[写真] 風速10メーターの逆風も全く関係なかった。期待の海老原に、特大の一発がついに出た。
2013年 4月 7日(日) 13:07~15:06 晴れ 強風(右→左) 市営立川球場
春季東京都高校野球大会 3回戦
創価 (西東京・小平市) 2 0 0 0 0 1 0 2 1 = 6
修徳 (東東京・葛飾区) 0 0 0 0 1 0 0 0 0 = 1
[ 投 手 ] 内野
[ 本塁打 ] 内野(6回/左)、海老原(8回/右中間)
[ 三塁打 ]
[ 二塁打 ]
1番 (一) 村松
2番 (二) 奥
3番 (捕) 南
4番 (左) 矢澤
5番 (中) 海老原
6番 (投) 内野
7番 (三) 小野
8番 (右) 松下 → (5裏/右) 國安
9番 (遊) 林
春の嵐が猛威を振るっている。
今月というか、今週になってからの列島は、二度の爆弾低気圧に襲われた。
春の風は、「風光る」と季語に例えられるぐらいだから、
本来なら・・・ 穏やかでキラキラ時めいて、少しだけワクワクしながら
何だか良いことがありそうな予感がするのだが・・・ いやはや困ったものである。
いささか過ぎた感のある強風だが、良いことが起こる予感を期待しながら
なんてことを思いながら、11時過ぎに立川球場にやって来た。
余談になるが・・・ 春風で、ふと思い出したことがある。
高杉晋作という、幕末を語るには欠かせない人物の本名が、春風だったことを知る人は少ない。
時勢もあり、高杉晋作は転々とした各地で様々な名を使い分けているが、
諱(いみな)は春風といい、晋作は通称であり、字は暢夫、号は楠樹から東行まで何度か改めている。
諱とは実名のことだが、昔から生前にその名を口にすることは憚られ、
死後に、その人を尊んで贈る称号とされてきた。
諱の扱われ方は、その時々に応じて変化していったようだが、
幕末では、諱で呼びかけるのは親や主君に限られており、
それ以外の人々が呼び掛けるのは、無礼と考えられていたようである。
よって、春風という諱(実名)は・・・ 世の中一般的に知られてない。 (余談でした。)
前日からの爆弾低気圧の影響もあって、晴れてはいるのだがグラウンド整備に時間がかかり
第一試合の開始が約30分遅れ、第二試合に予定されていた創価の春初戦は13時07分に始まった。
気温は鰻上り、ぐんぐん上がって20度を超えたようだが、
多摩川を渡って吹く厄介な強風は、おそらく10メーター(風速)は越えており、
試合を左右しそうな雰囲気が球場内に漂っていた。
[写真] 投げて(被安打5で完投)、打って(ホームランを含む3打点)、大活躍の6番ピッチャー内野
初回、先攻の創価は、1番村松の四球から攻撃の狼煙を上げる。
2番奥がすかさず送って一死2塁、さらに3番南が四球で歩いて一死12塁とチャンスを広げると
4番矢澤の時に暴投が出て一死23塁、ここで・・・ 今日一つ目のアクシデントが起こる。
内角を厳しく攻める相手先発サウスポーの手元が狂い、ヘルメットを直撃するデットボール
ボールが大きく跳ねると衝撃が少なく、ポトリと下に落ちるとダメージが大きいという。
矢澤はヘルメットを取って頭を押さえていたが、うずくまってはいない。
どうやら大丈夫のようだが、当ったところが頭だけに臨時代走(2番奥)が送られた。
一死満塁から仕切り直しで5番海老原、期待は大きく膨らむが内のボールに詰まってファーストゴロ
当りが弱く併殺は免れたが、ここで点が入らないと・・・ ちょっと不安が脳裏を過る。
二死満塁で6番内野、初球は低めの変化球を振らされて空振り
拙い。力みが・・・ なんて思ってたら、2球目のボール気味の高めのストレートを強引に上から被せた。
打球は、あっという間にレフトの右で弾んでいた。
内野のナイスバッティングで、幸先良く2点を先制した。
そしてその裏、内野は気分良くマウンドに上がるが、この後この試合最大のピンチを迎えることになる。
相手トップバッターは初球を捉えるが、ファースト真正面のゴロ
これをファースト村松がトンネルして無死1塁、当りは少し強かったが真正面だけに・・・ これは痛い。
2番は内野の前に犠打を試みるが、これはあまりにも正面、
内野は振り向きざまに2塁へ送球するが、今度はこれが右にそれてしまう。
カバーに入ったショート林がペースを離れて捕球すると、右足で素早くベースにタッチする。
際どいタイミングだったが、2塁塁審の右手が上がってワンアウトを取るが・・・ これでは終わらない。
