あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

これが限界

2010-11-17 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『蒲生邸事件』を読みました。
この作品、日本SF大賞受賞作だし、宮部作品をあまり読まない人の間でも評価が高いもの。それなのに何故、今の今まで読まなかったのか。その理由はだたひとつ。「文庫本なのに分厚い~!」からなのでした。
「何その理由? そんなこと言っていたら、京極夏彦作品なんて一冊たりとて読めやしない!」という声、しっかりと聞こえてまいります。でもね、単行本ではなく文庫本で小説を読む私にとって、ここ重要! 私の手の大きさには、文庫本のサイズが丁度よく、長時間読んでいられるからです。
で、この『蒲生邸事件』。厚みは2㎝5㎜もあるんです。文庫本1冊のボリュームとしてはこれが限界です! 上下巻2冊に分けでも良さそうなものなのに、あえて1冊にまとめてしまったのは何故?
これだけ厚くなってくると、真ん中あたりの、物語の展開としても盛り上がってくるところで、ページを綴じている側(「ノド」と言いますが)の行が読みづらくなるったらありゃしない。ページをめくるたびに力を込めて本を開かないとダメなので、読書に集中できないんですよ。
そんな理由からなかなか読まないでいたのですが、やはり「読みたい!」という気持ちを押し込めることはできませんでした。そして読み始めると作品の世界へグイグイ惹きこまれて行きました。

物語の主人公である孝史は、東京・平河町にあるホテルに宿泊中の2月26日未明、火災に見舞われます。助からないと観念する孝史ですが、同じホテルに泊まっていた謎の男に命を救われます。しかし孝史が救出されたのは昭和11年の帝都・東京。その時代、ホテルのあった場所は陸軍大将を退役した蒲生憲之の邸宅であり、今まさに二・二六事件が起きようとしていました。

も~、何でしょうこの設定。面白くなるに決まってます。SFとミステリーと日本近代史小説がこの一冊で楽しめるなんて、ホント、宮部さんの小説は何を読んでも驚かされるし面白いしワクワクさせられるし感動する!
文庫本の重量に多少の腕のだるさを感じつつ、作品の世界に浸ってみることをおススメします。

ところで、今何かと話題の電子書籍。電子書籍なら「文庫本のくせに厚くて重くて読みづらい」なんて感じることもないんでしょうね。でも長編小説は電子書籍に向いているのでしょうか?
たとえば、漫画とか雑誌記事くらいのボリュームならモニター画面を見続けてもそれほど目が疲れることはないのかなと思います。だけど小説をじっくり読むのには、目にかなりの負担がかかって激しい眼精疲労に見舞われそうな気がします。何でもかんでも「電子書籍化」とはいかないような気がしますが、どうなんでしょう?
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