おぼえていろよ
おおきなき
佐野洋子/作・絵
みごとな大きな木がありました。
大きな木のがげの小さな家におじさんが住んでいました。
朝小鳥がピーチク、ピーチク、寝ていられません。
「おぼえていろよ。」
小鳥は木下でお茶を飲んでいるおじさんに糞をします。
ハンモックで眠っているおじさんの上に けむしが落ちてきます。
「おぼえていろよ。」
洗濯物は木陰で乾きません。
秋になると赤い大きな実を子どもたちが盗みます。
このはが掃いても掃いても落ちてきます。
「おぼえていろよ。」
冬雪かきをしているおじさんの上に雪がドタドタとかぶさりました。
「おぼえていろよ!!おぼえていろよ!!」
おじさんは、ついに木を切り倒してしまいました!!
春になっても、小鳥のきません、赤い実もなりません。
なんにもなくなりました。
おじさんは泣きました。泣きました。
「ふーっ。」「すーっ。」「くーっ。」
木の根っこで~~よくみると、「あたらしい芽」が出ていました。♪