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演説論点集

第21期竜王戦七番勝負第2局

2008-10-30 09:22:56 | 将棋
 第2局が10月30日、北海道洞爺湖のレークサイドホテルで始まった。第1局はパリ観光が目的で、実力が発揮されてなかった。羽生名人の強さを認識しやる気にもなって、第2局に勝てば1勝1敗の5分になる。
 28手目4三金、予想通り矢倉、第1局から10日あったので、充分対策は出来ているはず。羽生名人は矢倉が得意で先手36勝7敗、わかっていても勝つのは大変。1局目に矢倉を避けたのは、この第2局に備えて手を見せなかったのだ。矢倉を渡辺竜王に指させない方針、第1局の1手損角換りの勝利は予定外。
 44手目9五歩、穴熊対策第一弾、9八香とは指し難い。先日の棋王戦、渡辺竜王が阿部八段に負けた将棋の逆。6五歩は宮田五段考案の強力な手、6六に角を回られたら後手困る。9三桂から8五桂、8六歩で桂が死ぬが前例が2局ある。
 昼食の後7五歩、角頭を攻め、8六歩、桂は取られたが香と交換、9七歩。9四飛は8四銀を防ぐ、7四歩、5一角。囲碁名人戦が同時に行われ、渡辺竜王と井山八段が勝てば盛り上がる。
 5七角で45分考えて難しい局面、そのまま封じ手。次の羽生名人の封じ手になるなら、指さずに考えた方がいい。予想もつかない手を指すのだろうか、それにしてもわからない局面だ。2時間13分考えて封じ手、4五香しか思いつかない、同桂、同歩、同銀、それで3三角。
 消費時間の半分以上を封じ手に使った、それだけの価値があるのか。1二香は1五歩、2五桂がきつい、7二香は7六金で押さえ込まれる。3三桂は先手に手を渡した感じ、4五香は6六角がある。何か策があるに違いない、先手も戦いになると危ない。

 2日目、封じ手は9八歩、思いつかなかった。1歩しかないので打ちにくい、ここでとは驚き。6一香に7六桂と受け7七金と寄ると、次に6八飛と回る手が見える。後手の攻めが続くのか、6一香が役立たないと負け、狙いは角交換、7三歩成は仕方ない。序盤に力の差があり、羽生名人が楽に指している。
 囲碁は井山八段が張名人を破って3勝3敗、お昼で中押し勝ちとは早い。竜王戦は羽生名人の優勢、6八飛で困ると思ったが6三歩成、7三歩成。7四歩はいい手、5三とで銀を取れば同金、少し面白くなってきた。飛銀交換で先手は6、7、9筋へ飛を打つのだろう。
 8二飛、8六歩、同金かと思ったが8八歩、4ニ角、後手に勢いが出てきたが攻めが続くのか。さっきまでひどい状況だったが、いい勝負ってことは先手負ける可能性がある。6九銀、5八銀で後手勝ちを意識、4七銀成より6九銀不成から7八金。ここまでくれば読み切っているはず、4一銀は駒を渡すだけ。
 7九金から8八金、6七歩成、同歩、同香成、3二成銀、7五角は詰めろではない。8三桂、同飛成、これで後手に詰めろ、終盤よくなったが少したりない。8七歩に9八王、これで7五角から7九角で飛が取れる。しかし清算し7八銀成、8二竜で王手がかかり、受け駒がなく結局勝てない。
 2連敗は残念だがここからが勝負、次第に調子は上向きいい将棋だった。次に期待させる内容、1勝すれば逆転の可能性は充分ある。苦しい将棋をよくここまで盛り返した、負けたことより潜在能力の高さに驚く。序、中、終盤のバランス、作戦の立て方がよくなれば勝てる。

朝日杯2次予選10月27日

2008-10-27 21:15:22 | 将棋
田中悠一四段ー高橋道雄九段
 先手田中四段の中飛車、美濃囲い、後手角交換し1八香の穴熊。ここで6八飛に2四角、6五桂、7一角の激しい戦い。6六歩で飛を押さえこみ角を取るが、6二金の飛銀両取り、後手も7八成桂から6八金の両取りのお返し。飛を打ち銀を取り合って五分の戦い、4六桂から3四桂、6六角から3九銀、5七角成で際どい。4四角で3五金を取って2五金なら詰んでいたが、これが人間の弱いところ1分では無理。

木村一基八段ー宮田敦史五段
 後手宮田五段、角道を止め、6八角から2四歩の交換に2三銀、再び角打ち。先手木村八段は矢倉、4五歩に4六歩と反発、同角に4五歩はあった。6四角に4六歩、3五歩もあったが同歩から角交換、4五歩で桂損、4八飛。6四角からの5三桂はもったいない、4九飛に5八銀で4三飛成、これを取らないのがプロ。しかし竜に暴れられて失敗か、6七銀成、4六角から攻めるがどんどん固められた。先手は8六角から攻め、4ニ飛と回り活用するが3七銀と受けられた。7九金は切れそうで、竜を取って2九飛に2八銀で投了。