続く3番の左打者は、内野のストレートに逆らわず、計ったように三遊間を割って一死12塁
4番はタイミングが合ってなく追い込んでいたのだが、ストレートの手元が狂いぶつけてしまって一死満塁
ここまでは表の創価の攻撃とほぼ同じ、何としても失点し最少点で凌がねばならない。
創価の守備陣はゲッツーポジションの中間守備を取った。
5番の当りは詰まり気味で、セカンド奥の正面に飛んだ。
ゲッツーか、それとも本塁送球で1点阻止か・・・ 奥の判断は1点阻止だった。
ところがこの送球が高い。キャッチャー南が伸びて捕球するがベースから離れている。
南が後ろ向きになりながらベースにタッチをする。一瞬遅れてサードランナーが本塁を駆け抜けた。
ミスが1つと、紙一重の危ないプレーが2つあった。
それでも、1点もやらずに凌ぎきった。
なにか・・・ 良いことが起きる予感がしてきた。
1番村松[写真左]が出て、2番奥[写真右]が送って、このパターンが勝利の方程式
2回表、先頭の8番松下が死球で出るが後続が続かない。
創価打線はクリーンナップが良いだけに、下位から上位につなげるところにポイントがあるようだ。
その裏にも、初回に続いて流れを左右する一つのポイントが起こる。
一死から相手8番が放った打球は、あっという間に左中間を割り最深部を転々とする。
勢いよく2塁ベースを蹴って3塁へ向かう打者走者、
センター海老原からショート林を中継して、サード小野にストライク返球が返ってきた。
際どいタイミングだかったが・・・ 3塁塁審の右手が上がった。
これはビッグプレーがでた。ナイスプレーだ。
このプレーで・・・ 何となくだが、主導権はこちらにあると確信出来た瞬間でもあった。
その後は創価が押し気味に進めるが、ここで創価の攻撃陣にチグハグなプレーが続く。
4回一死1塁からファーストランナー松下が走るが、
9番林が外のボール気味の球をバッターボックスを飛び出して空振りの三振
このプレーをキャッチャーの2塁送球を邪魔したとして守備妨害に取られ、三振ゲッツー
5回は一死12塁でバッター4番の矢澤、スリーボールツーストライクから走者は走るが
矢澤は詰まってしまいファースト正面へのハーフライナー、
1塁走者は2塁ベースの手前まで走っており、絵に描いたような併殺を喫する。
攻めきれないと、チャンスは相手に行ってしまう。
5回裏、2回に二塁打を打った相手8番の打球はライトの頭上を襲う。
ホームランかと思ったが、途中からラインドライブが掛かってフェンス上部のネットを直撃する。
ライト松下が猛然と打球を追い掛ける。ドスンという大きな音がして松下が倒れ込んだ。
刎ねかえった打球は、センター海老原が左中間よりだったためにセカンドの奥が取りに行った。
今度は文句なしの三塁打だが・・・ ライトの松下が起き上がれない。
1塁塁審が担架を要請した。ベンチから片桐助監督が飛び出した。
たぶん・・・ 頭からフェンスに激突していると思われる。
試合後の情報では、救急車が呼ばれて病院に行ったというが・・・ 詳細は分からない。
今日の松下は、ここまで死球が二つと痛い目にあっていた。その上でのフェンス激突である。、
松下のファイトに敬意を表するとともに、大事にならないよう心から祈念したい。
場面は無死3塁、1点は仕方ない。
ここで内野が力投を見せるが・・・ 変わりかけた流れはほんの少しだけ傾いてしまう。
続く9番を三振に取った後、1番はボテボテのピッチャーゴロ
内野は1塁線よりに少し走って捕球すると、走って来た3塁ランナーを見て本塁へ送球する。
良いボールなら文句なしというか、2メートルぐらい手前でアウトだった。
だが・・・ 焦って握り損ねた送球は、暴投になってフェンス前に転がっていた。
とうとう1失点、野球というものは、粘り切れないとそこから綻ぶものだが、
今日の内野は違っていた。続く2番をセカンドフライに打ち取ると、
初回にヒットを打たれた3番には、ぶつけてしまって二死12塁
この時、あれだけカンカン照りだった空が、ほんの1分弱曇ってしまった。
あれっ? と思ったが、内野は難なく4番をレフトフライら打ち取り、ピンチを最少失点で凌いでいだ。
歳を取ると、些細なことが気になって心配してしまう。
もう少し鍛え抜いた若者を信頼しなくては・・・ いやはや恥ずかしい限りである。
打線の要となる4番に座ったレフト矢澤[写真左]と、今日は守りで光った3番キャッチャー南[写真右]
