あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

続けて2作品

2019-11-17 | 本(文庫本)
坂井希久子さんの『ヒーローインタビュー』を読み、続けて『ウィメンズマラソン』を読みました。
ここのところ「初めまして」の女性の作家さんの作品を読むことが増えています。ちょっと前までは「やっぱり小説は男性作家の作品の方が面白い」と思っていたけど、その考え方、変わりつつあります。
それで今回は坂井さん。はじめまして。

『ヒーローインタビュー』
阪神タイガースに八位指名で入団した仁藤全。高卒ルーキーは強打者として期待されていたが伸び悩み、2軍生活の方が圧倒的に長くなり、1軍での成績は10年間で171試合出場、通算打率2割6分7厘、本塁打8本。決して好成績とは言えず、ヒーローインタビューを受けたこともない選手だったが、何人かの彼を知る人たちにとっては確実に「ヒーロー」であり、人生を左右させられるほどの存在だった。
『ウィメンズマラソン』
幸田生命女子陸上競技部所属の岸峰子。ロンドン五輪女子マラソン代表選出になったにもかかわらず、選出直後に妊娠が発覚。代表を辞退し結婚・出産する道を選ぶが、現在は娘と二人暮らしのシングルマザー。そして2年以上のブランクを経てリオ五輪の代表を目指し始める。マラソン選手として復活するためには数々の困難を克服しなければならない。しかし峰子が走るのには「意味」があった。

まずは『ヒーローインタビュー』。
この物語は仁藤選手が受ける「ヒーローインタビュー」ではなく、彼をヒーローのように感じている人たちへの「ヒーローについてのインタビュー」で構成されています。仁藤選手が語ることはありません。スポーツを題材ににしているけれど、所謂「スポーツ小説」ではない、丁寧に描かれた人間ドラマでした。……巧いわ~。やられたわ~。

そして『ウィメンズマラソン』。
両親ともにアスリートで、そのDNAを受け継いではいるけれど、決して順調な選手人生を歩んできたわけではない峰子。オリンピックに出場できるくらいの才能あるアスリートなのに、自分の人生とかぶるところなんかないのに「わかるわ~」な点がいくつもありました。こちらもスポーツを題材にした人間ドラマ。自分も一緒に走っているような感覚にしてもらえる、爽やかな風を感じられる作品でした。

いや~、面白かった! 2冊とも面白かった!「やられた!」って感じ。女性の作家さんの作品で久々に新鮮な感動をいただきました。この作家さんとは良い出会い方をしたと思います。
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