな、こと……ないです……」
 顔には、努力しました! と素直に書いてあった。相変わらずだな。少し安心した。
「まぁ、それはおいといて。この人だかりはなんなんだ?」
「義之、知らないの? ドラマの撮影、中止になったんだよ?」
「知らないも何も、今来たばかりだし……」
「あれ、昨日から貼ってあるよ?」
 基本的には朝一しか掲示板をチェックしない。それは音姫も一緒だった。
 音姫のほうに視線をやると、まさに真っ白になっているという表現がぴったり当てはまるような、抜け殻状態になっていた。
「まぁ、それは良いんだが。何でまた中止になったんだ?」
「んとね~……。韓国のほうで、政府とぺ・ヤングが、兵役? だったかな? そのことで揉めたらしくて、来日出来なくなっちゃったみたいだよ」
 まぁ、来日できないということは、同時にドラマの撮影もなしということになる。
 結論から言ったら、学校が休みではなくなるということだった。
「はぁ~……:。俺の第二GWを返せって感じだよなぁ。韓国政府は」
「あはは……。ところで義之ぃ? 音姫先輩、さっきからどうしちゃったの?」
「あぁ~……あいつ、このドラマ楽しみにしてたからな。撮影も放送も」
「あちゃぁ~……。それじゃ落ち込んじゃうよね~……」
 指でつついても反応はなかった。
 仕方ない。少し恥ずかしいが、おんぶして運ぶことにしよう。
「こいつ、ちょっと教室まで送るから。悪いな。こっちから話しかけたのに」
「ううん? また今度、ゆっくり話そうよ。そのときは、お昼ご飯でもご馳走してもらおっかな」
 うぅ~……いつからこんな子になってしまったんだろう。小恋や、お父さんは悲しいぞ。
 なんてことを言ったら、きっと小恋は笑って『いつからお父さんになったのぉ?』なんて言ってきそうだ。
 まぁ、昼飯おごるくらいなら安いか。昔の話とかもしたいしな。
「仕方ないな! 今回限りだぞ?」
「ほんとぉ? やった~! 楽しみにしてるね」
 心底嬉しそうな小恋に手を振り、音姫の教室、といっても3限からなのだが、2限は使われないらしく、そこに音姫を座らせた。
「じゃあ、授業行ってくるからな? いい加減、あきらめろよ。まったく無くなったわけでもないっぽいんだし」
 そう一声掛けて立ち去った。
 振り返って確認したが、相変わらず抜け殻状態だった。
 だめだこりゃ。ああなっちゃうと、しばらくかかるんだよな。
 3限の授業、無事に受けられるんだろうか。
 心の底から心配だった。
「はぁ~……」
 こんなに大きなため息をしたのは実に何年振りであろうか。体中の力が抜けた気がした。
 2限が終わったら、様子見に来てやるかと思い、自分の経済学の教室に向かった。

小説でも……

2007-02-01 00:21:47 | Weblog
載せますかぁ♪
いかんせん書くネタないからね♪
これは、知ってる人が見たら多分よく分かると思いますが、一応二次作品になるのかな?

就職に向けて、書き続けてます♪

   音姉とボク

 ひらり、ひらりと桜の花びらが舞う。季節はゆっくりと確実に夏に向かい始めている。
 ボクは大好きなお姉ちゃんと一緒にこの桜を見ている。
 とても幸せな時間。誰にも邪魔されたくない、とっても大切な時間。ボクにとっての唯一で無二な時間。
 ボクは生まれて初めて恋をした。血はつながってないけど、ボクのお姉ちゃんに恋をした。それはきっといけないことなのかもしれない。姉弟という関係がある以上それより先には進んではいけないような気がしていた。
 でも……
 この気持ちはとめられない。
 これは、ボクとお姉ちゃんのすべてをつづった物語。
 後世を生きるボクとお姉ちゃんの子供たちのために残す、親としての大切なメッセージ……。

