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先日,裁判員候補へ通知が送付されました。
いよいよ,裁判員裁判が始まります。
私は,弁護士なので,裁判員になることはできません。
裁判所目線で事件を見て,合議に参加したい,という思いもありますが,
一面,裁判員になることはない,ということで,ほっとしている部分もあります。
組織の抗争のもつれから,一般人を含め,4名が殺害されるという事件がありました。
実行犯は,2名で,1名は,迷宮入りしそうな事件の真相解明につとめ,裁判でも深く反省していました。
当然,4名の命が奪われたのですから,彼自身,死刑になるであろうことは予想されます。
にもかかわらず,彼は,真相解明に協力したのでした。
心の底から反省し,潔く死を覚悟しているようでした。
一方,もう1人の実行犯は,逃走を続け,裁判でも否認,反省の態度はありませんでした。
2名を同じように死刑という結論でよいのでしょうか。
地裁では,真相解明に努めた彼について,死刑を言い渡しました。
地裁の裁判官も深く悩み,死刑という結論を出したが,できる限り長く生きてほしい,と,法廷で,彼に話していました。
私は,このケースでどのようにすべきだったのか,今でも,考えてしまいます。
死刑は,人生を奪うことです。
真摯に反省し,悔い改めた彼に,やり直しのチャンスは与えることはできなかったのでしょうか。
一方で,4名を殺害しながら,無期懲役でよいのでしょうか。
裁判員制度は,裁判員に重い決断を迫ります。
裁判員一人一人の個人の心のケアをする体制が必要不可欠です。
(樋口華恵)