長旅のまえに

好きなだけ、存分に、思ったまま、怒涛のように書こう

俺様系

2024-01-02 10:53:35 | 日記
その子の恋人は俺様系だった。
東大生の俺様がおまえのような三流女子短大の女と付き合ってやってるんだと露骨にいい放つ。

彼女は俺様彼氏の部屋に通い掃除、洗濯、作りおきの惣菜まで冷蔵庫に入れていた。
威張り散らされても流せたし料理作りは大好きだった。
周りの友人たちは騙されてる、利用されてる、就職したら捨てられると忠告の嵐であった。

たまたま東大生だっただけあんなに威張る男なんて東大生だってモテないよと笑っていた。
忍耐強い女の子でもあったのだ。

ある日俺様彼氏がいつもの論理で容赦なく彼女を攻撃してきた。
毎度の止めは「鍵を置いて出ていけ」であった。
いつもならここで彼女がご機嫌とりをしてくれる。

が、この日は違った。
テーブルに鍵を置くと「わかった」と一言。
彼女は玄関に向かった。

俺様彼氏は呆然自失。
やっと絞り出した言葉は「ま、まて。まて、まて、まて」であった。
言葉巧みな理論派がである。

俺様彼氏の幸運は冬であったこと。
ブーツをはくのに彼女が手間取ってたのだ。

俺様彼氏は恋人を愛していたらしい。
利用なんてしていなかったらしい。
不器用な愛しかたしかできないだけらしい。

就職が決まったときプロポーズされた。
「入籍して家族手当てと住居手当てをもらった方が独身でいるより得だからな。結婚しよう」

独身寮に入るより結婚したほうが楽だからだよと周りは囁きあったけれどもしかしたらあの俺様彼氏は心底、惚れているのかもしれない。
彼女無しでは生きていかれないと心の何処かで知ってる。



気になるけど余計なお世話

2024-01-02 06:53:49 | 日記
今朝は日本茶。
お供はこの本にした。いつも傍らにいるはずの猫はいない。
私よりおやつカリカリが魅力的らしい。

お正月の二日は目黒の祖母の家と杉並の大叔母の家に寄った。
祖母の所は楽しかったが
大叔母の家は違う。
人が集まっているのにしんと静まりかえっている。
みなが緊張している静けさなのだろうか?
子ともの私には居心地最悪であった。
暖房は火鉢のみの広い座敷。

まだ「ちり紙」の時代であった。
離れのお手洗いは広く大きく幾つもあった。
ちり紙は灰色の硬い紙質だ。

だが母屋のお手洗いにあるのは白くて柔らか(今ほどではないが)だった。
私はこれも嫌だった。
母屋への挨拶は親族のみが伺う。

なんかもう全部いやだった。
いい年をして今さら言ってしまえば暴れちゃえば良かった。
というか言いたいことをはっきり伝えれば良かった。
正直に偽らず場に飲まれず。
子供だったのだからそれでいいのだ。

社会的に両親の不利益になるでもないし。
あら、やっばり私は損得勘定をしているようだ。
暴れないでよかったかな。こずるい暴走は自分がいやだもの。