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あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

ゆくものは「心」

2013-12-07 | 本(文庫本)
夢枕獏さんの『陰陽師 醍醐ノ巻』を読みました。
前に読んだのが田辺聖子さんの『私本・源氏物語』で、続いて『陰陽師』。平安時代にドップリです。武士の世の中になる前の、のほほ~んとした雅な時代の話が好きなので、OKなんですけどね。

今回も、安倍晴明と源博雅が京の都を騒がせている妖しのものたちと対峙する話が9篇。ゾワッとしたりせつなくなったりしながら読みました。
中でも「これは素敵!」と思ったのが「はるかなるもろこしまでも」でした。

京の都のあちこちに現れ、伽羅の香りを残して消える不思議な女の話を頻繁に聞くようになった晴明と博雅。虫好きでいつも男のなりをしている露子姫も、川に魚を捕りに行ったときに伽羅の香りを残して消える女に出会ったという。そんな折、晴明のもとに「蜘蛛の巣に見たこともない生物がかかっている」という話が持ち込まれて…。

記しておきたいことはあるのですが、どうにもネタばれになっちゃいそうなので控えながら書きます。

蜘蛛の巣にかかった不思議な生物から、晴明たちはとある老婆に行きつきます。おそらくもうそう長く生きてはいないであろう老婆はとても素敵な女性でした。
前回の記事と重なる部分もあるのですが、年をとって好奇心がいっぱいで、チャーミングな人でした。最後にはこんな歌が…。

  はるかなるもろこしまでもゆくものは秋の寝ざめの心なりけり  大弐三位

読人の「大弐三位」って、こんな人です。Wikiから↓
大弐三位(だいにのさんみ、長保元年(999年)頃?―永保2年(1082年)頃?)は、平安中期の女流歌人。女房三十六歌仙の一人。藤原宣孝の女、母は紫式部。本名は藤原賢子(ふじわらのたかこ/けんし)。

出た、紫式部! この前の読書記録にも繋がったよ!
そしてこの歌の意味が、とっても話の美しさを引き立てていて、悲しくてさびしい印象になりがちなラストを、清々しいものに変えてくれました。
『陰陽師』シリーズの中で、いちばん好きになったお話でした。

「遥かなる異土、唐の国までゆくものは、秋の夜、目が覚めて眠りに戻れないときの心であったよ」
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