木村一基八段ー田中悠一四段
 後手田中四段の四間飛車、5四銀に6六銀、9一王に9九王と穴熊。8六角に6三銀、5五銀に6二飛、ここから互いに穴熊を固める。2四、3五歩から飛角をさばき先手優勢、後手は角が使えなかった。4一、4九飛と打ち合うが、先手は桂香を取り金銀をはがし大優勢。後手はと金を作り王に迫るが、馬が攻撃に参加し7二銀が決め手、力の差を見せ付けた。

NHK杯10月26日

2008-10-26 15:02:17 | 将棋
将棋 金井四段ー村中四段
 最近の若手は強い、注目の一戦。相矢倉の定石形、森下システム、3八飛に2ニ王、8五歩に8八王。4六歩から4七銀、1八香、後手は5三銀、4ニ銀と固める。
 6五歩で角を追い、6六銀とし7五歩を狙い4五歩、3五歩と攻める。1五歩に後手長考し同歩、3五角に4四金で6八角、3四銀が先手の攻めを押さえる。1三歩、同香、2五桂、1四香、ここで7七角があったが3六銀、4五銀と捨て1三桂成。4六歩に四九香、村中四段考慮時間がゼロ、5三角から8筋を狙う。
 先手は4三歩、3三歩で形を乱し1三角成、2三成桂、これに8六歩が厳しい。3六歩、四六歩で飛を押さえ込むが、7五歩で角の利きを止められた。7一銀を放置して飛を取り合い、8七王と歩を取られ詰みがなくなった。
 どっちが勝ってもおかしくないが、終盤が少し単調だった。

囲碁 河野臨天元ー趙善津九段
 左下の桂馬を出切って戦いが始まり、黒優勢になったが、白12-13で形を崩し、中央の黒が危ない。15-13のコウ争いで黒がつぎ、攻め合いになり白苦しい。14ー16のコウ争いは黒が解消し、後は左上でどれだけ白が稼ぐかになった。黒が中央で優勢になったところで投了、河野天元の中押し勝ち。

順位戦級1組杉本七段VS渡辺竜王

2008-10-25 21:44:06 | 将棋
 先手杉本七段の中飛車に、渡辺竜王は迷わず穴熊。先手は4枚穴熊の理想形、5筋の位を取りこの時点で振り飛車の勝ち。しかし4筋から攻め合って4六歩の拠点は大きい。
 4九飛に8六歩、同歩、5六金としたが私なら4筋に飛を回る。あくまで8筋を破ろうということだが、押さえ込まれてみるとつらい。飛車取りに9二角、これは打てない。9二竜から6一角で金飛の両取り、これは失敗のようだ。飛は最悪でも穴熊にくっつけて使いたかった。
 金は墜落して頭から激突した感じで、5八金としたのはすごい根性。これが飛車ならどんなにすばらしいか、金の使い方が敗因かもしれない。3一歩成から6四馬で飛銀の再び両取り、踏んだり蹴ったりと一方的だ。
 4五桂、4四香、4八銀と終盤のものすごい追い込み、4六角と出て一気に形勢はよくなった。2七金、同王、2九竜は馬が利いていた。打ち歩詰めできわどく先手が勝ったが、渡辺竜王の強さを感じさせた。
 急戦・持久戦いずれも得意にする必要があるが、この振り飛車穴熊は完璧で勝つ方がおかしい。

朝日杯2次予選

2008-10-23 16:04:12 | 将棋
中川大介七段ー杉本昌隆七段
 後手杉本七段、角道を開けたまま四間飛車、先手中川七段、7七角、9八香から穴熊の右四間飛車。後手銀冠から7五歩、7六歩、3五歩、5五歩、3六歩から5六と攻め4八角成。先手まずい感じで2二飛成、2五銀、3四銀も5四銀と逃げられた。
 しかし5五歩に同銀で5ニ竜と入り、9一飛に銀を取る。9五歩から攻め、7四馬と引くが7五銀、5四金で大駒を取り合って守りは崩壊。7四歩に同金、5二角、8三銀、7五歩、6四金、5三銀、5四金、4三銀成、遊び駒まで活用。後手の端攻めも穴熊には及ばず、5八飛に7八歩で投了。

佐藤和俊五段ー屋敷伸之七段
 先手佐藤七段の中飛車、後手屋敷は史上最年少のタイトルホルダー、もう少し将棋に打ち込んでいればという気がする。先手美濃囲いに、後手は3三銀、7四銀の急戦、5四歩、同歩、同飛に6三金。6五、7六銀と角を攻め、8五歩と伸ばしたが7七、6六銀とぶつけられ交換。5五飛に6四金が守りを薄くし、中央をめぐる攻防は5三歩、同角と乱され5五銀と出て、4四歩では先手優勢。飛角を交換し4筋を攻め、5四角、金を取り6六角から1一角成。
 後手受け切れないと思えたが、3三桂とすると中央は広い。5五銀に、1七歩成から1六歩、5六飛の両取りから1六飛とすると先手王も危ない。6四銀としたが4四だったか、2五桂と跳ねると3三、2四王と逃げ道ができた。かなり際どいが狭いことには変わりなく、2五香に同王、2七銀で攻めが続いてしまった。飛を取られては粘っても時間の問題、これで後手が勝ったら凄い。

