あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

正義と友愛

2017-10-13 | 本(文庫本)
伊坂幸太郎さんの『アイネクライネナハトムジーク』を読みました。
「モーツァルト?」なタイトルですけど、本書はモーツァルトと言うよりは斉藤和義です。
そして本作には「過剰な暴力」とか「とっても変な人」とか「凄い超能力者」は出てきません。普通に暮らしている人々の暮らしの一場面と描いた短編の連作です。最終回を見終えてまだちょっとロス気味な『ひよっこ』みたいに、市井の人々の悪意のない幸せが描かれていました。

誰もが憧れていた大学時代のマドンナが、いちばんあり得ないと思われた男とで学生できちゃった婚をした。やがて生まれたこどもが成長して恋をして……。親子2世代、約20年にわたる物語。その間に出会った人たちとの温かなつながりは、何でもない日常の幸せを紡ぐ。

とくに大きな事件が起きるわけでもないけれど、伊坂さんらしい「伏線、伏線、また伏線」で、ボクシングのヘビー級世界チャンピオンと普通の高校生がつながって行ったり、「トイストーリー」が縁の始まりだったり……。すべてが愛。男女間とか家族の「愛情」とはちょっと違う「友愛」な感じが心地良いのです。
そして絶好のタイミングで登場する「路上で歌を売っている男」が聴かせる斉藤和義。これ見よがしではなく、友愛で包まれた正義の歌詞が心にまっすぐ突き刺さります。
良いよね~、斉藤和義。竹原ピストルも良いなぁ~。サラリと正しい道を示してくれるもんね~。
そして私は、いつか「この子がどなたの娘かご存知ですか?」を使ってみたいと思いました。 実に痛快!
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