ほうねん、本を読む(ほうねん日記)

ほうねんは、名前の音読みでニックネーム。元老舗本屋に勤務。本が好きです。また、本が好きな人が好きですね。CARPが一番!

母の日に読む 「母」 姜尚中著

2019-05-15 13:26:57 | 
先日の母の日に 「母」姜尚中著 集英社 2010年刊行 を読む

私の母が亡くなってもう何年経つだろうか?
学生時代のとき、突然の死だった。母は未だ43歳でした。それからもう40年も経ってしまったんだ。
今もあの日のことが頭に浮かんでくる。
その年から、私は母の日を祝ったことはなく、只、母との想い出に浸る一日だ。
それまでは、花を贈ったり、ケーキを買ってきたりしたものだ。
照れくさかったけど、母がとても好きだったから。

さて、最近、姜尚中氏の本に刺激を受けている私は、彼の自伝的小説の「母」を読んでいる。
この時期にこの本との出会いも何かの縁かもと思う。
本にはそんな不思議な魅力もある。

まだ、在日に対して差別意識の強い時期のことが書かれている。
昭和の時代は、それがまだ残っていたので、私も見たり、聞いたり経験している。

お母さんに、嫁となるマリコさんを紹介した場面です。。

やがて母が口を開いた。

「マリコさんていうたかね。ほんなこつこがん遠かところまでよう来なかった。わたしらは、息子が選んだ女性だけん、なぁーも言うことはなかよ。ばってん、日本人と韓国人が一緒になってよーなった例がほとんどなかとたい。ー中略ー チョーセン人とニホン人の間には、惚れた腫れたではすまんことがあるとたい。わたしらは学がなかばってん、経験でよー知っとるけん」

と告げた。そして、しばらく考え込んでいるようだった。そして母が重い口を開いた。

「テツオ( 姜尚中)、わかったばい、お前の決心がよーわかった。アポジ (父)も、オモニ(母)も、お前が好きなら、どこん女性でもよかと。それこそ、黒でも白でも黄色でも、どんな肌の女性でもよかとたい。ばってん、日本人と韓国人との間には、これまで言うに言われんいわれがあったと。若かひとたちが、それば引き摺って不幸になるのが辛かとたい。マリコさん、どうかそこんところばわかってね。さぁー、せっかくのご馳走たい。食べよう、もったいなかばい」

ここにお母さんの気質がよく出ています。熊本弁が、またいいですね。ホントやさしいお母さんです。

ホント、感動する場面ばかりです。私の座右の本となりました。来年の母の日にも再読したいと思っています。

文章が上手いですね。場面が浮かんできます。多才ですね。
以下、よくわかるように本と著者の紹介文を書いておきます。Amazonより。
内容紹介
たくましく生きた在日一世の母を描く
16歳で単身半島から日本に嫁ぎ、骨身を惜しまず家族のために働いた母と、周囲の人々との濃い絆と葛藤。日本がまだ貧しく、熱かった時代を生きた在日の人々を描く初の自伝的小説。

内容
太平洋戦争が始まる年、許婚の父を訪ねて18歳の母は単身、朝鮮から日本に渡った。熊本で終戦を迎え、「在日」の集落に身を寄せる。そして、祖国の分断。正業に就くことも祖国に還ることもできない。貧困に喘ぎながら生きることに必死だった他の在日一世たちとともに、忍従の日々を過ごす。ひたむきに、「家族」を守るために―。かけがえのない母の記憶をたどり、切なる思いをつづった著者初の小説。

著者略歴
姜尚中(カンサンジュン)
1950年熊本県熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学名誉教授・
熊本県立劇場館長。現在、長崎県の学校法人鎮西学院学院長・理事。専攻は政治学・政治思想史

★カープ強しです。苦手のヤクルトに初戦勝利。さて、今宵も広島盛り上がります。



(⬆私のカープコレクションの一部です)


⬇ポチッとお願いしますm(_ _)m

"広島ブログ"


最新の画像もっと見る

コメントを投稿