横山泰明五段ー藤井猛九段
 振り飛車党の二人、先手横山四段が居飛車、藤井九段が向い飛車にする。穴熊含みの序盤、5四銀に6六銀、1三香から1二飛と端を狙う。それに対し3五歩、3四歩と角を引かせ2四、2五歩と合わせ3筋に飛を転換。5五、4四銀とさばいて1一角成、4七飛成とされるが、3二馬に4四竜と引き、4ニ歩を同角に4五歩で投了。あまりにも早い終局に何が起こったのか、受けがないようだ。

佐藤和俊五段ー横山泰明五段
 先手佐藤五段の振り飛車藤井システム、7四歩に4八王、後手3二金、4三金と固める。7筋から8筋へ飛を使い先日手もあったが、先手が回避し2四歩に2六歩、4五歩からの決戦が有力だった。1二香から穴熊、2五歩に1一王、8六歩、同歩、同飛、8五歩で交換を拒否。
 2ニ銀、6六角から8六歩、8四歩を打ち合って、飛を押さえ込まれ穴熊には致命的。3六歩からの攻めも2五桂と跳ねられ、4七金で受けられ3六金と歩を取られる。8三歩成から8一飛成、1六桂で角が受からず投了。40分の持ち時間では、プロも力を発揮できないようだ。

三浦弘之八段ー田村康介六段
 先手の三浦八段の中飛車、4八王で後手が5四歩、取ると4五角があるが後になって5筋が傷になった。角を交換して5九飛と引き、2八王、3八銀で美濃囲い完成。後手1五歩と端を突き、8六歩、同歩、同飛、このとき7五角、8七角から飛と金を取り合う。
 銀取りに6五桂がぴったり、6四歩に8四飛が上手い、8一金に6四飛が落ち着いている。8五歩に7七角、6六歩に5三歩と垂らし、6七歩成、1一角成、全てが都合よく。と金を作って飛を成って、4一へ捨てて2ニ馬で投了。

窪田義行六段ー北浜健介七段
 先手窪田六段、7七角から交換して7七桂、6八飛、後手北浜七段、3三角と打ち1二香から穴熊。先手は4八王として6七から7六金と大胆、後手は1一王から2ニ銀、3一金、さらに5ニ、4ニ、3二金と固める。先手は6九飛から8九飛、4四銀に8五桂と跳ね、7一角から馬を作り6三歩を垂らして4四角で交換。
 後手は7八角から馬を作り、飛を逃げずに7七、7八金とし、ここから逆に馬を追う。7七、7六、7五、7四金と馬を完全に封じ込め、と金で取ったが結果的にどうだったのか。
 早く穴熊を攻めたいが、3六歩、2四桂、4六歩、6七歩から猛攻を浴びて危ない。先手は6一飛から、4三銀、4一角とするが、後手は馬を作って歩や銀を絡めて飽きるほど長い攻防に見所は多い。先手圧倒的に優勢だったが、後手の攻めを切らすことができず、最後は穴熊が生きた形だ。
  
北浜健介七段ー三浦弘之八段
 北浜七段先手で矢倉森下システム、3八飛に7三桂、2六歩は新手、結果的に役に立たず。7二飛、5七、6四銀、先手3五歩から3六銀、互いに攻めるが後手が早い。7五歩、8五桂、9六歩、9七歩、銀、桂をさばき、9六香、再び8五桂。
 7五桂を角で切り驚く、飛を9筋に回り馬と交換、5五桂から金を取って4九角で王手飛。9八飛から7八金で寄り形、そして4九馬からまた3八飛。最後は先手も4三桂、3三歩成、と迫るが8六馬、同王、8五金まで。

全日本選手権戦

2008-10-23 12:50:06 | 将棋
 60年前、昭和23年に読売新聞が全日本選手権戦を創設、これが九段戦、十段戦、竜王戦と発展する。昭和24年、第二回全日本選手権は、木村名人、萩原淳八段、升田八段で決勝リーグを争った。
 木村名人と升田八段は対局場所を互いに東京、大阪と譲らない。間を取って金沢で対局が行われたが、前夜祭の会食の席で豆腐は木綿か絹越しかで口げんか。
 対局が終わってから蒸し返し、「名人なんてゴミみたいなもんだ」「名人がゴミなら君は何だ」「ゴミにたかるハエみたいなもん」
 これに対し、「偉そうなことばかり言ってないで、一度ぐらい名人戦の挑戦者になったらどうだね」これには反論できず、悔しさを噛み殺していた。
 時代は変わって羽生名人と渡辺竜王、第1局は厳しい結果になったが、歴史は引き継がれているような感じだ。