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演説論点集

棋譜研15

2008-11-29 20:38:35 | 将棋
第67期順位戦B1組 行方八段ー渡辺竜王

 先手行方八段の矢倉定跡形、4六銀、3七桂、3八飛、6五歩で後手8五歩なら2五桂から一方的な攻めになる。後手渡辺竜王9三桂と跳ね、竜王戦の第2局と同じ、これを修正し多少はよくなったが、羽生名人に勝つのは無理か。6六、7五銀、7四歩、5七角で押さえ込まれ不利、9三から9四飛が辛い辛抱。しかし6六角では6四歩、7六王では9八歩、6一香で結構難しいようだ。
 ここで1二香、穴熊が完成すれば堅いが、手待ちなら米長玉ではダメか。先手の方は攻撃態勢が出来てるので3五、1五、2四、1三歩、2五桂の攻めは厳しい。9五香、9七香成、9六歩と攻めるが、7六王と逃げられると捕まえ難い。先手は5三桂成、3三香、4三成桂、3二香成と駒得しながら確実な攻め、8七とに5九角が決め手になった。


第21期竜王戦

 新聞で第3局の観戦記が掲載され3八との局面、この1手だけに紙面を費やされたことを考えればその重要性がわかる。なぜ取ったのか第4局に負けていれば一生悔いが残るが、同金にしてもなぜ封じなかったのか。この1手で勝敗が決してしまう局面、もし粘っていれば5三歩成を決断していた。

棋譜研14

2008-11-28 15:50:48 | 将棋
竜王戦第4局

1日目
 これまで3連敗とかなり追い込まれているが、4連勝すれば過去に例がなく歴史的な価値がある。しかし先手番の羽生名人の矢倉にどうやるのか、とにかくこの1局に勝てば後はいけそうだ。渡辺竜王が勝つのを信じているが、その根拠は何なのかはっきりしない。
 先手2六歩で相掛り、矢倉でないのは助かるがこれも予想された。渡辺竜王に捨て身で1手損角換りをされると、研究にはまる可能性がある。王位戦の第3局は深浦王位にやられたがほとんど勝ってた将棋、端歩を突き合って8六歩から8四飛、2七、3六銀で自信はあるだろう。
 先手から角交換して少し得した、じっくりした戦いになると思うが、後手は7三、6四銀、ここまでくれば何とかなる。先手4五銀、3四歩を狙い、角打ちで2筋を破るか6六角もあり、後手7五歩は当然。3四歩を取らずに5六銀、6五銀から7六歩があるので仕方ない。3三銀は指したい手、7六歩、同銀、7五歩、6五銀とぶつけて交換、7三桂、7ニ金で後手充分。
 6六歩、4四銀、6七銀で先手固めて、ここから後手はどう攻めるのか。このまま封じ手まで考えて、予定どうりだが少しやられた感じはする。8ニ金、7三桂、これで手を渡し、後手は薄いがバランスはいい。これで終わりかと思ったら5八金、3三桂、7九王、ここでようやく封じ手。
 1、2、3局を羽生名人は楽に勝って、第4局は攻める気が全くない。守りを固めて受け潰し、慎重というより危険な感じがする。渡辺竜王は横歩取りの先手番のような構え、飛に加え銀桂の4枚が攻撃参加、角を手持ちに切れなければ勝てる。
 封じ手予想は9五歩、4五桂、5五銀もいいがまず端を突き捨て、私では攻めきれないが竜王の底力を見せて欲しい。封じ手をめぐる駆け引きがあって、手が進んで終盤に備え時間を残したのが大きい。これで1晩攻めを考えられかなり有利、羽生名人は負けを覚悟してると思う。

2日目
 封じ手は7六歩、タイミングとしては7四や7五歩が生じるので考えどころ、後手の権利として保留し端歩のような気がした。難しい局面で手を渡されあせらされた感じ、同銀右の1手なので後を考えるのにはいい。
 5五銀は次の4五桂と使えばかなりの戦力になるが、2五飛と浮かれると結構難しい。7五歩は予想されたので9五歩と行くはずだが、長考しているのはわからない。7四角と打たれびっくり、9六歩と取れないし、次に6五歩がある。
 8八歩は同王であたりはきついがなんともいえない、8三金で角と交換し7五歩、8四飛で落ち着いた。6五歩が嫌だったが9五歩の方が先手は得、あまり争って陣形を乱したくない。6七金で理想形が完成、7五歩の拠点が大きい、逆に押さえなければいけなかった。
 再び気を取り直して7五で銀交換、7六、7五銀打、7四、7三歩成、4七飛成としたが入玉の気配が出てきた。4九竜、2四飛、銀だと切られて3二金か銀なので2四歩、3四飛。4四歩で次に4五銀から飛を取ればいいが、先読みで7九歩は堅い手。4五銀には3三飛成、2五、3五桂でダメ、4三王に3五飛、4五銀、5六金で後手困る。
 7七歩で長考して同桂、3四歩から飛を取って駒損だが2八飛は厳しい。3六桂は4四金からの詰めろ、7八飛成、9七王でかろうじて逃れている。5四金がよかったと思うが5七桂成、7八竜を取られて5九竜と戻るが、4四飛から抜かれてしまう。
 4八金に3八銀、飛を取って5五飛で4六王、4九銀に4五金、4七歩、同成桂、4八歩、ここで秒読み3七成桂。これで終わりとあきらめたが同桂、同王、8九飛が厳しく開き直った手。4七飛で負けだったが、3八金、4六金に2六王で2七歩が打歩詰、4九飛成、3九竜で投了。
 すばらしい内容で奇跡的な勝利、羽生名人の余裕だろうがやはり気の緩み。まだこれから三番勝たねばならない、七番勝負は始まったばかりという気がする。