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『死神』1.死神のするべきこと<1>

2011-03-10 23:29:38 | 小説『死神』
死神

1.死神のするべきこと

<1>

黒沢ルリ、17才。
それが私だ。
今では死神として夜の闇を走り回っている。
それはともかく、死神と聞いて何を考えた?
私の第1印象は『生き物を殺す、神の中の反逆者』だった。
神様は普通、人を生きさせるっていうか、そういう存在のはず。
だから、死神を反逆者だと思っていた。

「ルリ!何をぼんやりしてるの?」
「あ、うん。」
さっき私に声をかけたのは、1つ年上のルカ。
知り合い以上友達未満的な関係だ。
こっちは仲良くしようと思っているのに、あっちがそうしない。
だから関係もさっぱり変わっていないのである。
で、話がそれてしまったが、死神は反逆者ではない。
逆に『いい神様』らしい。
ルカによると、
「病気で苦しむ人を楽にする」
と言っていた。
確かに、世界には苦しんでる人はたくさんいる。
しかし、すぐ死んでしまっては家族は悲しむんじゃないのか?
「ばかね。そういうんじゃなくて、家族もいない、友達もいない人のことよ。家族の所へ行かせるために。」
「すぐバカって言うのやめてよ!――じゃあ、脳死とかの人は?」
「家族の気持ちによって変わるわ。しっかり受け止めている家族の場合は、やるしかないの。もしくは、その脳死の人が望んだ場合も、ね。」
「脳死の人が望むって?どういうこと?」
「死神は人の魂と話すことが出来るのよ。だから、これ以上家族を悲しませたくない、とかってたまに言われるの。」
質問にルカは丁寧に答えた。
でも何となく心に引っかかっているものがあった。

「それでも――人を殺すのはいけないんじゃないのかな。」



written by ふーちん

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