「こーら! 弟君! 早くしないと遅刻しちゃうよ?」
「んあ…音姉~……あと五分だけ…今、良いところだから……」
 朝。ちょうど見ていた夢のいいところに音姉が乱入してきた。
 こういう時に起こされるのはあまり良い気持ちがしない。特に女の子関係についての夢のときならなおさらだ。今、まさにその類の夢の絶頂期にあったのを妨害されてしまったのだった。
「んもぅ~! 弟君ったら~! どうしたらおきてくれるだろぅ……」
 困り果てた音姉の声。本当にいとおしいと想う。
 俺が音姉に特別な感情を抱いたのは風見学園に入学したころだった。音姉は本校でも指折りの美人さんだった。しっかり者で、時にドジっ子であった音姉に特別な感情を抱くまでそう時間はかからなかった。
「もういい! 由夢ちゃん呼んできて起こしてもらうから」
 考えた結果それですか! 音姉~。そ、それだけは勘弁してください。きっとボクの命も今日で尽きてしまいます……。
「わ、わかったから! それだけは勘弁してください!」
「わかればよろしい。早く顔洗ってらっしゃい?」
 さらさらのロングのポニーテールが揺れ、音姉がボクの部屋を出て行った。
 今日も一日が始まると思うと憂鬱だった。特に今日は月曜日。次の休日までかなり時間がある。そう考えると、もう少し布団という避難場所に身を潜めたいところだが、いかんせん由夢という最終兵器を持っている音姉には逆らえない。
 まぁ、由夢に『最終兵器』だなんて口が滑った日にはそれこそ本気で消される! 表情に出さないようにしないと……。
「ふぁ~あ~あ……」
 あくびがとまらない。昨日結局何時に寝たんだっけなぁ……。確か、2時までゲームしてて、それから……やばい! 記憶がない。まぁ、いいか。どの道学校に行けば、好きなだけ居眠りし放題なんだから。
 もそもそと布団から這い出ていく。春になったとはいえ、まだ肌寒い日が続いている。布団から出るためにはものすごい勇気が必要だった。
「でも、出ないと殺される」
 うん、あいつのことだ。きっとにっこり笑顔で『兄さんは寝坊すけさんだなぁ~』なんて言って、この部屋中の本という本、またはそれに順ずるようなもので俺を攻撃するに違いない。恐ろしい想像をしてしまった……。
「弟く~ん? 早くしなさ~い!」
 音姉からの最後の警告だった。
「今行くよ~!」
 やれやれ、今日もこうして始まっていくのか。
 はぁ~……。この先、俺はこの恐怖とずっと戦い続けていかなきゃならないのかと思うと憂鬱で自殺しそうだよ。
 まぁ、そんなこと文字通り死んでも出来ないだろうけど。
 のろのろと着替え、階段を下りる俺の足取りはいつもの何倍も重く感じていた。



 ――チュン、チュン。
 朝を告げるスズメの声がこだまする。
「んぁ……もぅ朝か……」
 時計を確認した。短針が7を、長針が6を指していた。
「7時半……」
 俺にしては珍しく早起きしたほうだった。いつもなら、出掛ける直前にならないと起きないのだけど……。
 きっとあれだ。昔の夢を見たからかな。しかも、音姫に起こされる夢を。
 あれから数年の時がたった。音姫と俺は初音島を出て、二人で暮らしながら大学に通っている。
 ふと、布団が動き出したのを感じ、目を向ける。
「あ……おとうどぐ~ん……。どうしたのぉ? きょ、今日は……早いのね……」
 完璧に寝起きの音姫の声。こんな声でも愛しい人の声だというだけで特別なものに聞こえてくる。あぁ……恋って、愛って不思議なものだと実感せざるを得ない瞬間だった。
「なんか、ね。昔の夢を見てたら目が覚めたみたい」
「昔の夢ぇ?」
「ん。音姉に起こされた夢」
 そういうと音姫はクスクス笑いながら「なぁにそれ~」と俺を小突いた。
 そう。その笑顔。俺はお前のそんな笑顔に惹かれたんだ。
 
音姫と出会ってすぐの頃。彼女は笑わない子だった。常にむすっとした表情をして、由夢と俺とで必死に話しかけていた記憶がある。
 彼女は……音姫は、唇をかみ締めながら耐えていた。本当は泣き出したいときでも、常に一人で耐えていた。
 強い子だと思った。この子は俺にはないものを持っていると。
 少したって、音姫がはじめて俺に笑顔を見せたときがあった。とても可愛い笑顔をしていた。そのときの俺は『そんなに笑顔が可愛いのに、笑わないなんてもったいないよ』なんて言ったような気がする。

