ハラスメント・いじめ問題を考えましょう

スポーツ指導者による暴力と刑事判決

空手のオリンピック代表選手が、指導者から竹刀で突かれ

目を打撲したとして全日本空手道連盟にパワハラ被害を

申し出たことが報道されています。

 

被害事実については、連盟の倫理委員会で調査されている

ようですが、学校の部活動の顧問などスポーツ指導者による暴力は 

たとえそれが指導目的であっても正当化されるものではなく

パワハラであり違法であることは間違いありません。

 

法的責任としては、民事責任と刑事責任があるのですが

そのうちの刑事責任として

学校の部活動の顧問による暴力事件について

これまでどのような判決が言い渡されているかを紹介しましょう。

 

大阪地裁平成25年9月26日判決は、大阪市立桜宮高校の

バスケットボール部の主将が、顧問から過酷な暴力を受け

自殺に追い込まれたケースですが、この事件で顧問は

暴行及び傷害罪として懲役1年の刑に処せられています。

ただし顧問が反省していることなどが考慮されて3年間の

執行猶予とされています。

 

それほかには、名古屋高裁平成28年3月23日判決は、

高校の野球部の監督が部員の頭部を殴打するなどの暴行を加えた

というケースについて、罰金2万円(求刑・罰金20万円)の刑が

言い渡されています。

 

また、千葉地裁平成30年3月23日判決は、高校の剣道の顧問が

部員に対して小手を付けた拳で2回殴打して傷害を負わせたケースですが

裁判所は、罰金40万円(求刑・懲役6月)の刑を言い渡しています。

 

スポーツ指導者による暴力事件の刑事判決は、全体的に見て

言い渡される刑が軽いように思います。

判決はそのときの社会の風土を反映します。

スポーツ指導での暴力を容認する風土が影響していないでしょうか。

 

暴力を振るう指導者の周囲にはそれを容認する集団がいます。

またそのまわりには無関心な集団がいます。

これはいじめと構造は同じです。

この構造では暴力はなくならず、被害者は声を出せないのです。

 

鍛えるため、勝つためには少々の暴力も許されるという

日本のスポーツ指導の風土と暴力をとりまく構造を

一刻も早く変えなければ

スポーツ指導における暴力はなくなりません。


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