そして、ごめんなさい m(_ _;)m
今日は「智子」ネタではありません。
メールは着々と(?)届いているので、明日以降の更新をご期待ください。
この先は、自画自賛の内容になりますので、興味を持ってくださった方のみお読みください。
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過去の投稿と重複するかもしれませんが、自分の仕事のことについて書きます。
僕の仕事は、主に校正です。
翻訳もやるにはやりますが、メインは校正。
僕の職場では「校閲」と呼んでいます。
英文が和訳されたものを、PC の画面上で読み、いろいろな修正を加えていく、というものです。
専用のツールを使いますが、操作的には一般のテキストエディターと大差ありません。
ただし、辞書と連動して使うことができるので、名詞のたぐいについては、比較的楽に確認することができます。
基本的にはソフトウェアのマニュアルが多いので、出てくる用語もいわゆる IT 関連のものが半分以上を占めます。
この手の言葉は日進月歩の世界ですので、インターネット検索が不可欠になります。
紙の辞書では、追いつけないスピードですからね。
とはいえ、動詞や形容詞、関係代名詞などが絡み合った文章を解釈していくためには、やはり文法的 (辞書的) な知識も必要となります。
マニュアルのマニュアル、みたいなものが存在しまして、表記規則がそこで細かく規定されています。
極端に言ってしまえば、ある一定の枠にどうやって言葉を当てはめていくか、という作業になることもあるんですね。
しかし、一番重要なのは、ユーザーがそれを読んだときに「判りやすい」と感じてくれるかどうか、という点なのです。
さらに言ってしまえば、その前にクライアントが読んだときに、「これは商品になる」と思ってもらえなくてはダメなわけです。
そういったわけで、僕が一番重要視しているのは、「日本語としてまっとうかどうか」ということになります。
何を当たり前のことを言っているのか……と思われるかもしれません。
ですが、実際の話、まともな日本語になっていない翻訳が上がってくることが少なくないんですよ。
前述のとおり、マニュアルのマニュアルが存在しますので、そこにきっちり当てはめようとすると、かえっておかしな表現になることがあるのです。
具体的なことは守秘義務で言えませんけれども、例えば目的語を 2 つ取る動詞で考えてみましょう。
I gave this coin to the man who is tall, fat and friendly drinking Coke.
ずいぶんと極端な文章ですが、まあ例文と言うことで。
こういう文章の場合、僕らの基本ルールでは、「~を~に~する」と訳します。
それに従うと、この文は「私はこのコインを、背が高くて、太っていて、気さくで、コーラを飲んでいる男性に渡した」と訳せます。
しかし、これはひどく判りづらい訳といえます。
その理由のひとつに、主語と述語の距離が遠いことが挙げられます。
この文章を、もっとも短く略すとすると、
「私は、渡した」
になるでしょう。
もう少し要素を付け足すとなれば、
「私は、このコインを渡した」
とするのが妥当ではないでしょうか。
あとは、その他の要素をここに足していけばいいわけです。
そうすると、
「私は、背が高くて、太っていて、気さくで、コーラを飲んでいる男性に、このコインを渡した」
となります。
文脈によっては「私は」を省略してもいいかもしれません。
「背が高くて、太っていて、気さくで、コーラを飲んでいる男性に、このコインを渡した」
これでも充分意味は通じます。
さらに工夫すれば、
「私がこのコインを渡した男性は、背が高く、太っていて、気さくな感じで、コーラを飲んでいた」
というようにもできるでしょう。
このあたりは、前後の流れによって変わってくる部分です。
説明が長くなりましたが、こういうような「手直し」を毎日やっているわけです。
で、ここからが主題なのですが。
今日、マネージャー(翻訳者・校閲者とクライアントとの橋渡し的存在)の方からメールをいただきました。
僕が校正を手がけたファイルが、クライアントから高く評価されたとのこと。
そのクライアントいわく「(最高位の)A 評価を付けた翻訳は、これが初めて」だったそうです。
もちろん、僕一人の手柄ではありません。
元のテキストを翻訳した翻訳者と、僕が校閲したものをさらに精錬してまとめてくれたマネージャーさんを含めた「チーム」に与えられた評価です。
でも、とても嬉しかった。
それまでも、マネージャーさんからは「xx さん(僕の本名)の校閲は、とても丁寧ですね」と評価してもらっていました。
ただし、それはあくまでも社内でのこと。
クライアントから、ちゃんとした形で評価をしてもらったのは、今の職場に移って初めてのことです。
もちろん、今回がたまたま上出来だったのかもしれません。
次に手がけたものが、逆に低評価になることだってありえます。
それでも、今回の高評価はとても励みになりました。
膿まず、弛まず、地道に積み上げてきたものが、花を咲かせ始めている。
そんな気分です。
翻訳・校正の仕事は、まず第一にネイティブ(母国語)の能力によるなぁ、と改めて思います。
僕なんかより英語のできる人はたくさんいます。
TOEIC でも最高で 700 点ちょっとでしたから(今は、もっと下がっているはず)。
それでも、僕の仕事はクライアントから高い評価をしてもらえました。
こうして書いているブログも、毎日何十人もの方が読んでくださっています。
ほぼ毎日のように読んでくださる方がいるということは、自分の文章もそれほど悪くはないのかなぁ、とも思っています。
もちろん、プロの書き手に比べれば、月とすっぽんであることは明白ですけどね。
まあ、なんというか、僕のような一般人ブログの文章って、友達の家へ遊びに行ったときに出してもらう麦茶、みたいなものなのかなぁ。
金を出してまで飲みたくなる味ではないけれど、飲んだらけっこう美味しいし、なんとなくほっとするし。
時々ぬるいのが出てきたりもするけれど、そこはご愛敬ということで。
自画自賛の内容で、こんなに長くなってしまいましたが(約 5 KB)、最後までお読みいただいてありがとうございました。
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とみしゅう

智子
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