「弟く~ん?」
「あ……え?」
「もぅ……ぼ~っとして! 何回呼んでも返事がないんだもん」
「ご、ごめん。なんか、夢見たせいかな? 昔のことばかり思い出しちゃって」
「昔、昔って~! 弟君は今の生活に満足してないのかなぁ? ん? お姉ちゃんとの生活よりも、昔のモテモテ~だった頃のほうがいいのかなぁ?」
 笑顔で迫ってくる……。ぶっちゃけこの笑顔は可愛くない。顔しか笑ってないし、何より右手の握りこぶしが殺気立っていて怖い。
「そんなことないよ! 確かに懐かしいけど……音姉と一緒にこうして暮らすのとか……夢だったし。だた……」
「ただ?」
「皆、元気かなぁ? ってね」
 風見学園を卒業して先に大学に行った音姉を追いかけて島を飛び出したあの日から、一度も帰っていない。同じ大学に進学した小恋も、キャンバスでたまに見かけるが、学園時代みたいにつるむこともなくなった。
 あいつもあいつで、色々忙しいらしく、常に挨拶くらいしか交わせていないのだった。
「ん~……そうねぇ。あれから私たち、一回も帰ってないもんね」
「なんだかんだで大学やらバイトやらで忙しいしな」
「由夢ちゃん……元気かな?」
 由夢はまだ本校の3年生。俺が初音島を出て行くとき、冷たく『早く行けば?』といわれて以来、連絡すら取っていない。
 色々、あるのだろう。俺はあえて何も言わずに立ち去ったのだけど、今思えば何か言ってやればよかったかもしれない。
「きっと私たちのこと……うらんでるよね?」
 音姫がそう思うのも無理はないと思うが、これは仕方のないことだと、何回もお互い言い聞かせてきた。そう、きっとこの先も。
「今度の夏休み……バイトも休みとるからさ、帰ってやろうぜ? 初音島に」
「ん。そうね。久しぶりにまゆきにも会いたいし、それに……」
 やっぱり由夢のことが気になるのであろう。なんだかんだ言ってやっぱり二人きりしか居ない姉妹なのだ。気にもするだろう。まぁ、俺には兄弟なんてものは居ないし、それに……。
「桜、どうなったかな?」
 そう、俺は異端児。存在しないはずの存在。さくらさんの夢が具現化しただけの存在。そんな俺をやさしく抱きしめてくれた音姫。そんな優しい彼女の、たった一人の妹。そして俺にとっても妹同然の存在。
 由夢。お前は今、何しているんだろうか。
「そうね。桜も気になるけど、おじいちゃん、大丈夫かな?」
「俺らが初音島を出るとき、車椅子じゃないと外に出られなかったからな」
 やっぱり帰るべきだなと、心のそこから思った。杏やななか、杉並に渉。皆の顔も久しぶりに見てみたい。
 皆、変わったかな? 案外変わってないのは俺だけかもしれないな。
「そうね。やっぱり夏休みにいったん帰ろう? いいよね? 弟君?」
「うん。そうしよう」
 異論はなかった。何より音姫がそう望んでいるのを反対する力など、今の俺にはない。
「じゃあ、朝ごはん作るね? それとも弟君が作る?」
「いや、音姉が作ってくれ。久しぶりに音姉の料理が食べたい」
「あはは。まぁ、弟君には劣るけど、それでもいいならがんばって作っちゃうよ!」
 鼻歌まじりで音姫が立ち上がる。さらさらな音姫の髪の毛を眺めながら俺も立ち上がる。
 この子を幸せにするって決めたんだ。
 そう思うと俺は音姫を後ろから抱きしめた。
「ん?」
「音姉」
 振り返らせると、俺は音姫の唇をむさぼった。もぅ、何千回としてきたキスだったが、今日のそれは少し違った。
 何か、新鮮な味がした気がした。
「ん……んん……!! んぁ……。お、おとうとくぅん……んん……」
「ん……」
 俺の舌が音姫の口の中を駆け巡る。上の歯を舐め、下の歯を舐め、音姫の舌を舐めまわす。
 心地よかった。
 幸せだった。
 このまま、時がとまればいいなんてことも思った。
「ぷはぁ~! もぉ~! どうしたの? 弟君。朝から~」
 少し照れたように言う音姫が愛しくて、俺は黙って音姫を抱きしめた。
 きつく、きつく。二度とこの手を離すまいと決意を込めて……。

久しぶりの

2007-01-21 15:58:16 | Weblog

ブログ更新っと☆
明日から、カープのファンクラブがいよいよ受付開始です♪
わくわくしますね☆って、土筆だけですかぁ~?(ぁ
いやいや、冬って本当に暇ですよ…
こっちでもあっちでも野球の試合はナッシング…
っていっても、寒くて出来たもんじゃないですけどねww

早く、春にならないかなぁ~♪
まぁ~いろんな意味でw

今日は

2007-01-03 23:03:17 | Weblog
八潮の応援が終わりました☆
たった二日だったけど、楽しかった♪
またいきたいなぁ☆

八潮のメンバーありがとね♪
また、応援いけるときがあったらまたよろしくねぇ♪

さてさて、今日は書くネタがないよぉ…
明日は良いことあるかなぁ♪

今日から

2007-01-02 22:02:42 | Weblog
仕事始めなのです~…
いやぁ~…もぅ、大変なの何ナノってww

なれないお店でやってたから数倍くらい疲れちゃった…
い、いやね。自分のお店、3日まで休業なんス。
あぁ~…神田が恋しい↓↓あんなお店だけど、マイホームw

でもでも、別に八潮だって悪いお店じゃないけどね。
なれないと気使うってだけだしww
なれちゃえば、八潮のが入りたかったりしてww