「人を動かす」デール・カーネギー著 創元社発行
人生論や自己啓発の本は世の中に山ほどあるが、カーネギーのこの2冊はその中でも最良のものである。人間関係に悩み、人生の困難に直面したとき、私たちが採りうる最善の路は何であろうか。カーネギーは、多くの事例をもとに、具体的に分かりやすく説いてくれている。
「選別主義を超えて」太田肇著 中央公論新社発行
1990年代のバブル崩壊後、日本企業はそれまでの平等や年功主義の伝統を捨て、アメリカ型能力主義・成果主義をモデルにした組織・人事制度を導入してきた。これを受けて、教育の場また職業生活(例えば教員と非正社員)での競争による選別(主義)の実態を本書で解説している。
学生は近年「資格武装」に熱中するがこれの受皿の実態も本書にて分析している。
就職を考える学生には、会社などの実態を知るには参考になる。
「教養主義の没落」竹内洋著 中央公論新社発行
近年大学生は、図書また総合雑誌・新聞も読まない学生が多い(東大・京大の学生生活調査、本書でも引用225-8頁)。一方、中央教育審議会の答申(2002.1)また識者より“教養(教育)”の充実が指摘されている。
本書は、大正時代の旧制高校を発祥地として1970年ころまでの日本の大学・キャンパスにみられた教養と教養主義の輝きとその後の没落過程を明らかにし、教養主義へのレクイエムとする。
戦前・戦後の大学・また学生生活を紹介するもので、在学中に是非拝見してほしい。
「ローマ人の物語 第1~7巻」塩野七生著 新潮社発行
最近評判になっている。豊富な文献を駆使して壮大なローマの発展を克明な叙述で物語り化した歴史書といってよく、決して単なるフィクション書ではない。とくにギリシャの民主主義やローマの政治体制は現在の世界のそれのルーツであることを興味深く示している。
「武士の家計簿-「加賀藩御算用者」の幕末維新」磯田道史著 新潮社発行
「金沢藩士猪山家文書」をデータとしてそれまでわかって武士の暮らしに光を当てたユニークな歴史解説書である。「歴史とは過去と現在のキャッチボールである」という筆者の思いから加賀藩士の家計簿を通して見る幕末維新の激変期のボールを現在の激動する社会変動に投げ返すことを本書では考えている。
「デザインする時間」薗田碩哉著 中央法規出版発行
時間論の分析角度から「労働と余暇」の諸問題を論述した好著である。時間は人間の発明品である。人間社会の変化とともに時間もまた変わってきた。自然とともにあった農業社会の時間は、近代産業社会の成立によって時計が象徴する機械の時間に置き換えられた。
「コトラーのマーケティング・コンセプト」フィリップ・コトラー著 東洋経済新報社発行
“近代マーケティングの父”と称されるフィリップ・コトラー氏が、企業実務者が理解しておく必要のある80のコンセプトを取り上げ、解説した“コラム的書物”。マーケティングの教科書として使用されるような書物の執筆が多いコトラーにはめずらしく、社会の“今”を捉えた新たな洞察や展望に触れる機会を提供する。
「幸福なホテル」せきねきょうこ著 光文社発行
ホテルジャーナリストとして、世界中を飛び回っているせきねきょうこ氏が、世界の名物ホテルや名物ホテリエを訪ね歩いた記録を一冊の本にまとめた。それぞれのホテルの魅力やそこに流れる空気、ホテリエたちの熱い思いを多くの写真とともに伝える。
「サービス哲学」窪山哲雄著 オーエス出版社発行
北海道拓殖銀行の経営破綻に伴い閉鎖されていた「ザ・ウインザーホテル洞爺」を昨年再開し、リゾート・ホテルの理想像を追いかける“カリスマ・ホテリエ” 窪山哲雄氏が、サービス業の意義や素晴らしさ、彼自身のサービス哲学について語る。
「バカの壁」養老猛司著 新潮社発行
イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人は、なぜ互いに話が通じないのか。そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。いつの間にか私たちは様々な「壁」に囲まれている。それを知ることで気が楽になる。世界の見方が分かってくる。人生でぶつかる諸問題について、「共同体」「無意識」「身体」「個性」「脳」など、多様な角度から考えるためのヒントを提示する。