6回表、自らのミスで1点を失った内野だったが、今度はバットでキチンとお返しをする。
5番海老原が大きなセンターフライで倒れた一死から、6番内野の打球はレフトの頭上を襲う。
背走するレフトの頭上で、フワリと風に乗ったような気がした。
打球は、フェンスにつきレフトがさし出すグラブの先を越えて、芝生の外野スタンドで大きくバウンド、
再び2点差へと突き放すピッチャー内野のホームランが飛び出した。
そして・・・ 止めは8回、期待の主砲海老原のバットがついに火を噴いた。
この回先頭の4番矢澤は、ライン際にボテボテのサードゴロに打ち取られるが内野安打となり無死1塁、
バッターは5番海老原、それはまさに一閃だった。
風速10メーターの風を切り裂く当りは、右中間の最深部の芝生席に突き刺さった。
これが海老原の当りである。
特大の当りは、全く持って逆風を問題にせず、悠々と楽々とフェンスを越えて行った。
もし、逆風でなかったなら・・・ そんなことはどうでも良い。
期待の主砲海老原に、とうとう公式戦初ホームランが出たのだ。
今日の内野なら、これで勝負あった。
9回表、相手が繰り出すリリーフ陣の制球が乱れ、押し出しで1点追加し6対1にすると
その裏は、今日大当たりの相手8番に3本目のヒットを許すが、
最後は代打をファーストのファールフライに打ち取り、1時間59分のゲームが終わった。
序盤は予想通りの接戦、先制点を取った創価が若干有利に進めたが
1回裏の緊張による危ない送球、2回裏の内外野の中継プレー、そして1点取られた後の粘り
どっちに流れが行っても不思議ではなかったが、その流れを引き寄せた創価ナインに拍手を送りたい。
老婆心ながらあえて一つ、注文を言わせて貰うとすれば
それは8回裏、一死1塁で相手打者がセンターフライを打ち上げた場面、
普通に正面の当りだっただけに、ベースカバーに入ったセカンドへ返すべき返球だったが
ベースの少し手前にショートが居たことから、力が入り過ぎたのだろうと思うが、
セカンドベースを越えて、ピッチャー内野に返球してしまったことだろう。
何ごとも起らず、結果オーライだったのだが
接戦の場合は、小さな気の緩みから綻びが生じ、綻びが穴になり、穴は大穴になってしまうこともある。
小さなことで恐縮だが・・・ 見事な中継プレーを見せてくれただけに気になってしまった。
何はともあれ、これで夏のシードは獲得できた。
後は一つひとつ上を目指して、久々に春の東京のテッペンを取って欲しいと願う。
ガンバレ、創価
勝って兜の緒を締めよ!
1 表/創価 四球、犠打、四球、暴投、死球、一ゴ、左安2点、三ゴ
裏/修徳 一ゴ失(トンネル)、投ゴ(犠失)、左安、死球、二ゴ、中直
2 表/創価 死球、犠打、一ゴ、三振
裏/修徳 中飛、左中間二(三塁を狙ってアウト)、遊ゴ
3 表/創価 右飛、左直、右安、一邪飛
裏/修徳 遊ゴ、三振、中飛
4 表/創価 三ゴ、死球、三振(守備妨害/三振の空振りが盗塁への送球妨害をしたとして走者もアウト)
裏/修徳 四球、犠打、左飛、三飛
5 表/創価 左安、遊ゴ、四球、一直併殺
裏/修徳 右三、三振、投ゴ失1点(暴投)、二飛、死球、左飛
6 表/創価 中飛、左本1点、二ゴ、遊ゴ
裏/修徳 二ゴ、左飛、三振
7 表/創価 右安、犠打、四球、中飛(2塁走者タッチアップ)、盗塁死
裏/修徳 三振、三振、遊邪飛
8 表/創価 三安、右中間本2点、投ゴ、捕邪飛、遊ゴ
裏/修徳 二ゴ、遊安、中飛、二ゴ
9 表/創価 左安、犠打、四球、四球、四球1点(押し出し)、三振、左飛
裏/修徳 三ゴ、二ゴ、中安、一邪飛 試合終了
海老原君の豪快な一発や、内野君の力投が素晴らしく、とても楽しい観戦でした。
でも、リードしていて押せ押せなのは分かりますが、
4番の打順で1塁走者が走って挟まれ、3塁走者を走らすトリックプレーを仕掛けて失敗したりで、
ちょっと雑かなぁなんて思うところもありました。
また、危なっかしい送球が何度かあり、結果オーライに救われた感もありました。
この次は、そこらあたりをキッチリと修整してくれるものと期待してます。
予想外の日差しで、帰宅してから思わぬ日焼けに気付いて苦笑いです。
内野君が今日のようなピッチングをしてくれれば、かなり期待できそうですね。
しかし今日は確かに記録に残らない際どいプレーが目立ちました。送球がそれてギリギリ捕球したり、外野からの返球がカットマンに返らなかったり。結果オーライで済まさず、しっかり反省して次に生かして行ってほしいと思います。