goo blog サービス終了のお知らせ 

空飛ぶベッド友の会

心の友の会話

「ゼリー」

2013-08-08 20:49:04 | 日記
手作りのお菓子というと聞こえはいいが、ようはインスタントの材料だ。母は料理があまり得意ではなかった。でも子どもには、手作りのお菓子を食べさせたい。と思ったのだろう。暑い夏の日、市場から帰ると「ゼリー作ったげるよ」と何やら、台所でしはじめた。幼稚園から帰ったわたしは、飛びはねるように、台所に行き、母の手もとをのぞきこんだ。緑色の粉を水で溶いて、銀色の花型の容器にお玉で流し入れる。それを冷蔵庫で冷やし固めるだけのこと。それでも、わたしは、わくわくした。何度も冷蔵庫を開けては、母に「まだやから、待ちなさい」としかられた。
3時のおやつに、念願のゼリーをお皿にいれてスプーンをそえて、ちゃぶ台に出してくれた。目に鮮やかなグリーン。透きとおってプルプルふるえている。わたしは、こんな綺麗なお菓子は見たことがない。と、おとぎ話からでてきたように思って、飽きずに眺めていたことを覚えていり。残念ながら、味の記憶はない。ただ透きとおった緑色の美しい花型の固まりと、お皿にゼリーをのせる時の母の緊張した顔が、半世紀過ぎた今でも、わたしの夏の風物詩として、残っている。

最新の画像もっと見る

1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
暑い夏には、 (ケイ)
2013-08-08 20:57:46
冷たいゼリーですね。
大切なお母さまの思い出は忘れられませんね。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。